厳選!ビジネス書 今年の200冊

2008年ブログ開設から、紹介したビジネス書は3,000冊超。
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2021年46冊目『革命はいつも、たった一人から始まる』は、答えのない時代に「情報編集力」と「行動力」を使って課題解決し変革を起こす

2020-12-29 15:14:49 | おすすめビジネス書

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評価 (3点/5点満点)

日本の喪服は、江戸時代までは黒ではなく白だった。

手入れのしやすさや、欧米諸国の影響もあり、戦後は急速に黒い喪服が広まっていく。

誰もが信じていた「喪服は黒」という常識でさえ、歴史を調べてみると、そうとは限らない。

常識は、すべて疑うくらいでちょうどいい。

たとえば、白から黒にして大ヒットしたものに綿棒がある。

黒いトイレットペーパーも通販で売っている。ホテルのような高級感がある場所のトイレだと、壁も黒やこげ茶で、かつダウンライトで暗めにしているため、黒いトイレットペーパーが似合い、高級感が出る。

(序章より)

 

とにかく1つの正解を出すだけなら「情報処理力」を高めればいい。しかし、今のような成熟社会でビジネスの問題を解いていくには、課題設定も含めて「情報編集力」が大事です。

この本ではそんな情報編集力を発揮して変革を起こした実際のケースがいくつか登場します。

 

イノベーションを組織で起こす場合でも、私は、あくまで個人の行動が鍵になると考えている。個人がどう考えるか、その思考法が大事なのだ。

「コロナのせいでダメなんだ」という思考法を全従業員が取るなら、会社も組織もそのようになるだろう。

革命はいつも、たった一人から始まる。これが基本だ。

だから、破壊的に現状を打破して、突破していく個人を育てなければならない。

(P.39より)

 

本書では、目の前の「当たり前」を疑い、常識や前例をそのまま採用する「コトなかれ主義」を排し、「コトあれ主義」で「ちょっとした狂気」を発揮して、どんな振る舞いをし続けたかを、著者の体験を中心に話しています。

たいがいの「当たり前」への疑問は、話してみると同じ疑問を持つ仲間を引き寄せることになります。

また、「情報編集力」を鍛えると、「頭の中で複眼思考しながら問いを立てる力=旗を立てる力」は増しますが、いったん実行に移したら、それを無限に修正する行動力も必要となります。

 

本書を読むと、仕事をする人生を歩むビジネスパーソンにとって、人生の後半戦にも通用する「幸福」のタネはなんだろう?と考えさせられます。

・なんでもいいから「現役」であること。

・自分が「成長」いている実感があること。

・勤め先の組織とは別の「コミュニティ」における居場所が確保されていること。

 

さらに、現代のネット社会は、個人を出版社や新聞社やTV局のようにメディア化しただけでなく、私たちが工場を持つことなくメーカーになれるチャンスをも与えてくれたという事実を、本書から読み取ることもできます。

 

【my pick-up】

・スマホを猛烈に利用しつつつ、意識のどこかではスマホとの距離を保たないとあなたも皆と似てきてしまう。

・単純作業は自動化・無人化して、社員の脳をできるだけ情報編集の側に切り替える。

・最初の段階で相手から敵だと判断されるのは単純に損である。自分のキャラの中からどこかを切り出して相手に渡す。著者の場合は「教育界のさだまさしです」というキャッチフレーズからいつも講演を始めている。

・遊び心を持って、自分のキャラを編集してみる。上か下の名前がすごく複雑または読みにくい人も有利だ。少しネタがあるなら盛ってよい。演出して名前をうまく利用して語ることで共感を得よう。

・赤ちゃんが母親から出てくる瞬間は、見ているこちらも頭が真っ白になる。どんな大きなチャレンジでも、生まれてくる以上に怖いことは絶対にないし、これ以上危ないこともない。

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2021年45冊目『花王の経理パーソンになる』は、一企業の経理業務の詳細を紹介する貴重な一冊

2020-12-29 15:05:23 | おすすめビジネス書

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評価 (3点/5点満点)

2019年まで30期連続増配という東証一部上場企業最長記録を更新し続けている花王。創業130年を超える老舗企業でありながら、持続的に成長をし続けている日本を代表する会社と言えるでしょう。

 

この本では、断片的な企業の実践事例の寄せ集めではなく、花王という非常に優れた一企業の管理会計や原価計算・原価管理を中心とした経理業務の全体的取り組みから学べることがユニークです。

 

また、入社後の研修期間を経て、工場経理部門への配属、入社3年目に本社管理部(管理会計グループ)への転属、4年目に本社財務部への転属、6年目に本社経営企画部(プロジェクト推進)への転属、というキャリアパスを経ていくストーリーで構成されています。

 

花王は、日本における管理会計発展史を1社で体現しているような貴重な事例です。

読者の皆さんの自社の取り組みと比較する上でのリアリティの高さから、有用性を発揮できる1冊になると思います。

 

【my pick-up】

◎花王の経理の仕事

花王の経理では「経営の羅針盤」という言葉がよく使われる。経営の羅針盤とは文字通り、経営に「道筋を示す」という意味合いであり、3つの領域(管理会計・制度会計・財務)のなかでも将来の情報をあつかう管理会計は特にその色合いが強いといえる。制度会計は財務諸表の開示を通じて、株主や債権者、投資家とコミュニケーションを取る非常に重要な役割を果たす。

そうしたなかでも、花王は伝統的に、将来の予測数値を非常に重要視している。実績はただの過去の情報にすぎず、経営意思決定に役立つのは圧倒的に将来の情報である。実績の集計には時間をかけず効率的に、他方、将来の予測には多くのリソースを割く、そのような意識が経理部門全体に根づいている。

◎原価管理-原価検討会

花王の原価検討会は、経理部門が主体的に提案できる好機となっている。普段確認している数値から問題点を洗い出し、関係部門に対して改善策を提示する経理部門主導の提案となる。こうした提案が軌道に乗ると、経理部門は定常業務とは違ったおもしろさを感じることができると同時に、関係部門からの依頼に応えるという普段の関係性に加えて、経理部門から現場への矢印がうまれ、双方向のコミュニケーションが活性化することにもつながっている。

◎業績管理-事業別損益管理

ブランドは、ブランドごとの営業利益目標の達成に責任を負う。ただし、営業利益は、製造部門の変動費差異や固定費差異など、ブランドマネジャーにとって管理不能な要因の影響を受ける。それにもかかわらず、花王ではブランドマネジャーが、管理可能な要因だけでなく管理不能な要因も反映した営業利益に責任を負う。つまりそのブランドの損益に関わるすべての事象を把握したうえで、営業利益目標を達成するためのマネジメントができることを意図している。

そうしたなかで重要な役割を果たすのが、収支検討会という会議体である。管理会計グループでは各事業に担当者を置き、毎月、事業部長やブランドマネジャーに対して予実差異分析の報告や年間の着地見込、さらなるコスト削減提案などをおこないながら、事業と協働して予算の達成を目指していく。

◎EVA(経済的付加価値)

資本コストを上回る「真の利益」を増大させることで、花王のEVA経営は成果を上げてきたが、EVAの活用術は決して一朝一夕に手に入るものではない。EVAは資本コストや投下資本を用いて算定することから、その活用には貸借対照表を正しく理解することが不可欠である。従業員に資産の最大活用の意識を浸透させるのはもちろん、経営陣がEVAを活用するためにも、継続的な研修や教育が重要となる。

◎経営管理ツール-国内SAP導入

プロジェクトの最も困難な会計課題は、予算編成回数を年に2回から1回に削減することであった。これまで上期と下期の年2回の予算編成をしている日本を、外部ステークホルダーには年間でコミットメントしていることに歩調を合わせ、アジア・欧米と同様に年1回の予算編成に変更した。もちろん予算編成回数を減らすことで、年度後半の予算精度が落ち、下期の予算と実績を比較することへの否定的な意見も聞かれたが、販売予算から生産・調達予算まで品名ベースで積み上げる膨大な予算編成作業が、半分に効率化された効果は大きかった。

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2021年44冊目『報道キャスターが現場で学んだ42の仕事術』は、著者の経験から特に「話し方」が参考になった

2020-12-29 14:53:34 | おすすめビジネス書

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評価 (3点/5点満点)

著者は、夕方のニュース番組「news every.」に出演し、「ナゼナニっ?」というニュース解説のコーナーを担当している小西美穂さん。報道の現場に立って約30年。記者として、また特派員、キャスターとして、さまざまな経験をされています。

この本は、2019年4月から1年間、日刊ゲンダイで小西さんが書いた「キャスター小西美穂 仕事のルール50」という50回に及ぶ連載コラムがベースになっています。

また本書では、今後のリモート時代を見据えた新しい仕事のルールを「リモート時代の新ポイント」としてお伝えします。

コロナによって、当たり前だったことがそうでなくなり、変化に適応する難しさを痛感した半面、楽しさや便利さ、新たな発見もたくさんありました。

 

・変わること、変わらないことを見つめ直し、コミュニケーションやチームづくりの重要性を再確認する。

・企業でテレワークが導入され、求められる能力や評価基準も変わりつつある。

・デジタル化の加速に伴い、新しいスキルも必要。スピードも求められる。

 

いま、特に気がかりなのは、コロナで人との接触機会が減り、悩みを抱え込みがちな人が少なくないことです。

本書の2章で紹介されている、心を整えるためのノート術を試してみてください。

 

【my pick-up】

◎〝イタイ50代〟にならないために

「ITは苦手で、そこは部下にやらせて、なんとなく乗り切っていた」という人も、テレワークが一気に進んだために大変な思いをしているのでは?職場の評価基準も変わり、ITスキルや自己管理能力を持つ人の価値が高まっていますよね。リモートで打ち合わせをしているときなど、慣れた人はスムーズに画面を共有し、普通に「いま、チャットで送ります。URL送りますね」というような作業をしますよね?それくらいは覚えたほうが、〝イタイ50代〟にならずにすむという気がします。

◎ネガティブな前置きはNG

こんなふうに部下から話を切り出されたらどうでしょうか?「話がまとまらないかもしれませんが」あえてネガティブな印象をつけるのは「聞く側の期待値を下げてしまいたい」とか「恥をかきたくない」という自己防衛の心理が働くからでしょう。「まとまっていないの?だったらポイントがわからないじゃん」結果的に悪くない提案だったとしても、ネガティブな気持ちから始まることでストレートに伝わらず、その価値を自ら矮小化してしまう。悪い予告ワードを使うくらいなら、何も使わずに話し始めたほうがいいと、私は思います。

◎口グセは録音で直す

実際に自分が話しているときの様子をICレコーダーやスマートフォンで録音して、聞き返してみることです。自分の悪いクセと向き合うこともつらい作業になります。でも、そこを乗り越えてこそ成長がある!と信じてください。しゃべりを仕事にしているプロであっても、努力しないと直らないものなのです。自分の悪いクセを直すには、きちんと自覚することが出発点になります。こうした経験をしなければ、一生直ることもありません。

◎心配な相手には「マイナス」の声かけを

私は、相手に寄り添おうとするとき、「マイナスの言葉から入る」ことを心がけるようになったのです。「元気にやってる?」といったプラスの言葉で聞かれたら、相手は「はい、なんとかやっています」と調子を合わせるしかありません。「そろそろ疲れがたまるころじゃない?」という具合に声をかければ、相手は「そうなんです」と心情を吐露しやすくなるはず。そうやって話してくれた本当の気持ちを「大変だよね」とうなずきながら受け止めれば、相手も安心していろいろと話してくれるようになります。

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2021年43冊目『急に「変われ」と言われても』は、これまで決断を先送りしてきた働き方や生き方をいま考えるチャンスだとのメッセージ

2020-12-28 13:44:20 | おすすめビジネス書

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評価 (3点/5点満点)

この本は、「緊急事態宣言」が明けた5月末、7夜連続で行われたオンライントークイベントの内容をもとに構成されています。

各界で活躍する先駆者を毎晩1人ゲストに迎え、ひたすらに「この先、どうすればいいですか?」と問い続けます。

その結果、本書では考えるための、動き出すためのヒントがたくさん見つかります。それらは、今だけではなく、これから先いつでも、そして誰にとっても必要な、変わることのない大切なものも含まれています。

 

『急に「変われ」と言われても』というタイトルは、「変化するにせよ、失敗はしたくない」「どのように変化すればいいのか、正解を知ってから動きたい」という、読者の切実な声を反映したものです。

 

2020年の私たちは、緊急事態宣言下で「ステイホーム」しながら、「働き方」や「家族のあり方」や「自分自身の生き方」という視点で、突如としてこの問いに向き合うことになりました。ただし、2020年になって初めて出てきた問いかと言われれば、けっしてそのようなことはないでしょう。わかっていたけれど、問題を先送りして、決断を留保していた、というのが実際ではないでしょうか。

 

若い世代の中には、変化に対して消極的な親や先生、上司のもとで、いつの間にか勇気をくじかれ「どうせ声をあげても無理」「どうせ行動しても無理」と、諦観した生き方にどっぷりと浸かってしまっている人もいるようです。

 

「どのように変化すべきか? そんなことはこっちに聞くなよ、自分で考えろ!」

結局は、主体的に考え、選択し、変化するにせよしないにせよ、その行動の責任を引き受ける、それしかないですね。

 

本書を読めば、「ワクワクする何か」を、とにもかくにも始めたくなるに違いありません。

 

【my pick-up】

◎杭もガーンと飛び出てしまえば、打たれるのではなくて「すごい」と言われる

「専門」を突き詰めるのはやめて、「特別」をめざしたほうがいい。余人をもって代えがたい人物になるということ。これは才能の問題ではなくて、視点の問題。

◎1~2%の人はすでに走り出している

他の大部分の人は、自ら道を拓くというよりは、先行した人たちを見て、そのどれを選ぼうか、となるわけです。「人と同じがいい」という考えのなかでは、決めることも発想することもできません。

私はよく、「決める」というのは10人中3人になる覚悟だ、と言っています。さらに「発想力」には、10人中1人になる覚悟が必要です。「発想力」って、だれも言わないことを言うこと、残りの9人とは違うことを考える力だから。

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2021年42冊目『MBAのアカウンティングが10時間でざっと学べる』は、苦手意識を持つ人が多いゆえに身につければ有利となる会計のエッセンスが凝縮

2020-12-28 13:34:17 | おすすめビジネス書

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評価 (3点/5点満点)

この本の特徴は3つあります。

 

・会計の約100のポイントを分かりやすく解説します。

・会計を網羅的に学べます。(財務会計・管理会計)

・経営視点で、多くのビジネスリーダー、ビジネスパーソンが会計のポイントを学べます。

 

会計(アカウンティング)は、経営学の分野の中では、「数字を使う」「理論やフレームワークの比重が約70%」「あまり人気がない」といった特徴がありますが、逆に考えると「経営に関係する数字を理解することで客観的にビジネスを見ることができるようになる」「理論やフレームワークを学ぶことで70%のレベルまでは誰でも到達できる」「苦手意識を持つ人が多いからこそ、しっかりと学ぶと大きな強みになる」というメリットもあります。

 

会計を実務で活用していくためには、本書だけでなく、今後も継続して会計と接点を持つ機会を増やすことが必要だと思います。自社や競合企業、あるいは新聞、雑誌、ネット情報で話題になり関心を持った企業の財務諸表を見て、簡単に分析してみるのがオススメです。

 

誰でも一定のレベルまでは到達できるうえに、苦手意識を持つ人が多いという傾向があるため、会計を身につけるとビジネスを行う際の大きな強みにもなりますよ。

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