評価 (4点/5点満点)
アデコキャリアスタッフ㈱を立ち上げて年間1300億円を売り上げる人材派遣会社に成長させ、現在は経営実務支援を行い、『35歳までに必ずやるべきこと』(かんき出版)などのベストセラーを持つ重茂達さんが、仕事のスピードを上げ、ダンドリを効率的に組むための考え方やノウハウを紹介します。
処理速度を上げつつ、ダンドリを上手に組む。この2つが揃って初めて時計の針を追い抜き、「なんでこんなに忙しいんだろう・・・」という毎日から抜け出すことができると重茂さんは考えます。
この本では、単に今やっている仕事に要している時間を短縮するだけでなく、空いた時間でさらにアウトプットを増やすことを目指しているのが特徴です。仕事術でよく言われている「逆算思考」や「緊急度と重要度によるプライオリティ付け」にも疑問を呈す、新たな視点も提示しています。
【my pick-up】
◎仕事は「逆算思考」より「前倒し思考」で
私は、仕事のスタートが遅い人は、仕事の仕方がどうも「逆算思考」に偏りすぎている気がしています。
逆算思考で設定した途中のミニゴールは、それを達成しなければゴールにたどり着けない最低限の目標です。逆算思考で凝り固まった人は、「ミニゴールまで、まだ1週間もある」と考え、しばらう動こうとしません。
仕事は原則的に、ゴール(未来)ではなく、スタート(現在)を起点とした「前倒し思考」で取り組むべきです。逆算思考は、現在から前倒しで進めたときに本当に間に合うのかどうかをチェックするときに使うものです。「前倒し思考」こそが、仕事を早く片づける秘訣です。
◎仕事は緊急なものから取りかかる。重要度は関係ない
私が仕事の優先度を判断する基準は、「緊急度」の一軸です。
なぜ緊急な仕事を優先するのかといえば、理由は至ってシンプルです。緊急な仕事を放置して別の仕事に取りかかると、集中力が削がれてしまうからです。
では、緊急度の高い仕事を優先しつつも、重要な仕事を忘れずにこなすにはどうすればいいでしょうか。私は「緊急ではないが重要な仕事は『一口だけ噛む』を実践しています。重要な仕事を1~2割だけ切り出して手をつけておくのです。
◎褒め言葉は税金がかからない無限の資源
人を褒めるとき、労をねぎらうときは、言葉を惜しんではいけません。自分でも大げさだと思うくらいに褒めて、ちょうどいいのです。
また、悪口の陰口は誤解を生むため慎むべきですが、褒め言葉による陰口なら遠慮は不要です。
褒め言葉は、いくら使っても損することがない無限の資源です。
◎専門性は2つ合わさって初めて武器になる
厳しい競争環境で生き残っていくには、少なくとも専門性を2つは身につけなくてはいけないと思います。
専門性を2つ重ねてこそ希少性が生まれ、ようやく他の人と差別化できるのです。
◎自分のことを好きになろう
私が自分を律することができるのは、立派な人間だからではありません。自分のことが好きだからです。
私は自分のことが大好きです。私が「自分に厳しく、人に優しく」を実践しているのも、根底には自分を愛する気持ちが人一倍強いからなのです。
努力が続かなかったり、いい加減な仕事を自分に許してしまう人がいるとしたら、それは自分を愛する気持ちが足りないことの裏返しの行動ではないでしょうか。
若い人たちには、一生懸命自分を好きになってほしいと思います。