電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

モーツァルト「ピアノ協奏曲第23番イ長調K.488」を聴く

2007年10月28日 06時13分43秒 | -協奏曲
モーツァルトのピアノ協奏曲を聴いております。本日は第23番イ長調K.488です。だいぶ昔、学生時代に、たしか友人から借りて、クララ・ハスキルのピアノでこの曲のLPを聴いたのが初めてだった記憶があります。今回は、アンネローゼ・シュミット(Pf)、クルト・マズア指揮ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏によるCD、DENONの紙箱入り全集からの1枚です。

1786年、30歳のモーツァルトは歌劇「フィガロの結婚」を完成しますが、この23番のピアノ協奏曲は、ちょうど「フィガロ」完成前後の作品だそうです。予約演奏会のために作曲された3曲(第23番イ長調K.488, 第24番ハ短調K.491, 第25番ハ長調K.503)のうちの一つ。

第1楽章、アレグロ。いつもの見栄を切るような開始ではなく、たいへん自然でスムーズな出だしがかえって印象的です。オーケストラがオペラのアリアのような主題を提示し、ピアノが再現する形ですが、展開部を経て演奏されるカデンツァはモーツァルト自身によるものと記載(Kadenzen zum Konzert KV488 von Mozart)されています。
第2楽章、アダージョ。呟くような主題がたいへんに美しい、モーツァルトのピアノ協奏曲では珍しいアダージョです。短いけれども、印象的な音楽です。そういえば、アダージョにオーボエが出てこない。クラリネットもソロを主張するほどではなく、なんといってもピアノが主役です。
第3楽章、アレグロ・アッサイ。一転して、飛び跳ねるような軽快なロンド楽章です。ファゴットが速いパッセージで腕前を見せる中、ピアノが華々しく縦横に活躍し、盛り上がります。コーダでティンパニの音がないことに気づきましたが、オーボエとティンパニを欠いたオーケストラの編成で、これほどの音楽になるのですね。

この素晴らしい協奏曲を前に、演奏のあれこれを云々することはいたしません。アンネローゼ・シュミットのピアノは充分に美しく、マズア指揮するドレスデン・フィルも、見事にサポートしています。1971年3月、ドレスデンの聖ルカ教会での自然なアナログ録音は、ミュンヘンのアリオラ・オイロディスク社によるものです。添付のリーフレットの解説は海老沢敏氏による充実したもので、録音データも詳細に記載され、たいへん良心的だと思います。

■アンネローゼ・シュミット(Pf),クルト・マズア指揮ドレスデン・フィル盤
I=11'00" II=7'05" III=8'05" total=26'10"
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