電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

私の好きな物語~海外編~

2008年02月14日 05時43分57秒 | 読書
以前記事にした、私家版「私の好きな曲」(*)をネタにして、まことに同工異曲ではありますが、「私の好きな物語」を企画しました。選択の基準として、次のような条件を設定。

(1) その作家の複数の作品を読んでいる。
(2) 一度だけでなく繰り返し読んでおり、また読み返したいと思う。
(3) 選定は1人1冊とし、作家の人数は10人までとする。

では、まずは海外編から。順序は不同です。

ディケンズ 『デイヴィッド・コパーフィールド』
デフォー 『ロビンソン・クルーソー』
アレクサンドル・デュマ 『モンテ・クリスト伯』
ヴィクトル・ユーゴー 『レ・ミゼラブル』
スタンダール 『パルムの僧院』
ジュール・ヴェルヌ 『十五少年漂流記』
トーマス・マン 『魔の山』
プーシキン 『大尉の娘』
マーク・トウェイン 『アーサー王宮廷のヤンキー』

当然のことながら、どんなに面白くても一作だけの作家は入りません。『水滸伝』や『聊斎志異』などの中国古典、バロネス・オルツィ『紅はこべ』やデュ・モーリア『レベッカ』、シェンキヴィッチ『クオ・ヴァディス』などは、(1)の条件に引っかかりました。逆に、「これ一作で有名作家」編というのも面白いかも(^_^;)>
シェークスピアやシラーなどは、戯曲や舞台よりも、オペラのほうがむしろ親しみがあります。昔はロマン・ロラン『ジャン・クリストフ』だとかトルストイ『戦争と平和』、あるいはジッドの『田園交響楽』なども読みましたが、現在はかなり好みが変化してきているように思います。

こうしてみると、古典中の古典、世界中の人々に愛された物語は、やっぱり面白いと思います。皆様の場合は、いかがでしょうか。

(*):私家版「私の好きな曲」~電網郊外散歩道
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地上デジタル放送と液晶テレビの初体験

2008年02月13日 06時42分51秒 | Weblog
N響アワー以外にはふだんテレビを見ない上に、まだSONYの25インチ・ブラウン管モニター「プロフィールBASIC」を使っているためか、液晶テレビも地上デジタル放送も、1度もお目にかかったことがありませんでした。もちろん、町の量販店で、たくさんのテレビが一斉に同じ画面を写しているのを見たことはありましたが、じっくり比較の経験はなし。それが、たまたま出張で泊まったホテルで、液晶テレビに地上デジタル放送の組合せに「未知との遭遇」。

まず、薄くて便利そうです。トリニトロン管の奥行きを考えると、月とスッポンです。また、防磁型でないスピーカを意識しなくても、これなら置き場所を選ばずセッティングできそう。モノとして見た魅力は、大きいです。

ところで、朝のニュースワイドなどに登場する人々の肌の様子と色が少し変だと感じます。なんとなくのっぺりした感じで、アナログのブラウン管で見慣れた画面と比較すると、人形の人工皮膚のような印象。これは、デジタル放送の画質の特徴なのか、それとも液晶テレビの映り具合の問題なのか、あるいはテレビ用の化粧がそのまま出ているのでしょうか。そのへんの事情はよくわかりませんが、プラズマや有機ELテレビの画面ならば、人肌の映り具合は違うものなのか。まだまだブラウン管が丈夫なうちは交換する気はありませんが、将来的には、ちょいと興味があります。
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全集の中から選んで手に取るとき

2008年02月12日 06時54分44秒 | クラシック音楽
最近はあまり流行らないようですが、昔は文学全集というものがあり、図書館などでまだ読んだことの本を手にするのが楽しみでした。次にどれを読んだらいいのか、皆目見当がつかないときには、良いアドバイスをしてくれる人や本の存在がありがたいものです。サマーセット・モームの『読書案内』や、出版社等で出してくれる必読書リストなどのほか、新聞の書評欄、書籍のカバーの宣伝文句など、読んでみたい気持ちにさせてくれます。

LPやCDの全集の場合には、せいぜい数枚~十枚以内のことが多いため、それほど切実ではありませんが、まだ聴いていないものを選び出す時には、様々なきっかけが後押ししてくれることがおおいものです。昔は、レコード雑誌やFM誌などがその役割を果たしておりました。でも、要するにレコード会社の提灯記事じゃないか、と思うようになった、意地悪中年の年代になったら、こうした雑誌からは遠ざかってしまっております。では、何がアドバイザの役割を果たしているのかと言えば、現在は間違いなくブログでしょう。

演奏する立場の方々やキャリアの長い音楽ファンの記事、あるいは当方の記事にいただいたコメントなどは、全集の中から候補を選んで手にするときには、おおいに参考になります。私の場合、全集を第1番から順に聴いて行くと言うのは、経験上、途中で挫折しやすいものと考えており、時々の関心に基づき選んで聴き、自然体でいきたいと思います。そうして、いつのまにか大半を聴いてしまった頃に、落穂ひろいのように残りを聴いていくようなスタイルが、どうも私には一番似合っているようです。
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シューマン:歌曲大全集を購入する

2008年02月11日 05時53分56秒 | クラシック音楽
先週は、時間的にも精神的にも、公私ともにたいへんな週でした。ようやく週末の休みに突入したものの、本日(月曜)から出張が続きます。こういうストレスの多い時期には、合間を見計らって、大好きな音楽を聴くに限ります。そんなわけで、シューマンの歌曲大全集を購入してしまいました。帯には「男声・女声から二重唱まで、シューマン・リートの集大成」とあります。LP時代にドイツ・グラモフォンが出していた、シューマンのレコード全集のCD化です。当時は高価でとても手が出なかっただけに、もう手放しで嬉しい。



CD9枚組、13,500円、立派な日本語解説書つき。各CDには、作品番号順に収録されているようで、フィッシャー・ディースカウの「詩人の恋」は、LPで楽しんでいるイェルク・デムスとの旧録音ではなくて、クリストフ・エッシェンバッハとの録音が収録されています。「リーダークライス」「女の愛と生涯」は、エディット・マティス。このあたりのだぶりがないのも、収集心をくすぐります(^_^;)>poripori
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「アマデウスへの旅」第3回~山響モーツァルト全曲演奏定期演奏会

2008年02月10日 09時52分09秒 | -オーケストラ
土曜の夜、山形交響楽団による、モーツァルトの交響曲全曲演奏を目指す定期演奏会「アマデウスへの旅」第3回を聴きました。演奏会の前に、山形北ロータリー・クラブから社団法人山形交響楽協会へ、山形交響楽団の古楽器購入のための支援金として、百万円が贈呈されました。地域が山響を応援していることの好例でしょう。指揮者プレトークでは、簡単な曲目の紹介と、古楽器の紹介がありました。まず、木製のフルートを金属性のフルートと並べて紹介し、古楽器の区分には入らないことや、音色のやわらかさなどを、首席奏者の安達祥治さんの演奏で紹介。次にピストンを持たないバロック・トランペットを井上直樹さんの演奏で、さらにバルブを持たないナチュラル・ホルンについて、開口部に入れた右手で音階を作ることを紹介。最後にバロック・トランペットとナチュラル・ホルンでファンファーレを演奏。近代の楽器の輝かしい音色に慣れた耳には、やわらかな音色が逆に新鮮です。音楽監督の飯森範親さんは、定期演奏会で古楽器のホルンやトランペットを使っているのは、たぶん日本国内では山形交響楽団だけだろうと指摘、できれば古楽器のトロンボーンも購入して、魔笛やレクイエムで使ってみたい、と話します。これも、興味津津です。

さて、楽団員の登場。女性団員は色とりどりのドレスで、たいへん華やかです。楽器配置は、第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンを左右に分けた、いわゆる対向配置。コンサートマスターは高木和弘さん、犬伏亜里さんがお隣に坐ります。最初の曲目の交響曲第5番変ロ長調K.22は3楽章構成、弦5部、オーボエ2とホルン2という編成です。この曲は、まだ9歳のモーツァルトが、お父さんが病に倒れたロンドンで大バッハの息子のヨハン・クリスチャン・バッハの指導を受け、オランダのハーグ滞在中の1765年12月に完成したものらしいです。
第1楽章、アレグロ。弦楽器主体で、オーボエとホルンの使い方はさしずめ調味料でしょうか。第2楽章、アンダンテ。9歳の子供が、けっこう深刻な表情の音楽を書いたことに驚きますが、旅の心細さは子供心にも深刻な体験だったのかもしれません。第3楽章、速い快活なモルト・アレグロです。

続いて交響曲第26番、変ホ長調K.184です。飯森さんによれば、モーツァルトの第3回目のイタリア旅行の成果の1つらしいです。第22番から第30番までにあたる9曲のうちの最初の作品と言われているとのこと。モーツァルトはどうもイタリアでワインを覚えたらしく、晩年はワイン太りで相当に太っていたらしい、と紹介。ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト君、やっぱり「清く貧しく」のイメージとはだいぶ異なります(*)。楽器編成は、弦5部にfl(5),Ob(2),fg(2),hrn(2),tp(2)と、だいぶ管楽器が充実してきています。
第1楽章、モルト・プレスト。強弱の対比が印象的な、明快な音楽。高木さんのソロとオーケストラが、協奏交響曲ふうにかけあいをするところもあります。第2楽章、ハ短調のアンダンテ。深刻ではありませんが、ややメランコリックな音楽です。第3楽章、アレグロ。優雅で活発なフィナーレです。

次に、ファゴット協奏曲、変ロ長調K.191です。ファゴット独奏は、山響の若いファゴット奏者である、高橋あけみさん。以前の、文翔館でのパストラーレ室内合奏団の演奏会(*2)以来、すっかりファンになっています。本日は、ラベンダー色というのでしょうか、うすい藤色のロングドレスにて登場。ドレスと楽器がよく似合います。
モーツァルトの唯一のファゴット協奏曲、楽器編成は、弦5部にOb(2),hrn(2) のみ。第1楽章、アレグロ。ユーモラスな低音、歯切れ良いスタッカート。旋律はよく歌い、時にオーケストラの中に溶けこみ、またオケに埋もれず独特の音色を聴かせてくれます。ソロとオケが調和しつつ対話する、そんな演奏。そして現代的で見事なカデンツァ。楽器を持つ手に、たくさん汗をかいたのではないでしょうか。そういえば、私の席からはファゴットをつり下げるストラップが見えません。
第2楽章、アンダンテ・マ・アダージョ。響きが、音楽が、融けあっています。オーケストラの一部でありながら、たしかにソロを感じさせる一体感。
第3楽章、ロンド、テンポ・ディ・メヌエット。再び明るく快活な表情のフィナーレです。
すばらしい演奏に、大きな拍手。ステージ上でおじぎをしながらも、少々はにかんでいます。でも、嬉しそうです。高木さんにもほめられていたみたい。

休憩の後は、今夜のメインである美しい交響曲第29番、イ長調K.201です。
この曲は、26番やファゴット協奏曲と同時期の作品ですが、J.C.バッハが確立した、三楽章スタイルではなく、メヌエットを加えた四楽章からなっています。すでにハイドンの影響を受けていると言ってよいのでしょうか。楽器編成はまだそれほど大規模なものではなく、Ob(2),Hrn(2)に弦楽5部、といったもの。
第1楽章、アレグロ・モデラート。優美な音楽ですが、響きに量感があります。
第2楽章、アンダンテ。ヴァイオリンの対向配置が生きています。右手で音階を作る古楽器のホルン特有の音色が感じられます。ひたすら優美な音楽です。
第3楽章、弦楽器中心の活気あるメヌエット。
第4楽章、アレグロ・コン・スピリト。軽快なフィナーレです。

いや~、モーツァルトのギャラント・スタイルの時代の作品を、じゅうぶんに堪能しました。良かった~!

終演後のファン交流会にも参加いたしましたが、飯森さんが蔵王で30年ぶりにスキーを楽しんだ話、初日はだいぶ転んだけれど、二日目は昔のカンが戻ったとのこと。高木さんはドイツ・アルプス仕込で、スキーもたいへん上手なのだそうです。



高橋あけみさんのストラップの秘密も面白かった。実は、市販のストラップは黒いものしかなくて、せっかくのドレスの色とあわない。困っていたら、手芸の得意なお友達が、発熱をおして同系の生地でストラップを作ってくれたのだそうです。もう嬉しくて、一生モノです!と裏話を紹介してくれました。
また、所属する山響については、エキストラ時代から活動に参加しているけれど、創立名誉指揮者の村川千秋さんが、自分で大型免許を取り、バスを運転して学校を回った情熱に感銘を受けたこと、町で買いものをしているときに、山響団員であるとわかると、お店の人が「私も小学校の音楽教室で聴きました~」などと言ってくれるのだそうで、地道に学校を回る、地域に根ざす活動が大切だと思っています、と考えを披露。若いチャーミングなお嬢さんとばかり思っていましたが、しっかりした考えにふれて、たいへん感動いたしました。山形交響楽団を、今後も大切にして、応援していきたいと思ったことでした。

(*):モーツァルトの年俸~「電網郊外散歩道」より
(*2):パストラーレ室内合奏団でベートーヴェンの七重奏曲を聴く~「電網郊外散歩道」より
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飯森+山響の新しいCD~ブルックナーの交響曲第4番

2008年02月09日 07時23分49秒 | -オーケストラ
先日の山形交響楽団の定期演奏会で、ちょうど1年前になる、昨年の1月に演奏されたブルックナーのCDを購入して来ました。第4番変ホ長調「ロマンティック」です。すみだトリフォニー・ホールでの地方都市オーケストラ・フェスティヴァルでメインの曲目として予定されています。

大編成のオーケストラで演奏されることが多いブルックナーですが、第4番はもともとニ管編成の曲です。ですから、山形交響楽団のような総勢55人程度の規模のオーケストラで演奏することは可能です。むしろ、どんな音楽的な表現ができているかが問題。当日の演奏会の感想はリンク先(*1)をごらんいただくとして、CDになって客観的に聴く山響のブルックナー演奏の特徴は?

(1) 音の純度、透明度の高さ。音楽監督の飯森範親さんのリーダーシップのもとで開始した、モーツァルトの交響曲全曲演奏を目指すピリオド奏法。ヴィヴラートで音程をごまかすことができませんので、弦楽器の音程が一段と正確になっています。そのことによる音の純度、透明度の高さが実現されていると感じます。
(2) 内声部を担当する弦楽セクションと、華々しい金管部隊の健闘。ブルックナーらしさがよく出ていると思います。
(3) 第3楽章、第4楽章になると、音楽の表現がいちだんと深くなるように思います。後半の盛り上がりは音楽的なもので、物理的な音量によるものではないのだな、と感じました。

SACD および SACD 5ch Sorround とのハイブリッドCD、録音も良好、型番は Octavia OVCX-00037 です。リーフレットの表紙は、蔵王連峰の夜明けをバックに、ブルックナーと飯森さんが浮き上がるようにデザインされています。なかなかきれいです。解説は東条碩夫さん。昔の貧乏性が抜けず(^_^;)、いつもは廉価盤CDを中心に聴いておりますが、実演を聴いた若い演奏家や、地元オーケストラ等の場合は、幾分かでも財政的支援になるよう、レギュラー・プライス盤を積極的に購入しております。
なお、このCDは、HMV や Amazon 等でも入手できる(*2)ようです。

■飯森範親指揮山形交響楽団
I=18'41" II=15'29" III=10'50" IV=21'50" total=66'50"

(*1):山響第178回定期演奏会を聞く~ベートーヴェンとブルックナーの4番
(*2):HMVの同CD紹介ページ

さて、今晩は山形交響楽団のモーツァルト交響曲全曲演奏プロジェクトの第3回目。このプログラムは注目が大きいようで、仙台市や関東圏などからもかなり来県しているのだとか。すでにチケットはソールドアウトとなっておりますが、当方は定期会員の権利を生かし、すでに入手済です。本日の曲目は、

(1) 交響曲第5番変ロ長調 K.22
(2) 交響曲第26番変ホ長調 K.184
(3) ファゴット協奏曲変ロ長調 K.191
(4) 交響曲第29番イ長調 K.201

となっております。高橋あけみさんのファゴット・ソロと、イ長調の美しい交響曲第29番が楽しみです。
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東野圭吾『時生』を読む

2008年02月08日 05時51分16秒 | 読書
講談社文庫で、東野圭吾著『時生』を読みました。終わりが始まるになり物語、閉じた円環のような物語です。トキオ君は、いつまでもぐるぐる廻っていることになるのでしょうか。

情報通信技術の会社の、おそらく役員待遇であろうと思われる父親は、グレゴリウス症候群という遺伝病により、チューブにつながれた状態で三年になる息子の最期に立ち会っています。そこで、妻に打ち明けた話が、この物語の基本的なストーリーです。今は立派な父親の役割を演じていますが、実は、若い頃に、花やしきで息子トキオ君に出会い、助けられているのでした。せっかくの物語ですのであらすじの詳細は省きますが、まあ、Back to the Future! と似た構造を持つ物語です。

二冊目の東野圭吾作品、なかなか面白かった。大いに楽しみました。
作者の物語づくりには、大いに感銘を受けましたが、ちょいと中年おじんの感想を言わせてもらえれば、すぐキレるダメなあんちゃんの性格が、一連の事件でがらりと変わるようなことがあるのだろうか、という点については、いささか疑問も感じます。昔はグレたことがあったけれど今はよさそうな人だと思い結婚したら、何かのきっかけで激しいDVに陥るというケースは、よく耳にします。人格は積み上げられるものであり、急にぱっと転換はできないものだろうと思います。皆無ではなかろうが、そう多くはないように思います。

グレゴリウス症候群が発病し、チューブにつながれた状態で三年になる息子の治療費は莫大なものでしょうが、夫婦は生活に困っている風もありません。息子が元気な頃は、四輪駆動のワゴン車を買って、北海道など各地を旅しています。かなり裕福な家庭を築いているというべきでしょう。コンピュータ・ネットワーク時代を見通す予言的な展望が、おそらく役員待遇の生活を実現したのではないかと思われます。

一定の社会的地位と裕福な生活を営む中年男性の人格と、巷間よく見かける短気で乱暴な若者の人格を、死んだ息子が引き合わせる事件を通じて、木に竹を接いだような荒業で結びつけたような印象を持ちます。文選工がつとまらない短気な人に、移動体通信や情報通信技術関連の、根気の要る仕事がつとまるものだろうかと、首をかしげてしまいますが、まぁそのあたりの抽象性が、作家のドラマ作りの秘密なのかと思います。
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ブログの記事を本にするサービス

2008年02月07日 06時35分52秒 | コンピュータ
無料のgooブログを、これまでありがたく使わせてもらってきました。格別な不満はなくきましたが、最近、びっくりすることに気づいてしまいました。それは、自サイトの記事を、本にすると言うサービスがあるのだそうです。もちろん、無料サービスでは該当せず、有料の gooブログ・アドバンスだけのサービスのようですが、ほかのブログでも、サービスのメニューに加えているところもあるようです。自分のサイトをバックアップするのに、印刷物=紙にしてしまうというのは究極のバックアップのような気がします。

それにしても、満3年を過ぎて4年目に入った「電網郊外散歩道」は、記事数が1000本をはるかに超しますので、とても1冊にはまとまりそうにありません。上下巻に分けることができるのか、など、仕様の点での疑問もあります。調べてみる価値はありそうです。
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地方都市オーケストラ・フェスティバル2008

2008年02月06日 06時53分00秒 | クラシック音楽
この3月末、東京のすみだトリフォニーホール開館10周年特別企画として、地方都市オーケストラ・フェスティバル2008という連続演奏会を開催する予定だそうです。先日の山形交響楽団の演奏会で、このフェスティバルのチラシを入手しました。
ちょうど大学生の息子の引越しの時期でもあり、東京行を計画しておりますので、ついでに聴いてきたいものだと考えております。

ちなみに、スケジュールは次のとおり。
3月23日(日) 15時開演、群馬交響楽団、指揮:高関健、ブリテン「戦争レクイエム」
■S5,500/A4,500/B3,500/C2,500

3月28日(金) 19時開演、大阪シンフォニカー交響楽団、指揮:大山平一郎、エルガー「ヴァイオリン協奏曲」、ブラームス「交響曲第2番」
3月29日(土) 13時開演、山形交響楽団、指揮:飯森範親、モーツァルト「交響曲第31番 パリ」、ブルックナー「交響曲第4番 ロマンティック」
3月29日(土) 19時開演、広島交響楽団、指揮:秋山和慶、グリーグ「抒情組曲」、シンディング「ヴァイオリン協奏曲第1番(日本初演)」、スヴェンセン「交響曲第2番」
3月30日(日) 13時開演、九州交響楽団、指揮:小泉和裕、チャイコフスキー/歌劇「エフゲニー・オネーギン」より"ポロネーズ"、ヴァイオリン協奏曲、交響曲第4番
3月30日(日) 19時開演、関西フィルハーモニー管弦楽団、指揮:飯森泰次郎、ワーグナー/楽劇「ニュルンベルグのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲、歌劇「タンホイザー」~夕星の歌、歌劇「ローエングリーン」~エルザの夢、ほか
■以上、S4,000/A3,000/B2,000

なお、大人と小学生向けのファミリー券などもあるようです。

昨年、お中元がわりに山響の東京公演のチケットを送ったらたいへん好評だったので、関東在住の親戚にまた送って、一緒に聴こうかと相談中。日程の調整で、なんとか実現したいところです。
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雪融けによる雨だれで「王冠」撮影に成功!

2008年02月05日 05時49分39秒 | 散歩外出ドライブ
2月に入り、陽射しがあたたかくなってきています。夕方4時でも、だいぶ明るいくらいです。これからもまだ何度か寒波がやってくるでしょうが、祖父はよく「二月の雪は軟らかい」と言っていたものでした。大寒の頃とは違い、晴天になるとじきに融けてしまうからでしょうか。

先日、陽気にさそわれて出かけたら、雪融け水の雨だれがすごい。写真を撮ってみたら、偶然にも王冠になる瞬間が写っていました。狙ってもなかなか撮れない瞬間ですので、やったね!

わかりやすいように、拡大してみましょう。ほ~ら!



ちゃんと王冠になっています。

クラゲみたい、という説も一部にはあるようですが………(^o^)/
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犯人は、お前だ!

2008年02月04日 06時16分47秒 | アホ猫やんちゃ猫
ガニマール警部は、意地になった。憲兵の一隊を農園のほうに配置し、フォランファン刑事を小門の前に待機させ、息をひそめ、じっと待っていた。犯人はきっとここを通り、戻って来るはずだ。新雪の中に点々と残る足跡、narkejp 夫人がせっかく貼り替えたばかりの障子を破った犯人の目星はすでについていた。



隠れても無駄だ!そうだ、犯人は、お前だ!



ふっふっふっ。ガニマール警部、珍しく正しい推理だとほめておこう。そうだ、私がアルセーヌ・ニャンコ・ルパンだ。正体がばれてしまったらしかたがない。これは逃げるが勝ちだにゃ~。
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プロコフィエフ「ピアノソナタ第5番Op.38」を聴く

2008年02月03日 07時08分00秒 | -独奏曲
プロコフィエフのピアノ・ソナタ第5番ハ長調は、Op.38(第1版:1923年)と、Op.135(第2版:1953年)の2種類があるのだそうで、この三枚組CD(SONY SB3K87747)でイェフィム・ブロンフマンが演奏するのは、作品38のほうです。

解説書には、次のように記載されています。

There are two versions of Sonata No.5 in C major. The first, Op.38, was written in 1923 and premiered in Paris to unfavourable reviews. The revision, Op.135, was completed in 1953 and is often described as "an old man's versions of a young man's masterpiece." In keeping with the style of the times, Op.38 makes use of dissonance and chromaticism. It features sharpner contrasts between the lyrical and percussive passages than the later version. The simple and thoroughly pianistic opening is followed by Andantino, which is reminiscent of the Second Sonata in mood, conception, and third and last movement, Un poco allegretto, is different from the later version in that it is far less classical and more idiosyncratic in style and manner.

例によって、下手ですが意訳を試みてみました。

ソナタ第5番ハ長調には2つの版がある。一つ目は作品38で、1923年に書かれ、パリで初演されたが、評判は芳しいものではなかった。改訂版である作品135は、しばしば「若者の名作の老人バージョン」と言われるものである。作品38は、時代のスタイルが保持され、不協和音と半音階主義が用いられている。また、後の作品よりも叙情性と衝撃的なパッセージとの間の鋭い対比が特徴的である。シンプルで徹底的にピアニスティックな開始に、雰囲気や着想の点で第二ソナタを思わせるアンダンティーノが続き、ウン・ポコ・アレグレットの終楽章は、より古典性から遠ざかり、スタイルと作法の面から特有の表現となっている点で、後の版とは異なっている。

と、こんな感じでしょうか。なるほど、これなら、少しわかるような気がします。

第1楽章、アレグロ・トランクィロ。始まりはラヴェルのような響きですが、じきにセンチメンタルな期待は裏切られ、スクリャービンの神秘主義の影響を受けたと言われるロシア・モダニズムの音楽に変わって行きます。ラヴェルのような音楽を期待した聴衆がとまどい、初演時に不評だったのは、よく理解できます。でも、今となってはこれが若いプロコフィエフの個性、特徴なのですね。
第2楽章、アンダンティーノ。おもちゃ箱の中の人形が動き出すような、あるいはマリオネットの伴奏音楽に使えそうな、そんな不思議な雰囲気を持った音楽です。この楽章はあまり荒々しい要素はなく、古典派ピアノソナタならば、さしずめ緩徐楽章に相当するのでしょう。
第3楽章、ウン・ポコ・アレグレット。出だしからして、20世紀の音楽だとすぐわかります。でも、力強く荒々しくデフォルメされてはいても、ちゃんと主題は生きている。ソナタ形式の骨組みは保っていると言うべきでしょうか。ピアニスティックな表現力は、見事です。

1920年代のパリを感じさせるしゃれた響きの旋律と、不協和音を伴う荒々しいリズムが、すぱっと転換して対比される、若いプロコフィエフの音楽。甘い砂糖菓子と苦いコーヒーを交互に楽しむような、そんな音楽です。イェフィム・ブロンフマンの演奏は、私はこれ以外の演奏を知らないけれど、素晴らしいものだと思います。残念ながら、英文の解説書には、録音時期、場所等のデータは掲載されておりません。

■イェフィム・ブロンフマン(Pf)
I=6'06 II=4'10 III=5'41" total=15'57"
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カルミナ四重奏団がDENONに録音を再開するらしい

2008年02月02日 07時18分24秒 | クラシック音楽
室内楽を専門とする音楽ジャーナリスト渡辺和さんのブログ「やくぺん先生うわの空」に、記事が出ておりました(*)が、メンデルスゾーンやハイドン、シマノフスキ等をDENON に録音しているカルミナ四重奏団が、再びDENON に録音することが決まったとのこと。どうも、ピアニストの田部京子さんが、シューベルトの「鱒」やシューマンのピアノ五重奏曲の録音に、カルミナ四重奏団を指名したためらしいです。彼らのCDデビューもDENON だったはず。シューベルトやシューマンに限らず、今後も録音をしてくれれば、室内楽好きとしては歓迎すべきニュースです。DENON さん、カルミナ四重奏団のCDを、ぜひいっぱい出してください。それから、ブルーノ・レオナルド・ゲルバーによるベートーヴェンのピアノソナタ全集も、ぜひ完結させてほしいものです。

(*):カルミナQ10年ぶりにDENON復帰~「やくぺん先生うわの空」より
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矢口史靖『スウィング・ガールズ』を読む

2008年02月01日 06時27分16秒 | 読書
小説と映画とどちらが好きか、と聞かれたら、私の場合、一般論としては「小説」と答えることが多いかと思います。映画には、上映時間という制限がありますが、小説にはありません。想像力さえあれば、その世界はほぼ無限大です。

先日、メディア・ワークスから刊行されている、矢口史靖『スウィング・ガールズ』を読みました。映画を「観ました」ではなく、本を「読みました」です。実は、正月スペシャル「のだめカンタービレ」ヨーロッパ編で上野樹理演じる「のだめ」チャンを見て、あの「スウィング・ガールズ」の友子チャンを思い出した、という次第。決してシュトレーゼマンを見て小澤先生を思い出したわけではありません(^o^;)>poripori

ストーリーは、映画を見ていますので、頭に入っています。でも、「そうだったのか」的な発見がけっこうありました。微妙な心理のひだの解説は、小説の独壇場です。映画では、描き切れません。

しかし、です。しかし、小説は映画にかなわない面があります。それは、音楽を取り上げた作品の場合です。映画「スウィング・ガールズ」で、最後のほう、東北学生音楽祭の演奏シーンの楽しさは、小説『スウィング・ガールズ』では充分に描くことができません。これは、しかたがないことです。いくら言葉を尽くしても、空想の中の音ではだめ。小説や絵画を見ただけで脳内で音楽が鳴り響く方々も多分いるのでしょうが、私にとって音楽は、実際に音の響きを楽しむものです。機会があったら、劇場でまた観たい映画です。
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