評価 (3点/5点満点)
「考えること」の楽しさに気づかされる1冊です。
著者の廣津留すみれさんは、生まれ育った大分市の公立高校からハーバード大学に現役合格し、「首席」で卒業。その後、進学した米ジュリアード音楽院も首席で卒業して、現在はニューヨークを拠点にバイオリニストとして活動されています。また、ニューヨークで音楽コンサルティング会社を起業し、CEOも務めています。
ハーバードでいちばん驚かされたのは、仲間たちの「知的好奇心」と「思考力」の高さ。
それに廣津留さんも触発されて、「チャレンジすれば自分の得意分野にたどり着く」ことと「チャレンジするのにtoo late(遅すぎること)はない」という思いに至ったそうです。
1つのトピックについて突っ込んで熟考するなど、世界のトップ1%の考え方や行動は、私たちの仕事にも役立てられるでしょう。
【my pick-up】
◎2つのルールだけ守って論理的に文章を書いてみよう
日本では、国語の授業や夏休みの課題で、作文や読書感想文を書かされることはあっても、作文の書き方は教えてくれません。子どもに書かせるだけ書かせておいて、先生は評価するだけ。どう書けばいいのかの指導がないのは不思議な話です。一方、アメリカでは、自分の考えを誰にでもわかるように、論理的に説明する能力を高めるため、誰でも小学生の頃から英作文の書き方を教えられます。それが「5パラグラフ(段落)エッセイ」、つまり5つの段落からなる小論文です。5パラグラフエッセイの構成には、完成されたテンプレートがあります。1つ目のルールは「1パラグラフ・1アイデア」。1つの段落には、1つの考えや主張しか入れないというシンプルなルールです。2つ目のルールは、5つの段落が「イントロダクション(導入)⇒ボディ1(本論)⇒ボディ2⇒ボディ3⇒コンクルージョン(結論)」という順番で展開していることです。本論は必ずしも3つ必要なわけではないのですが、説得力を高めるために通常は1つや2つではなく、3つの根拠を展開するのが慣例になっています。
◎「二兎を追う者は一兎をも得ず」ではなく「二兎追って三兎得る」ようにしよう
ハーバード生はむしろ「二兎追って三兎得る」というスタイルです。若いうちはあえて焦点を絞らず、興味のあるものを好きなだけ追求するのです。だからハーバード生たちは、スケジュール帳が真っ黒になるくらいのマルチタスクで、TODOリストをクリアしようと頑張ります。何か1つの分野を突き詰めてスペシャリストになることは大切ですが、突き詰める分野をどん欲に増やす姿勢は、これからはビジネスパーソンにも欠かせないと思います。