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2012年83冊目『「部下力」のみがき方』

2012-06-20 16:39:17 | おすすめビジネス書
上司を上手に使って仕事を効率化する「部下力」のみがき方 (DO BOOKS) 上司を上手に使って仕事を効率化する「部下力」のみがき方 (DO BOOKS)
価格:¥ 1,575(税込)
発売日:2012-06-08

評価  (3点/5点満点)

自分の上司に行う報告や相談の際、常に上司の考えを予測して動くこと。本書ではこれを「部下力」と呼んで、その磨き方を学ぶことができます。

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私は上司ではあるものの、彼ら(部下)からその教えを乞う姿勢で接しました。ただし、営業部長なので、売上げや利益の達成には責任があるため、その追求はとことんやります。これは立場としての仕事であり責任です。

そのため、この頃の私は、同じ方が相手でも、部下のようにふるまったり、上司のようにふるまったりしていました。「ここはひとつお願いしますよ!」などとお願いをする一方で、「いや、この今月の数字は、何としてもやってもらわないと困ります。絶対に逃げないでくださいよ!」などと言ったりしていました。ただし、人間関係がしっかりできてくると、これでもうまくいくのです。

そして、この「部下のような上司」を経験したことで、「部下力」という問題について深く考えるようになったのです。部下の立場と上司の立場を毎日やっていると、それぞれの悩みや想いが自分の中に同居するようになりました。

そして、それらが同居しているからこそ、その両方のことがわかるのです。つまり、自分以外の相手のことも、よくわかるようになっていったのです。

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著者である新名史典さんがした会得した「部下力」の原点はここにあります。

「部下力」は、上司を上手に操るなどという小手先のテクニックではないと、読んで感じました。上司の置かれた環境・想い・苦悩を意識して知ろうとすれば、部下としてより適切な行動を取ることができると思います。

【my pick-up】

◎上司から任される仕事と上司に任せる仕事

上司の「役割」が最も大きく影響するのは、広く情報発信をするときと、上司の上司に情報発信をするときです。このときには、大いに上司の「役割」を活用しましょう。

自分が担当した仕事を、広く発信することがあります。その対象は、他部署だったり、場合によっては、取引先を含めた社外に対してということもあります。そのような大きな仕事ができるようになるのは喜ばしいことだし、自分自身にとっても誇らしいことです。できれば、そのまま自分が責任を持って情報発信したい。その気持ちは理解できます。しかし、ここは上司の「役割」によって、上司に情報発信していただくべきです。最近では、ここでもメールを活用することが多いでしょう。そのメールの内容もさることながら、そのメールが「誰から」発信されたか、ということが重要になります。

そして、ここで部下としての力を発揮する大切な仕事があります。上司から、情報を発信してもらうからといって、発信する内容そのものまで上司に丸投げしてはいけません。内容の詳細は、明らかに担当者であるあなたのほうがくわしいからです。ですから、内容については、担当者であるあなたが作成します。挨拶部分まで作ってしまっても構いません。そして、その状態で上司に「『叩き台』を作ったので、チェックしていただけないでしょうか?」と持ちかけるのです。このとき、決して「完成品」として持って行ってはいけません。完成品に近い形ではあるのですが、あくまで「叩き台」として持ち込むのです。でないと、暗に上司に対して「あなたには、発信だけを期待しています」というように伝わってしまうからです。上司はそれをチェックし、もし問題なければ、そこに自分なりのコメントを付すか、場合によってはそのまま活用してくれるでしょう。すると上司は、自分の「役割」をしっかり認識してくれている部下の配慮に好意を示すとともに、自分の手間を省いてくれた部下の配慮に感謝の気持ちが湧いてくるのです。

もうひとつのケースは、上司の上司に情報発信をしてもらうケースです。上司といえども、中間管理職です。極端なことを言うと、社長でない限り、すべての人には上司がいるわけです。すると社長以外のすべての人に、報告や相談の義務があるということになります。一般的な会社組織はピラミッド組織になっているため、上司の上司への報告は、上司から行うのが筋です。しかし、最近ではフラット組織と言って、実務上は経営者以外はみな横並びの組織になっているケースや、プロジェクト方式で仕事を進める場合には、実務上の上司が職責上の上司とは異なる(プロジェクトごとに上司が異なる)ことがあるかもしれません。

このようなときには、実務上ではそれほどお世話になっていなくても、重要なポイントでは必ず報告し、上司の上司にそれを伝えてもらうか、あるいは報告に同席していただくという配慮が必要です。実務では助けていただくことが少なくても、何らかのトラブルに巻き込まれたり、予想外の問題が起こった際、助けを求めなければならないケースがあります。そのためにも、ポイントポイントでしっかりと報告をしておきましょう。

できるだけ、上司から決定権を委譲していただけるように配慮しながら、重要なポイントでは上司の「役割」で情報発信してもらうのです。上司を動かすということには、このような要素があり、それをしっかりとやりきることで、あなたの仕事の効率は劇的に改善されることでしょう。

◎キャパは広くてもシェアは小さい

一つひとつの仕事について考えている時間や深さは、担当者にはかなわないのです。ですから、キャパシティは広いといえども、それぞれの仕事が頭の中を占めている割合、つまりシェアは決して多くないということです。この事実を、部下はまずしっかりと認識することが必要です。

よく、上司に相談に行っても、まともに対応してもらえなかった、と嘆く部下がいます。たしかに、その心情は理解できます。しかし、部下にとっては頭の中の70%くらいを占めているような重要な問題でも、上司にとっては5%程度しか占めていないかもしれません。それは仕方のないことです。環境の違いがあるからです。

ですから、嘆くのではなく、そのような状況にあることを理解して、ふだんから上司に情報を提供することで信頼を得ておき、必要なときに自分の考えを取り上げてもらえるようなアプローチをするのです。

◎「可愛がっている」ように見えるのは、周りからの偏見

上司は、部下をドライに見ています。それは悪い意味ではなく、仕事で貢献してくれる部下こそが大切な存在であり、個人的にいくら気が合っていたとしても、仕事で貢献してくれない部下は、むしろ厄介な部下と言っていいからです。

上司にまるで「先生」のような期待を抱いてしまうことがあります。そこには人格、知識、経験すべてにおいて、自分よりも優れた存在であると見てしまうのです。しかし、当然そんなことはあり得ないため、偶像は期待を裏切り、部下は失望することになります。そして自分と上司は合わないので、いつか合う理想の上司が表れることを期待するか、あるいは出会うために、自ら組織を飛び出すということになってしまいます。

上司と部下は「役割分担」である、ということが理解できれば、少しはこのような状況を防げるのではないでしょうか。

コメント (1)
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