電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

シューベルト「交響曲第1番」を聴く

2013年06月13日 06時01分04秒 | -オーケストラ
連日の快晴続きで、畑はすっかりカラカラで、自宅裏の果樹園でも地下水を汲み上げ、潅水しております。冷たい水を何百リッターも散布しながら、樹木が喜んで生き返るように元気になる様子を見ると、こちらも苦労のしがいがあるというものです。

畑には干ばつでしかないのですが、通勤にはこの好天はありがたい。まだ神学校に在籍する16歳と若いシューベルトが作曲した、交響曲第1番ニ長調D.82 を聴きながらハンドルを握ります。1813年の秋というこの曲の完成時期は今からちょうど200年前で、ベートーヴェンは交響曲第7番を初演し、ローベルト・シューマンはまだ3才の赤ちゃんで、ヴェルディとワーグナーが生まれた年にあたります。

第1楽章:アダージョ~アレグロ・ヴィヴァーチェ。ニ長調、2分の2拍子。オペラの序曲のような始まりは、やがて若々しく力強いアレグロへ。
第2楽章:アンダンテ、ト長調、8分の6拍子。穏やかな三部形式の緩徐楽章ですが、転調して悲しげな気分を示すところもあり、16歳の少年の感情の幅はけっこうありそうです。
第3楽章:メヌエット、アレグレット。ニ長調、4分の3拍子。前の時代の優雅なメヌエットではなく、スケルツォ風なものです。トリオ部のレントラー風のところは、いかにもシューベルト的です。
第4楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェ、ニ長調、2分の2拍子。速いテンポで軽いノリで、イタリア風というのかロッシーニ風というのか、当時の流行のスタイルだったのでしょう。ファゴットの出番が印象的です。



通勤の途中に聴いているのは、オトマール・スウィトナー指揮シュターツカペレ・ベルリンの演奏で、1985年の7月に東ベルリンのイエス・キリスト教会で収録された、DENON のPCMデジタル録音による紙箱全集の中の1枚、COCQ-83990 という型番のものです。もう1枚は、鈴木秀美指揮の山形交響楽団によるもので、Exton の EXCL-00082 です。



鈴木秀美盤は、速いテンポで、前向きではつらつとした躍動感があります。スウィトナー盤のほうは落ち着いた演奏で、とくに第2楽章の陰影の描き方は、うまいなあと感じます。若いシューベルトの交響曲は、予想以上に、意外なほど魅力的です。

■スウィトナー盤
I=12'04" II=8'04" III=6'41" IV=6'08" total=32'57"
■鈴木秀美盤
I=11'44" II=6'17" III=4'01" IV=5'25" total=27'27"

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