![]() |
「前向き脳」のつくり方 価格:¥ 1,260(税込) 発売日:2010-10-27 |
評価
(3点/5点満点)
NHKアナウンサー、医師、衆議院委員公設第一秘書を経て、現在は脳医学などをもとにした学習指導・カウンセリングを行なっている吉田たかよしさんが、様々な研究結果から分かった前向きな考え・行動を取るための秘訣を紹介します。
著者の吉田さんは小さい頃ひきこもりだったそうですが、高校2年の夏に参加した学習塾の合宿における、規則正しい生活とグループでの頻繁なコミュニケーションが自分を変えるきっかけになったとのことです。
脳(科学)に関する本は最近数多くでていますが、運動・食事・睡眠の基本はこの1冊でほぼ押さえることができると思います。
【my pick-up】
◎人と話すことが前向き脳に変えてくれる
実は、他人と話すということにも、脳を前向きなタイプに切り替える効果があることがすでに解明されています。
うつ病になると言葉数が極端に少なくなります。脳を前向きなタイプに変えるためには、できるだけ多くの人と会話をする機会を増やして脳を刺激する努力をすべきだということです。ポイントは、親しい人ばかりではなく、親しくない人とも話をすることなのです。
心がけていただきたいのは、人に話しかけるべきかどうか迷ったときは、必ず、話しかける習慣を身につけることです。発言しようかどうか迷ったときは必ず発言するように心がけてください。
私は、受験生やビジネスパーソンに対し、少なくとも1時間に1回は、3分間程度でいいので、必ず他人と会話することを提唱しています。
◎運動の不足で後ろ向き思考に陥る
「仕事で成功したければ、体を動かしてください!」これは、私がカウンセリングを通して口が酸っぱくなるほどいっていることです。
最近になって、運動が脳に及ぼす効果が盛んに研究されるようになりました。その結果、運動に気分を前向きにする作用や不安感をとり除く作用があることが次々と見つかったのです。
中には、運動を行なうことが抗うつ薬に匹敵するほど強力な効果を持つことを示した研究も報告されています。また、運動を行なうことで幸福感が高まるという報告もあります。さらには、運動を行なうことによって記憶力が高まる効果や思考力が強化される作用など、気分以外でも脳機能に対する望ましい作用が数多く見つかっています。脳機能を存分に発揮しないとけない受験生やビジネスパーソンは、二重三重に運動を積極的にとり入れるべきだといえるのです。
◎短時間睡眠が前向きだという誤解
実践してみると分かりますが、睡眠時間を確保するというのは、精神的には、けっして楽なことではありません。
たとえば、職場の同僚から飲みに行こうと誘われたときに断るには、それ相応の勇気が必要です。そんな場合に、周囲に流されて飲みに行くということが、前向きな行動だとは思いません。勇気を出して断るべきことは断り、しっかりと睡眠をとって脳をメンテナンスすることが、本当の意味で前向きな行動だといえるのです。
これを機会に、ぜひ、自分自身の24時間を徹底的にチェックしてください。そして、事業仕分けのように、それぞれの予定に関してあなたにとっての必要性を検証していただきたいのです。こうして1日の中から無駄な時間をなくし、その分を眠る時間に回して、睡眠不足を解消してください。