第1話「三婆」、宝くじがあたると、疑心暗鬼が起こるんですよ、これは洋の東西、また時代を問わないようで。
第2話「鬼ごっこ」、むかし母親に投げつけた言葉が、どれほど母の心を切り裂いたか、同じような年齢になってよくわかる。親の不幸の上で子どもは幸福にはなれないものなのでは。
第3話「烏頭坂今昔」、キセルも煙草もとんと縁がありませんでしたので、羅宇屋などという職業を初めて聞きました。
第4話「浦島の妙薬」、横浜の浦島寺、観福寿寺を見物に、東吾と宗太郎、源太郎と花世に長助とお吉が旅に出るが、甘党のおかしな商人・浦島屋太郎兵衛が死ぬ。はたして真相は。
第5話「横浜慕情」、横浜についた一行が、首くくりをしようとしていたイギリス人水夫を救う。ジョンを美人局に引っかけたのは、深川で東吾を知っていた女だった。久々にるいのやきもちが全開。
第6話「鬼女の息子」、中仙道大宮宿から旅籠に奉公に出ていたはずの娘が不明に。訪ねてきた父親の彦作が殺され、その娘もまた女郎の身分から逃げようとして折檻を受け、死ぬ。安達が原、鬼婆、という言葉を残して。
第7話「有松屋の娘」、幼い東吾のために嘉吉が買ってやった古い将棋と将棋盤。二人が向かう対局は、金では買えない値打ちがある。
第8話「橋姫づくし」、薬種問屋の紀伊国屋で、大量の阿片が紛失していた。橋姫と名乗る怪しい占い師が催眠術を使って人をあやつる。東吾と源太郎、宗太郎の活躍で、ようやく一件落着。
娘・千春が生まれて母親となったるいの存在感。やきもちは迫力を増し、東吾が兄通之進からもらった虎の子の十両を黙って預かってしまうところなど、いつのまにか強くなっている。強きもの、汝の名は母親なり。