電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

ブラームスの性格形成

2008年03月03日 06時36分59秒 | クラシック音楽
三宅幸夫著『ブラームス』(新潮文庫)を再読して、ブラームスの少年期について、いろいろと考えさせられました。ブラームスは、精神的には母の影響が大きかったと言われます。ブラームス一家の生活は決して豊かではなく、どちらかといえば下層階級の生活であったようですが、母親は教養ある中産階級の出身だったそうです。ブラームスは、幼年期には母に、そして中学生に相当する年代には、私立学校で語学と数学と自然科学を学んでいます。また、二人の音楽の師に学びましたが、13~14才の時期には、夜の酒場でピアノを弾くことで生活をしなければなりませんでした。しかも、働き過ぎて健康を害し、保養を余儀なくされています。

中学生時代に、家庭の暖かさを充分に得られずに育った、音楽の才能豊かな少年。常に酔客の機嫌をとらなければならなかった、ストレートな自己主張の苦手な少年。それが少年ブラームスの姿だったとしたら、後年の不器用さや晦渋さや忍耐の姿勢は、よく理解できるような気がします。
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