電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

アフィニス音楽祭2016で合同オーケストラ演奏会を聴く

2016年08月26日 20時11分41秒 | -オーケストラ
広島と山形と、隔年で開催されているアフィニス音楽祭も、今年で山形では四回目になります。これまで、できるだけたくさん聴きたいと願っていましたが、今年はご近所の親族の葬儀や法事、あるいは台風の襲来などで我が家の川中島白桃の収穫が遅れて、待ったなしの状態になっていましたので、楽しみにしていた室内楽演奏会はついに聴くことができず、合同オーケストラ演奏会だけは聴きたいものと、万難を排して出かけました。



会場の山形テルサホールに到着し、余裕を持ってロビーコンサートを待ちます。予定では、バッハの「ブランデンブルグ協奏曲第3番」を金管十重奏で演奏する予定でしたが、講師の一人、トランペットのフリッツ・ダムロウ氏が体調不良のため曲目を変更して、R.シュトラウスの「カプリッチョ」から弦楽六重奏になりました。

メンバーは、左から

Vn-1 四方恭子 (音楽監督)
Vn-2 中村楓子 (東響)
Va-1 猿渡友美恵 (九響)
Va-2 阿部真也 (客演経験者)
Vc-2 庄司拓 (大フィル)
Vc-1 石原まり (九響)

の六名。やったね! これで、室内楽演奏会初日の曲目のうち1曲は聴けたことになります(^o^)/



本番の開始は、モーツァルトのセレナード第10番・変ロ長調「グラン・パルティータ」K.361(370a)からです。こちらも、実は室内楽演奏会初日の曲目ですので、2曲は聴けたことになります(^o^)/
メンバーは、ステージ中央前列に木管が半円形に並び、その奥には中央のコントラバスの左右にホルンという配置で、

Ob-1 チャールズ・ハーマン
Ob-2 古山真里江 (神奈川フィル)
Fg-1 ヘンリック・ラビーン
Fg-2 向後崇雄 (都響)
B-hrn-2 下路詞子 (仙台フィル)
B-hrn-1 川上一道 (山響)
Cl-2 山口真由 (東京シティフィル)
Cl-1 ライナー・ミュラー=ヴァン・レクム
Hrn-1 パウル・ファン・ツェルム
Hrn-2 熊井優 (神奈川フィル)
Hrn-3 青木宏朗 (兵庫芸文セ管)
Hrn-4 和久田侑希 (客演経験者)
Cb 鈴村優介 (日フィル)

という皆さんです。約50分かかる大曲ですが、とくにバセットホルンの、低音部が豊かな響きと音色が、たいへん魅力的と感じます。木管の快活なフレーズに、コントラバスの弦楽の響きが加わり、これまたたいへん効果的。

二曲目は、デンマークの作曲家、ニルス・ゲーゼ(Gade,1917-1890)の作品で、「ノヴェレッテ」作品53です。

Wikipediaによれば(*1)、ニルス・ゲーゼはコペンハーゲンの楽器職人の家に生まれ育ち、25歳の1842年に交響曲第1番を作曲しますが、コペンハーゲンでは演奏を拒否されたために、スコアをメンデルスゾーンに送付したのだそうな。さすがにメンデルスゾーンは見る目があり積極的に受け入れて1843年にメンデルスゾーンの指揮でライプツィヒで初演しただけでなく、コペンハーゲンを出てドイツにやってきたゲーゼをゲヴァントハウス管弦楽団の副指揮者に迎え、シューマンと共に親しく交わったとされています。それだけでなく、1847年にメンデルスゾーンが没すると、彼の後を承けてゲヴァントハウス管の首席指揮者を引き継いだとのことですので、今回の合同オーケストラのコンサートマスター、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管コンサートマスターのホッホシルトさんにとっては、歴史的にもご縁の深い作曲家の作品ということになるのでしょう。

私にとっては、初めて聴く作品ですが、旋律の美しい、しっとりとした響きの佳曲で、いっぺんに気に入りました。

最後は、ハイドンの交響曲第90番。楽器編成は、Fl(1),Ob(2),Fg(2),Hrn(2),Tp(2),Timp.と弦楽五部というもので、ステージ左から1st-Vn(10)、Vc(5)、Va(8)、2nd-Vn(10)という対向配置、左奥にCb(4)、中央正面に Fg(2)とFl(1)、Ob(2)、その奥にHrn(4)、右奥にTp(2)とTimp.という形です。

顔ぶれを見ると、今回の講師と参加者で足りないところを、山響メンバーが協力しているという形のようです。第1ヴァイオリンには犬伏さんや丸山さん、第2ヴァイオリンには中島さんや今井さん、菖蒲さん、チェロの茂木さんやヴィオラの田中さん、コントラバスの米山さん、フルートの小松崎さん、トランペットの井上さんなど、ところどころにいつもの山響メンバーのお顔が見えるステージとなりました。

滅多に聴くことのない第90番という曲は、なかなか堂々としたものですが、最後の第4楽章にハイドンらしい茶目っ気というか、ユーモアを感じました。偽休止というのか、いかにも終わったように見せかけて、また演奏をやり直す形が、一回だけでなくもう一回、三度目の正直でやっと終わります。山形の聴衆は、フライング拍手もフライング・ブラボーもぜんぜん起こらず、ちょっぴり不満を覚えるほど(^o^;)で、演奏もハイレベルでしたが、聴衆もハイレベルだったのでしょうか(^o^)/



アフィニス音楽祭は、有名名曲路線ではない、あまり実演に接する機会のないような曲目に接することができるという点で、得がたい機会となっております。万難を排してのぞんだ合同オーケストラ演奏会は、室内楽演奏会初日の曲目のうち二曲を聴くことができましたので、当初の希望の七割は実現できたことになりましょうか。

まずは、良かった~! この週末、大型台風の接近のニュースもありますので、桃の収穫を急がなければなりません。残るはあと二本です(^o^)/

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