電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

マルティヌー「ピアノ協奏曲第5番」を聴く

2008年02月17日 07時06分30秒 | -協奏曲
先週、2月10日のN響アワーでは、アラン・ギルバート指揮でマルティヌーの交響曲第4番を楽しみました。そういえば、マルティヌーのピアノ協奏曲があったはずだと思いだし、クーベリック指揮バイエルン放送交響楽団による、バルトークの「管弦楽のための協奏曲」のCDを取り出しました。いわゆるオケ・コンも素晴らしい演奏ですが、カプリングされているこのピアノ協奏曲第5番(in B flat major)もまた、素晴らしい演奏です。



第1楽章、やや速く、決然と(poco allegro risoluto)。はじめからティンパニを伴う緊張感のある開始。ピアノは打楽器のような扱いで、オーケストラは半音階的な要素を持ちながら、むしろ望郷的というか、不協和音はあまり強く感じません。
第2楽章、少しゆっくりと(poco andante)。低音のクラリネット・ソロ、ファゴットの持続音、フルート、オーボエに続く弦楽に導かれて、ピアノが登場します。ピアニストの妙技の披露というよりは、静かでデリケートな、情感をこめたソロが多い楽章です。
第3楽章、やや速く(poco allegro)。一転してやや明るい音色で始まり、ピアノ独奏が、いかにも協奏曲らしい名技性を披露します。オーケストラも、美しい響きでこたえます。

なるほど、伝統的な協奏曲のイメージよりは、副題の「協奏的幻想曲」という名のとおりです。マルティヌーは、1890年、チェコ生まれで、1958年にスイスで没しています。バルトークやストラヴィンスキー、プロコフィエフなどと同時代の作曲家(*)ですが、いわゆる前衛的な現代音楽というものではなく、むしろ望郷的な音楽という印象。
マルティヌーにこの曲の作曲を依頼した、マルグリット・ウェーバー自身のピアノ、ラファエル・クーベリック指揮のバイエルン放送響の演奏、1965年、ミュンヘンにおけるグラモフォン録音は、充分に鮮明です。「ラファエル・クーベリックの芸術」のシリーズより、UCCG-3962 という型番のCDです。この曲のCDは、あまり多くなさそうで、その意味でも貴重な録音と言えそうです。

(*):ボフスラフ・マルティヌー~Wikipediaの解説ページ

N響アワーで取り上げているところを見ると、今年は何かマルティヌーの記念年にあたっているのでしょうか。
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