評価 (3点/5点満点)
この本では、「一目置かれるリーダー」になるための上司力改革25か条について、リクルートやライブドア、LINE、ZOZOなどを歴任してきた田端信太郎さんが熱く語ります。
価値観も考え方も違う中で、部下全員が等しく「育つ」なんてことはありえない。あなた自身がいくら手塩にかけて育てたところで、一向にパフォーマンスを発揮できない部下が生まれてくるというのは、残念ながら、いかなる組織であっても逃れることができない「宿命」である。
チームの成果を最大化せねばならない以上、「育て甲斐のない部下」の育成にかける時間などはない。リターンがありそうな見込みのある部下と、見込みのない部下を「選別」し、ダメな部下は組織内でほかの良い人材へと取り替えるべき。「育てる能力がなかった」わけではなく、あなたのチームに「合わなかった」だけのことである。
上司には敬意を払うが、服従はしない。部下を人として尊重はするが、「成果を上げる」うえで邪魔になる場合は時に非情になることもある。(まえがきより)
本書を読み始めた最初は結構、過激な内容だなぁと思いつつ、読み進めると意外と真っ当なマネジメント論という印象。
今の時代、上司に求められているのは「圧倒的な成果」であり、「部下を育てる」ことや「良き上司である」ことは本質ではないということはよく理解できます。
そういう意味で、従来の上司のあり方の延長線上にある〝上司とは〟〝マネジメントとは〟という本や情報とは少し異なっています。
【my pick-up】
◎部下を取り替える-部下全員が育つわけがない
指示待ち社員を「自分で考えて動ける」ようにするまで指導する労力を考えたら、そんなことに貴重な時間を使うよりも選別して、できればさっさと出ていってもらって、リーダーがいちいち指示を出さなくとも自分で考えて動くことのできる人間を採用しなおした方がはるかにいいのではないだろうか。「指示待ち部下」を「自分で考えて動く部下」にするというのは、それくらい難しい。そこに時間を割くくらいなら、指示待ち型人間でもやっていける部署に異動してもらう。
◎部下に決裁印を預ける-すべての書類に目を通してはいけない
いつもノールックで捺しまくっていた稟議決裁について、部下に突然細かい質問をしてみたりする。すると部下には「あの上司は全然見ていないようで、実はよく見ている」と思われることができるのだ。求められているのはスピードであり、どれだけ丁寧にすべての資料に目を通したか否かではない。だからこそ、上司は書類を見ることに時間をかけ過ぎることなく、誤解を恐れず言えば、時に部下に決裁を任せるくらいの気概を持つべきだ。
◎正々堂々と経費を使う-使った経費よりどれだけ稼げるかが勝負
それなりの役職についているビジネスパーソンに多く見られる現象は、高いホテルに泊まることや高い飛行機に乗ることを「役得」と勘違いしていることだ。実際にはこうした権利を与えられた人には高いパフォーマンスを発揮する義務がある、ということを見落としている。逆に言えば、ビジネスクラスに乗り、良いホテルに泊まってでも、自分自身の心身と頭脳を健全に保ち、会社の利益を最大化するために判断し続けられるようにすることは、ビジネスマネージャーの義務なのである。
◎ケンカ上手になる-リーダーの真価は「かまし」にひるまない力
営業は、「あなたに買わない自由があるのと同様、こちらにも売らない自由がある」ということを、しっかりと自覚する必要がある。そして、もしリーダーであるならば、部下にも「君たちには売らない自由もある!」を明確に伝えるべきだ。お客さまはお金を払って品物やサービスを買う立場だが、それはその品物やサービスを欲しいと思うから買っているのである。であれば、売る側も一方的にペコペコする必要はない。自分には「売らない」選択肢もあり、相手の言い分や言い値に納得がいかなければ、売らずに帰ってくればいい。