電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

カラヤンとベルリン・フィルの「シベリウス/交響曲第1番」を聴く

2008年03月07日 06時54分37秒 | -オーケストラ
日が長くなり、確実に春の気配が近付いておりますが、時おり小雪が降る気候で、まだまだ油断はできません。最近は、通勤の音楽として、カラヤン指揮ベルリンフィルによる、シベリウスの交響曲第1番を聴いております。カラヤンとベルリン・フィルがEMIに録音した、1980年代のデジタル録音です。(CC28-99004)

第1楽章、アンダンテ・マ・ノン・トロッポ~アレグロ・エネルジーコ。ひそやかなティンパニの連打の上で、クラリネットがゆったりと主題を奏します。さらに弦楽器が主題を奏しますが、これはいかにもシベリウスらしい、雄大さを感じさせるところです。展開部は幻想的な雰囲気で、終結部のピツィカートによる終わり方も、緊張感があり、かっこいいものです。
第2楽章、アンダンテ・マ・ノン・トロッポ~レント。ゆっくりとした、弦楽による叙情的な始まりが、次第に力を増して行くあたりは、カラヤンとベルリンフィルの面目躍如。
第3楽章、スケルツォ:アレグロ。ティンパニと組んだ終わり方が、なんともかっこいい。
第4楽章、クワジ・ウナ・ファンタジア。指定にもあるとおり、幻想曲ふうの味わいのある楽章です。最後の盛り上がりが消え入るように終わるところが印象的。

Wikipediaによれば、この交響曲第1番ホ短調作品39は、ベルリンで聴いたベルリオーズの「幻想交響曲」に刺激を受け、1898年に創作に着手、1899年に完成したものだとか。1865年生まれのシベリウスは32歳、1897年に国家から終身年金を受けられるようになったものの、酒に溺れ、浪費を繰り返し、自堕落な生活をおくっていたといいます。

終身年金を受けて何が悲しいのか、ちょいと悲劇的な要素のあるシベリウス青年期のこの音楽も、まるで雄大に飛翔する冬空の鳶のようです。

■カラヤン指揮ベルリンフィル盤
I=10'27" II=10'17" III=5'34" IV=12'04" total=38'22"

【追記】
トラックバックをいただいた eyes_1975 さんの記事によれば、作曲当時のシベリウスは、世間に認められ終身年金も受けられるようになっておりましたが、母と愛娘を亡くし、必ずしも幸福な時期ではなかったようです。なるほど、それでこの気分かと納得した次第。
コメント (4)