個と組織を強くする 部課長の対話力 価格:¥ 1,575(税込) 発売日:2010-08-11 |
評価 (4点/5点満点)
人財教育コンサルタントの村山昇さんが、世の部長・課長に向けて、「対話すること・対話力」をテーマにコミュニケーション・リーダーシップ、組織活性化を論じた本です。
「仕事とは何か?」という腹応えのある対話を部下と真正面から行うことが、個と組織を自律的に成長させる根本の方策であるというのが本書の主張です。
また、コミュニケーションには、「文脈」(Context)、「語るべき内容」(Contents)、「振舞い」(Conduct)、そして「共有目的」(CommonPurpose)の4つの要素が必要だとしています。
対話を受けたことのない人間がどんどん上司となり、部下と対話をしなくなる(対話ができなくなる)。そしてその部下たちが次に上司になる。このような対話力低下の連鎖の現状に対して、危機感を持っている方も多いと思います。
この本は対話力を通じて、自律的組織やリーダシップのあり方を体系的かつ実務レベルにまで落としてまとめられた良書です。
【my pick-up】
◎組織習慣を変え、しょうがない残業を減らすために
・会議時間を短く、書類づくりを簡潔にする
・書類づくりを目的化しない
・完璧を求めるより、短時間集中で7割(及第点レベル)まで持っていくことを教える
・残業で居残る姿はむしろカッコ悪いのだという意識変えをする
・平日も休日もしっかり「休む」姿を部課長みずからが見せる
・キャリアは短距離競争ではない。何十年と続くマラソンであることを言う
(完走のために心身を大事にする仕事生活を送ることを推奨する)
◎仕事における価値創造・3つのパターン
パターン1 A→A+ その価値を増やす
パターン2 A→B 別のものにつくり変える
パターン3 0→1 新しく何かをつくり出す
部課長は、自部署が担当する仕事がどのパターンの価値創造なのかを認識してマネジメントにあたることが必要ですし、また、一人一人の部下が得意・不得意とする価値創造はどんなパターンなのかを把握してコミュニケーションすることが大事です。
◎「よい仕事」は7つの機会を自分に与えてくえる
・生活の糧を稼ぐ収入機会であるばかりでなく、
・自分の可能性を開いてくれる成長機会であり、
・何かをなし遂げることによって味わう感動機会であり、
・さまざまな人と出会える触発機会であり、
・学校では教われないことを身につける学習機会であり、
・地域や社会に対して益をなす貢献機会であり、
・ひょっとすると一攫千金を手にする財成機会でもある。
◎部課長はうんと本を読んでください
「この人はこう言ってるよ」とか「この本を読んでみるといいよ」など、名言・名著に引き合わせるやり方も有効です。
自分の考えを代弁してくれるものを日頃から収集してください。言葉の引き出しの多さはよき部課長であるための要件でもあります。
◎正論で部下が動くわけではない
部下は、「正論」より「熱のある話」を聞きたがっています。
部下は、「評価」より「自分の存在意義」を求めています。
部下は、「データ」より「意味・やりがい」に耳を傾けます。
部下は、「現実の分析」より「未来の期待」によって動きます。
部下は、「詰問」より「自問」によって考え始めます。