評価 (4点/5点満点)
この本では、主にリーダーを目指す若い方たちに、真の成功者になるためには自分が何を磨いて、何を高めたらよいのかについて、著者が「ぜひこれだけはわかってほしい」と思うことを、情熱を込めて訴えています。
著者はグローバルカンパニーで社長職を3社経験し、経営やリーダーに関する書籍も多い新将命さん。
ビジネスパーソンとして成長、成功するための「原理原則」を学び身につけることが目的です。
本書は30代のビジネスパーソンに向けて書いたものですが、40代、50代、あるいはそれ以上のキャリア豊富な世代であっても、有益な気づきが得られると思います。文章における言葉の選び方も秀逸です。
【my pick-up】
◎権限委譲は人を育てるため
権限委譲は人が育ってからやるものではなく、人を育てるためにやるものである。
任せるときは目一杯任せる。任せるときは任せ過ぎと思うくらいでちょうどよい。じきに平仄が合ってくる。
うるさく報告を求めては任せたことにならない。
あくまでも答えは部下の頭で出させる。人は自分の頭で考えないと伸びない。
部下が報告をおろそかにすれば、上司は必ず不安を覚える。不安は不満と不信につながり、悪循環のもととなる。任されたということは、上司から信頼されたことの証に他ならないのだから、上司の信頼にはとことん応えるという気構えで臨むことだ。
◎戦略と戦術をはき違えてはいけない
戦略は「あれもこれも」では決して成功しない。常に「あれか、これか」なのである。うまくいっていないからと、やることを増やせば増やすほどますます成功から遠ざかる憂き目を見る。戦略の肝は優先順位である。
◎利益の正体
目標としての利益の背景を考えたことは、あまりないのではないだろうか。
目的とするのは理念や理想の実現であり、利益はそのために必要な手段。設備、人財、研究開発など、わが社の持続性を担保するための手段としての顔である。
また、利益とは正しいプロセスの結果である。正しいプロセスを経ることなく得られた利益は、不正な利益か、偶然の利益でしかない。
◎スピークアウト(積極的にものを言う)で出る杭になれ
MBAの講義では、発言の質に加えて、発言の量も評価の対象としているように、欧米人にとっては発言することに意味があるのだ。つまらない質問でも質問しないよりはましというのが、彼らの考え方である。
私が32歳のとき転職して入社した日本コカ・コーラで、当時の上司から入社の初日に受けたアドバイスがある。「この会社では会議や研修会に参加したら、最低2回はスピークアウトすること。そうしないとみんなは君を発言するだけの知識も能力も意欲もない人間と思ってしまう。自分は何も言わず他人の意見を聞くだけで、何も与えない人間は、他人の意見を盗むだけの意見泥棒である。」そもそも2回はスピークアウトしないと、会議に参加する意味がないというのだ。
出る杭は打たれるというが、出ない杭は腐る。日本の企業の中には腐った杭が、文字どおり腐るほどいる。
◎最後は結果
サラリーマンとは、会社に仕事をしに行く人である。一方ビジネスパーソンとは、会社に結果を出しに行く人だ。結果を出せればよいのだから、行き先は会社でなくてもよい。在宅でも別荘でも、結果が出せればそれでよいのである。
闇雲に努力すればよいというものではないということだ。努力するにしても「スマート」に努力すべきである。そのためには、やはり原理原則をしっかり押さえておくことが大切である。
◎1日1回は本を読もう
大局的・体系的にものを知るには、手間はかかるかれども、昔もいまも読書が最適であると私は信じている。
忙しくてとても本を読む時間がないというのは、本を読まない人の常套句だが、単なる言い訳に過ぎない。時間がないのではない。時間を創っていないのだ。
本を読まない人は伸びない。1日最低1時間、本を読む習慣を我がものにしてほしい。