評価
(3点/5点満点)
幻冬舎の見城社長とサイバーエージェントの藤田社長がタッグを組んで誕生した1冊です。
本書の構成は、まず見城さんによる珠玉の言葉が見出しに登場しご本人が自ら解説、そのあと藤田さんが実体験を踏まえた言葉の解釈を分かりやすく書き添えています。
タイトルの『憂鬱でなければ、仕事じゃない』は、以前、アメーバブックス新社の役員会議を行っている時に見城さんの口から飛び出した言葉だそうです。
特に見城さんの言葉からは、表面的なこと・凡庸なことを嫌う姿勢がありありと感じ取れます。体を張ってもがき苦しみながらリスクを引き受ける-そうすれば、後悔のない気持ちになれる。
圧倒的な努力で憂鬱を乗り越える勇気と、他者との差別化の大切さを教えてくれます。
【my pick-up】
◎努力は自分、評価は他人
プロセスを評価してほしいと本人が考えているとしたら、一体どこに焦点を合わせて仕事をしているのか心配になります。プロセスというのは、結果論で得られる副産物に過ぎないのです。(藤田晋)
◎憂鬱でなければ、仕事じゃない
僕は、朝起きると、必ず手帳を開く。自分が今、抱えている仕事を確認するためだ。そして、憂鬱なことが3つ以上ないと、かえって不安になる。ふつう人は、憂鬱なこと、つまり辛いことや苦しいことを避ける。だからこそ、あえてそちらへ向かえば、結果はついてくるのだ。楽な仕事など、大した成果は得られない。憂鬱こそが、黄金を生む。(見城徹)
初めての仕事に挑戦する時にはいつも憂鬱を感じますが、それを乗り越える度に新しい「経験」を手に入れることができます。それがキャリアになって、人は成長していくのです。既に経験のあることばかりやっていたら、安心して仕事を進められるけれど、自分の成長する機会を失っているのかもしれません。(藤田晋)
◎頼みごと百対一の法則
僕は、「この人は」と思う人の「お願い」は、たいてい聞くことにしている。受ける「お願い」は、こちらが苦しいものでないと、意味がない。難しいことを実現してこそ、頼まれた僕の存在意義が生まれるからだ。結果として僕は、相手に貸しを作る。その貸しが、百になった時、僕はその人に、ようやく1つ「お願い」をする。それは僕にとってはビッグ・ビジネスを実現するために譲れない「お願い」である。(見城徹)
僕は、若いビジネスマンに明らかに欠けているのは、「貸し借り」という意識だと思います。「貸し借り」という発想は、感情という目に見えないものを測る上での、便利な物差しになると思います。(藤田晋)
◎スポーツは、仕事のシャドー・ボクシングである
僕は週6日、スポーツジムで体を鍛えている。まず、ランニングマシンで40分走る。そのあとは軽い筋トレ。若い頃はもっとトレーニングをしていた。仕事より、毎日2時間のトレーニングを優先していたほどだ。その頃ほどではないが、今でも、僕は、ほとんど強迫観念に駆られながら、トレーニングを行う。仕事が忙しくてできなかったり、サボったりした日は、とても嫌な気分になる。罪悪感をおぼえ、酒も飯もうまくない。トレーニングが終わり、シャワーを浴びたあとの爽快感。それは勝利の感覚に似ている。自分は、これからまた戦えるという気持ちになる。運動していないと、精神衛生にとても悪い。仕事において、リスクを背負ったり、ぎりぎりのエッジに立ったりすることをしなくなる。トレーニングは、決して楽しいことではない。自分を追い込み、憂鬱なことを乗り越える。そうすることが、仕事をする時の姿勢に、大きな影響を及ぼす。そもそも仕事とは、憂鬱なものだ。(見城徹)
それまで週2回ほどだったジム通いを、見城さんの話を聞いて、僕も週6回にしました。ジム通いは、忙しいとつい悪循環に陥ってしまう。運動していないと、体力がだんだん落ちてくる。体力が落ちると、疲れやすくなり、運動しない。すると、仕事でも同じことが起きてくる。疲れやすくなると、仕事上の問題を先送りする。それだけ大変になり、次の問題をまた先にのばしてしまう。つまり、体調管理と仕事のネガティブ・スパイラルは、連動してしまうのです。それなら、ポジティブ・スパイラルに、自らを持ってゆくしかありません。僕は今、38歳です。以前は何とか若さで持ちこたえてこられたけれど、今はもう無理。運動して体調を整えないと、仕事に明らかな悪影響が出てくる。仕事は、最後の詰めではやはり気力が勝負になります。気力は、体力によって支えられています。(藤田晋)