電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

平岩弓枝『御宿かわせみ25・宝船まつり』を読む

2005年11月17日 20時59分52秒 | -平岩弓技
第1話「冬鳥の恋」、るいが神林家に歳暮の挨拶に行き、養子となった麻太郎と初めて対面する。巷では神林通之進が外に作った子らしいとの噂がもっぱらだが、東吾とるいの間の娘・千春と縁組させる心積もりかという憶測には心が揺らぐ。事件のほうも、兄妹とは知らず育った男と女が恋に落ち、真相を知って悲劇が生まれる、という話。
第2話「西行法師の短冊」、別人の歌を西行のつもりで書いて偽骨董を売りつける詐欺師と引っかかる人たちの間抜けなお話。
第3話は表題作「宝船まつり」。源太郎・花世のゴールデンお騒がせコンビを引き連れて、東吾と長助が祭り見物に出かけた。子どもの誘拐さわぎには古い因縁があり、姉の良心の呵責も溶け去ることだろう。
第4話「神明ノ原の血闘」、軍艦操練所の同僚といい定廻り同心といい、悪党が身近にいたものだ。
第5話「大力お石」、不器用で一途で大力の女、なんだか「かわせみ」の名物になりそうなキャラクターだ。これは昨今のテレビドラマ向けだろう。
第6話「女師匠」、自分の過去が見えるようだと、たぎる湯を顔に浴びせた娘を許す女師匠。ちょっと不自然な展開だ。こういう不自然さは、はねかえり不良娘がひそかにお百度を踏んでいるという無理な結末を導いてしまう。ちょっとありえないのではないか。
第7話「長崎から来た女」、るいがやきもちを焼く場面を作る必要があり、長崎の女の事件を作ったようですね。江戸まで350里を一人で歩いてきたり、異人の船でやってきたり、長崎の女性はそんなに強いのか、と思います。
第8話「大山まいり」、徐敬徳という薬種問屋が死んだ事件は、るいの直感と機転、宗太郎の見事な推理で、アヘン密輸を水際で防止する。

この巻では、麻太郎とるいが対面した、ということを覚えておきましょう。
コメント