評価
(3点/5点満点)
日本肥満学会名誉会員(元理事長)で医学博士の井上修二さんが、男性の生活習慣等に着目した男性のためのダイエット法を紹介します。
この本で繰り返し述べられているのは、適度の食事制限と運動習慣の両方を継続的に行うことが必要で、病的な肥満症の人は体重を5%減らす、肥満症一歩手前のメタボな人は体重を3キロ(それに伴いウエストを3センチ)減らすことを目標としています。
どんなに食べても太らないという人は例外で、私たちの多くは、これからもずっと、ダイエットと無縁ではいられないでしょう。
また、自らの健康を自らの手できちんと管理することは、仕事のパフォーマンスにも大きく貢献します。太っているのは自己管理ができていないと見做されても仕方ありません。
【my pick-up】
◎中高年になると太りやすくなる
「中年太り」という言葉があるように、中高年が太りやすいのは、基礎代謝エネルギーの減少に伴い消費エネルギーが減少しているのに摂取エネルギーが若いときと変わらないことに、その原因の一端があるのです。
◎ダイエットのプロセス
第一段階は、ダイエットをはじめた直後。ちょっと食べる量を減らし運動するだけで、すぐに体重が落ちます。この時期に減るのは、主として身体の水分です。
第二段階は、ダイエットがペースダウンする停滞期です。この時期から、主として体脂肪が減少しますが、第一段階と同じことをやっているにもかかわらず、なかなか結果が出ないために、焦って食べる量を極端に減らしたり、過激な運動に走りやすくなります。挫折するのも、この時期が最も多いようです。食事量をふだんの3分の2ほどに減らすか、食事制限はそのままにして、運動をしっかりと行うことが大切な時期です。
第三段階は、目標を達成して、その体重を維持していく時期です。ここでも、食事制限を少しゆるやかにして、運動は続けることが大切です。
◎食事療法と運動療法の併用が基本
食事療法と運動療法を別個に行うべきではなく、併用することが重要です。とくに運動療法は、継続的な減量と、減量後の体重維持には欠かせないものです。
食事療法のみで治療を行うと、治療をはじめてから1、2ヶ月後に、体重の減少が止まってしまう「適応」という現象が必ずあらわれます。一方、食事療法と運動療法を継続的に併用すると、活動代謝エネルギーの減少も基礎代謝エネルギーの減少も防ぐことで消費エネルギーを高い状態に保つことができるため、食事を制限した分の体重減少が可能になるのです。
継続的にやせるために1日1000~1800キロカロリー程度(推奨するのは1600キロカロリー)の軽い摂取エネルギー制限と、1日200~300キロカロリーの運動をすることが必要です。
◎運動療法
以前は、運動を1回に1時間以上行わないと体脂肪がエネルギーとして消費されはじめないので体重減少の効果は期待できないとされていました。しかし今では、10分以上の運動を何回かに分けて行っても体重減少の効果があることが実証されています。これで、運動療法のハードルは、とても低くなりました。
◎メニューのカロリー表示は必ずチェック
メニューのカロリー表示を見たことのある男性は40.7%(女性は51.4%)。いつも、あるいはときどきでも、この表示を必ず参考にしているという男性はわずか27%(女性は47%)にすぎません。<「平成17年東京都民の健康・栄養状況」東京都福祉保健局>
外での昼食は500~700キロカロリー程度にするのが目安です。
◎朝食は抜かない
朝食を食べないことは、絶食の時間を長くすることになり、ダイエットをむずかしくすることにつながります。軽い朝食でとったエネルギーは午前中の活動で使い切られるために、体脂肪となって蓄積される心配はありません。とにかく、朝は何かを口に入れる習慣をつけることです。
昼食は、日中の活動を支え、夕食までのエネルギー源になる大切なものですから、抜いてしまうのは厳禁です。夕食はむしろ少なめにするのがポイントです。
◎お酒は、飲みすぎが問題
アルコールは水と二酸化炭素に分解されやすく、アルコールを飲んだだけで太ってしまうということは考えにくいことです。
ビール腹という言葉も、ビールはカロリーが高いという思い込みから生まれたのでしょうが、それは間違いです。100ccの量で比べてみても、ビールは約40キロカロリー、20度の焼酎は約110キロカロリーと、ビールは焼酎の約3分の1と驚くほど低いのです。
しかし、いくらカロリーが低いビールでも、飲む量が多ければ太る原因になります。しかも、ビールの炭酸は、食欲を増進する効果があるため、ビールを飲みながら、つい食べすぎてしまうのです。これが、ビールで太る原因です。