電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

木曜時代劇「風の果て」第1回を観る

2007年10月21日 09時44分29秒 | -藤沢周平
この18日(木)から始まった、NHKの木曜時代劇「風の果て」を録画したDVDを取り出して、じっくり観ました。すでにいろいろなところで話題になっているようです。

番組の冒頭、貧しい少年が、酒を飲み凍死した父親を発見する場面。これは原作にはなかったはず。続いて筆頭家老の座にある桑山又左衛門の屋敷に、執政を風刺する狂歌が楽書きされる場面。そして又左衛門の家庭生活の場面。又左衛門は、幼名を隼太といい、上村家の次男坊でした。当時郡奉行だった桑山家に婿入りしたのでしたが、妻とはあまりしっくりいっているとは言えません。家庭のさざなみと、現在の政事の一端が描かれるとともに、主だった登場人物と青年時代の悔いが回想される形で進行します。

特に今回の山場は、同じ片貝道場に通う五人の仲間の一人である寺田一蔵が婿入りする相手、宮坂の後家の不倫の場を目撃するところでしょう。やや偏屈な野瀬市之丞に話しますが、二人よりもさらに貧しい一蔵の家の様子を目撃し、市之丞も結局は一蔵に伝えることができませんでした。そして、隼太と市之丞は分れ道で異なる方向へ歩み出すのです。

このあたりの構成は、よく整理されていると感じます。脚本は、まずは成功していると言ってよいかも。役者さんの名前は、ふだんテレビを見ない私にはちんぷんかんぷんですし、後に最大の政敵となる杉山鹿之助は少し優等生に類型化されすぎのようにも思いますが、演技のほうも上手だなと思います。なによりも緊迫感があります。

原作との違いは、妻の描き方でしょう。今回のドラマでは、妻の満江が語りを担当していますが、これは原作とは大きく違います。婿入りした桑山の家では、母娘ともにわがままで厄介な存在として描かれ、ふきが重要な日陰のヒロインになっているのですが、今回を見る限り満江さんがそれほど悪妻には見えず、ちょっぴり視聴者を意識したのかな、と思います。
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