厳選!ビジネス書 今年の200冊

2008年ブログ開設から、紹介したビジネス書は3,000冊超。
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今年205冊目『走ることについて語るときに僕の語ること』

2011-11-30 14:53:43 | おすすめビジネス書
走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫) 走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)
価格:¥ 540(税込)
発売日:2010-06-10

評価  (3点/5点満点)

小説家・村上春樹さんにとって走り続けるというのがどのようなことであったか、それについて思いを巡らし、自問自答しているのが本書です。走ることについて正直に書くことは、自分自身について正直に書くことでもあったと振り返ります。

村上さんが専業作家としての生活を開始した20年以上前から路上を走り始め、世界各地でフルマラソンやトライアスロンレースを走り続けてきたことは有名ですが、「小説をしっかり書くために身体能力を整え、向上させる」ことを目的としたそのストイックさに圧倒されます(村上さんご自身はただ単に好きだからやっているとのこと)。

「さあ、みんなで毎日走って健康になりましょう」というような主張が繰り広げられているわけではありませんが、読んだら走らずにはいられなくなります。運動は間違いなく、仕事や生活に良い影響を及ぼします。

私も金曜日以外は毎日10キロ走る習慣を3年半続けています。

【my pick-up】

◎僕が「まじめに走る」というのは、具体的に数字をあげて言えば、週に60キロ走ることを意味する。つまり週に6日、1日に10キロ走るということだ。

◎走ることは、僕がこれまでの人生の中で後天的に身につけることになった数々の習慣の中では、おそらくもっとも有益であり、大事な意味を持つものであった。そして二十数年間途切れなく走り続けることによって、僕の身体と精神はおおむね良き方向に強化され形成されていったと思う。

◎考えてみれば、そういう太りやすい体質に生まれたことは、かえって幸運だったのかもしれない。つまり僕の場合、体重を増やさないためには、毎日ハードに運動をし、食事に留意し、節制しなくてはならない。しんどい人生だ。しかしそのような努力を怠りなく続けていると、代謝が高い水準で保たれ、結果的に身体は健康になり、頑丈になっていく。老化もある程度は軽減されるだろう。

◎僕自身について語るなら、僕は小説を書くことについての多くを、道路を毎朝走ることから学んできた。自然に、フィジカルに、そして実務的に。どの程度、どこまで自分を厳しく追い込んでいけばいいのか?どれくらいの休養が正当であって、どこからが休みすぎになるのか?どこまでが妥当な一貫性であって、どこからが偏狭さになるのか?どれくらい外部の風景を意識しなくてはならず、どれくらい内部に深く集中すればいいのか?どれくらい自分の能力を確信し、どれくらい自分を疑えばいいのか?もし僕が小説家となったとき、思い立って長距離を走り始めなかったとしたら、僕の書いている作品は、今あるものとは少なからず違ったものになっていたのではないかという気がする。具体的にどんな風に違っていたか?そこまではわからない。でも何かが大きく異なっていたはずだ。

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今年204冊目『自分の言葉で語る技術』

2011-11-27 00:17:31 | その他私が読んだ本
自分の言葉で語る技術 自分の言葉で語る技術
価格:¥ 1,449(税込)
発売日:2011-08-12

評価  (2点/5点満点)

いろいろと頭の中では考えているのだけど、うまく整理できない。また自分の考えがはっきりあっても、適切な言葉で表現できない。こういった、自分の言葉で語れないことで、損をしている人は多いと思います。

本書は、自分の言葉で語ることが苦手な人に向けて、58の技術を提示しています。内容は、心構えの問題から純粋なテクニックまでさまざまです。

「自分の言葉で語っているかどうか」を決めるのは他人であり、他人から見て自分の言葉で語っているように見えることが重要です。具体的には、①自分の体験から得た発見を具体的に語る、②視点や次元を意識して変えながら語る、③語り方の巧拙よりも伝えたい気持ちと少しの勇気、という3カ条が基本です。

自分の言葉で語る人になるためには、まずは「借り物の言葉をそのまま使わない」という意識を持ちましょう。時には仕事の効率性を度外視して、自分の思いを手間をかけて言葉にすることも、相手に訴えかける上では大切です。

【my pick-up】

◎メールにはあえて無駄なフレーズを入れる

PSなどで、できるだけ用件以外の無駄なフレーズを入れるようにします。私は無駄の中にこそ、何か繋がりが産まれる可能性があると信じています。だから、何か思いついたら用件とは関係のない無駄なフレーズを書きます。実際、そこから仕事に繋がることもあります。メールの署名欄に書いていた当時のキャッチフレーズ「ビジネスをエンタテインメントに!」という言葉に、なぜかKさん(はじめて出した本の出版社の社長)はピンときたのです。「お世話になっています」「お疲れさまです」「よろしくお願いします」などの定型文は何も産み出しません。定型から外れた無駄なフレーズこそ、あなた自身の言葉です。そのひと言が人生を変えることだってあるかもしれないのです。

◎商品の情報を売らずに、お客さんが使うときの未来のストーリーを売る

あなたがすべきことは、商品の説明ではなく、商品を手に入れたときにどんな未来が待っているかのイメージをお客さんに共有してもらうことです。参考になるのは、ジャパネットたかたの高田明社長のトークです。高田さんは、商品のスペックや機能で商品を売ろうとしていません。お客さんが実際にその商品を買った後に、日々の生活でどのような変化があり、どんな楽しい未来が待っているかのイメージがわく語りをします。たとえばICレコーダー。以前はビジネスユースでしか売れないというイメージだったのを、主婦向けに売って大ヒットさせました。共働きで外出してしまうお母さんが、子どもへの伝言に使えばいいですよという提案を、未来の情景が浮かぶように語ったのです。

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今年203冊目『つながる読書術』

2011-11-25 16:26:31 | おすすめビジネス書

つながる読書術 (講談社現代新書) つながる読書術 (講談社現代新書)
価格:¥ 798(税込)
発売日:2011-11-18

評価  (3点/5点満点)

本書のタイトルの「つながる」には次の5つの意味が込められています。

1.ある本を読んで、次の本へと「つながって」いく読書の愉楽。

2.書物を通じて、人と人とが「つながって」いく醍醐味。

3.ネットやリアルの読書会などを介して、本来出合わなかった名著と「つながる」贅沢な時間。

4.本を読んで、無知または未知または無関心だった多彩な現実世界と向き合う「つながり」。

5.自己目的の読書にとどまらず、何が起きても不思議ではないこの時代に、良かれと思ったことを即行動に移せるか否か、という「つながり」方。

著者の日垣隆さんは、読書の多くはこの5つの楽しみのためにやめられないそうです。

おもしろい本を読んで自分の中にとどめておくのではなく、発信する。その広がりが、また自分にも影響を及ぼす。「自分一人ではなく、みんなでおもしろがる読書術」という点が、他の読書術と異なる特徴です。

書物は先人の知恵で満ち満ちています。また読書は、「なんとなく」とか「だらだら」とか「意志とは無関係に」というレベルで続けられるものではありません。本を読むことで、パソコンでは出せない答えを考え出せる人間になりましょう。

30歳から49歳までの社会人が読書に使っている時間は7分半ほどでしかなく、毎月数冊の本を読む人は1%もいません。名著があるのは事実ですが、まずはどんな本でも必ず学ぶことはあるという姿勢で読み始めてください。

【my pick-up】

◎まず「ベーシックな読み方」を身につける

本の書き手もまた、「相手にもっと伝えなければ」というサービス精神を発揮します。本には、著者が書き終えた時点で「ここだけの話を伝える」というサービスがあらかじめ盛り込まれています。時と場所と読み手のスキルにかかわらず、貴重な情報が得られるメディアだからです。本とは比較的廉価なセミナーであり、会えないような人に会えるインタヴューでもあります。こうした意識をもったうえで、選んだ本を実際にどんどん読んでいきましょう。

◎読書ノートではなく「本」にメモる

「読み終えた本はブックオフに売るから、きれいに読むことにしています」などと言う、なんとも情けない貧乏根性を披露する気の毒な人がいますが、どんな希少本だろうと新品同様だろうと、ブックオフの買い取り価格は、せいぜい定価の10分の1程度でしかありません。1000円の本を読み終えたあとで100円儲けたいからといって、借りたもののように及び腰で読んで、いったい何が身につくというのでしょう。

他方、100円をすっぱりあきらめ、線を引き、印を付け、余白に自分の感じたあらゆることを書き込むといった読み方をすれば、それは世界に1冊だけの本になります。書店にいけばたやすく手に入る1000円の本を、読み手としての自分が希少価値のある唯一の本に〝育て上げる〟という心意気を持ってはどうでしょう。あとあと100円より多くの利益が返ってくることは、言うまでもありません。

◎読書会は参加もいいけれど主宰せよ

本を通じた仲間は、〝経験〟としての共通項よりも、興味、関心、知性、教養など、〝考え方〟としての共通項をもって結びつきやすい仲間です。大人になって、こうした仲間を見つけるのは、かつては至難の業だったと思います。しかし、ネットが状況を一変させてくれそうです。その意味で読書会は、今後、有意義なコミュニティづくりの機会にもなるのではないでしょうか。

◎本を読むという習慣を維持するためには

まとまった時間が2時間はないと、本を読む習慣が減っていく可能性は非常に高いでしょう。知的コミュニケーションの糧となる本、咀嚼することで自分の血肉となる本、さらに言うと〝キョーヨー〟を培うための本は、従来の紙の本が最も適していると確信できます。ここで肝要なのは、いかに「2時間の固まり」を確保するかということです。

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今年202冊目『ビジネススクールで身につける会計力と戦略思考力』

2011-11-24 14:17:57 | おすすめビジネス書
ビジネススクールで身につける会計力と戦略思考力―ポケットMBA〈4〉 (日経ビジネス人文庫) ビジネススクールで身につける会計力と戦略思考力―ポケットMBA〈4〉 (日経ビジネス人文庫)
価格:¥ 840(税込)
発売日:2007-08

評価  (3点/5点満点)

会計=「会計用語の暗記」「会計ルールの理解」という固定観念を捨て、会計の数値を企業活動と結びつけて考えることが、一般のビジネスパーソンに求められています。本書では、会計の数値と企業活動の往復をスムーズに行うための手法を解き明かします。

具体的には、「会計のWHAT?」の学習ではなく、「会計のWHY?」の追求、つまり数値を見て「なぜそうした数値なのか?」と問い続けること。さらに、「SO WHAT?」(「そこから何が言えるのか?」)を問いかけることで、目に見える事象から経営の意味合いを導き出すことができます。

これまで1万人以上の社会人にアカウンティング(財務会計・管理会計)やファイナンスを指導してきた著者の経験から、研修形式で実際の会社の事例を使いながら、経営・仕事に使える会計が学べます。財務に携わる方以外でも、初めから順番に読んでいけば、少しずつ理解できるようになっています。

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今年201冊目『社長のメモ』

2011-11-23 00:52:34 | おすすめビジネス書
社長のメモ 社長のメモ
価格:¥ 1,365(税込)
発売日:2011-05-25

評価  (3点/5点満点)

障がい者など就労弱者の雇用に積極的に取り組んでいるアイエスエフネットグループ代表・渡邉幸義さんが、いつも社員に伝えていることを中心に、どんな時代でも確実に生き残っていくためのヒントを示します。

この本に書かれている内容はすべて「そのことが人のためになっているか?」「そのことは人として正しいか?」という倫理の軸に基づいています。

他人よりも一歩抜きんでる戦術ではなく、「どうやって他人を幸せにするか」を第一に考えれば、結果的にビジネスの世界で勝ち組になるとの主張です。

皆さんの会社は、家族と同じような思いやりに満ちた組織になっているか。親は子どものために喜んで汗をかくように、あなたの上司は部下を思いやり、心配し、気遣っているか。日本のかつての多くの企業が実践していたこのような経営意識を、海外への発信も含め改めて見直したいものです。

【my pick-up】

◎今日は2週間先のことをやる

2週間前から準備をしておくと、それまでの間、常に本番に向けて何をしたらいいかということが頭に入っているので、当日は最高のパフォーマンスで臨むことができます。2週間先のことをやる習慣を身につけていると、気持ちの余裕もできてきます。

◎一歩先を見据えたアクションづくりが大きな差を生む

成功している経営者やビジネスマンの多くは、先読み能力に優れています。会社が今、力を入れていることの意味がわかるようになるので、それに沿って自分も仕事を工夫できるようになるのです。一歩先を見据えながら仕事をすることで、未来の可能性は大きく開かれていくでしょう。

◎片づけられない人には定量化で説得する

たとえば、数人に資料を渡しておいて、1ヵ月経った頃に全員に「前に渡した資料を今すぐ持ってきて」と言います。すると、整理整頓されている人は10秒で書類を出しますが、整理されていない人は探し出すのに1分かかるかもしれません。資料を探している時間を測ると、どれくらい整理整頓ができていないかを他人と比較することができます。こうして定量化することで、「整理整頓は大事だな」ということをわかってもらいます。

◎「利己」が満たされてはじめて「利他」に発展する

「自分のために」という欲求が満たされるようになると、次は「誰かのために」という利他の心が生まれてくるのです。

◎相手から好かれたければ相手に興味をもつのが鉄則

人間関係がうまくいかない、夫婦仲が悪い、親子の関係が悪いという人のほとんどが、相手に興味をもっていません。相手の話をよく聞いて、相手に興味をもつことが大事です。また、言葉にしなければ何も伝わらないのです。気づいたことを相手に伝えることは、「あなたに興味をもっていますよ」ということと同じです。

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