電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

山形交響楽団第268回定期演奏会でオール・シベリウス・プログラムを聴く

2018年04月08日 21時35分22秒 | -オーケストラ
妻不在のため朝から忙しく働いた後で、夕方から山形テルサホールに移動、山形交響楽団第268回定期演奏会を聴きました。プログラムは、オール・シベリウス作品で、次のような内容になっています。


  1. シベリウス/交響詩「フィンランディア」作品26
  2. シベリウス/交響曲 第7番 ハ長調 作品105
  3. シベリウス/交響曲 第2番 ニ長調 作品43
    オッコ・カム指揮、山形交響楽団

今回の指揮は、当方まだ高校生の1969年に、カラヤン指揮者コンクールで優勝したことで名前を知ることとなった、オッコ・カム氏です。彼は、フィンランド出身の世界的指揮者としてはもちろん、母国の作曲家シベリウスのエキスパートとして知られる存在で、一定年齢以上のクラシック音楽ファンの中で知名度はそうとうに高いでしょう。現在72歳、キャリアの長さにもかかわらず、演奏前にプレトークをするのは生まれて初めてだそうで、西濱事務局長も「歴史的事件だ」と強調しておりました。もっとも、三日間の練習の後、七日町でバナナをくわえて街を歩いたことなどもバラしてしまいましたので、世界的巨匠ではあるけれどごく自然体の方だと思われます(^o^)/

さて、始まりは「フィンランディア」から。楽器配置は、ステージ左から第1ヴァイオリン(8)・第2ヴァイオリン(8)・チェロ(6)・ヴィオラ(6)・コントラバス(4)といういつもよりも強化された 8-8-6-6-4 型の弦楽器に対して、正面奥の木管はフルート(2)・オーボエ(2)・クラリネット(2)・ファゴット(2)の通常編成、さらにその奥の金管はホルン(4)・トランペット(3)・トロンボーン(3):うち1はバストロンボーン)・テューバ(1)、それに左奥にティンパニ、バスドラム、シンバル、トライアングル等のパーカッションです。「フィンランディア」といえば迫力ある金管の咆哮をイメージしますが、期待に違わず堂々たるテンポで、ドスの聴いた低音から輝かしい高音まで、中身の詰まった音で音楽が始まります。しなやかで熱い、でも爽快なフィンランディア。素晴らしい!

第2曲めは、交響曲第7番。Vla,Vc,Cbがしっとりと旋律を奏でるところがいいなあ。弦楽合奏はきめ細やかな響きです。山響の弦楽合奏の美しさを感じます。そういえば、シベリウスは最初はヴァイオリニストを目指したのではなかったか。

ここで15分の休憩です。ときどき関西から山響や山Q等を聴きに来てくださる某氏と会いました。大フィル、関西フィル等もあるけれど、わざわざ山響の音楽を聴きに来てくださるありがたいお客様です。

第3曲めは、交響曲第2番。楽器編成は、8-8-6-6-4 の弦楽5部に、Fl(2)-Ob(2)-Cl(2)-Fg(2)-Hrn(4)-Tp(3)-Tb(3:うち1はBassTb)-TubaにTimpというものです。静かな緊張感。客席は水を打ったように静まり、演奏は仄暗い情熱が次第に変化していく様を観る思いです。指揮者の棒は決してダイナミックなものではなく、むしろ優雅というか上品なものです。でも、瞬発力がすごい。その棒に敏感に応える山響も立派です。次第に高揚する音楽はいったん静まったように見えますが、再び力を得て息長く盛り上がっていき、何度かそれを繰り返しながら感情が高まっていき、爽快なフィナーレとなります。

ああよかった〜! 無理をして聴きにでかけたかいがありました。これだから演奏会通いはやめられません(^o^;)>poripori




シベリウスの音楽では、木管楽器を、短く頓狂な使い方をすることがあります。深刻な場面を一瞬にして切り替えるような効果があり、おもしろい使い方だなあと感じます。そんな発見も、実演ならではのものでしょう。
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