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評価 (3点/5点満点)
「職場の傷つき」が、公言されずとも、どのような場面で実は存在しているのか?
それなのに、本人が申し出ることはなぜないのか?
その背景に迫り、それを「組織開発」で解決していくことを目指します。
・個人の見え方は今の「状態」に過ぎないという前提を持つこと
・発揮しやすい「機能」の持ち寄りを考えること
・組み合わせ(関係性)を調整し続けること
コミュニケーション能力に代表される「能力主義化」によって、職場での傷つきが言えない環境となり、組織が停滞する。
人的資本経営、ウェルビーイング、1on1などに飛びつく前に、まずは職場の傷つきに気づくことだと言います。
【my pick-up】
◎「天才職人」の降格
我が道を行く系の職人気質のベテラン社員に「エンゲージメントサーベイ」や「360度評価」などをすると、部下たちからの「悪評」が露呈されることもあると言います。上司の「個人プレーで全然部下のことを考えていない」などのリーダーのマネジメントスタイルに関する声が明るみに出るのです。すると、その天才職人系ベテラン社員が降格したり、マネジメントラインを外されて専門職に異動になるなどの「適切な対応」がとられるというのです。しかしその「適切な対応」の結果として、その組織から天才型部長は追われ、「お利口」なマネジャーが充当されたとします。すると組織の業績がよくなるかというと・・・パッとしないことが少なくない。
◎「持ち味」とは言うけれど
個人の「持ち味」(≠「能力」)はどうわかるのか?入社時に受検させたであろう「適性検査」の結果が、眠っていないでしょうか。「SPI」や「玉手箱」などが測定している「外向性」「内向性」といった基本的な人の特徴は、人と人や人と業務を組み合わせる際のヒントになります。他にも、形骸化しかけている「ストレスチェック」の結果もヒントになります。高ストレス=職場で何らかの組み合わせの不整合が出ているというサインであることはほぼ間違いありません。ポイントはそこから、対話の糸口を見つけて、環境調整に動けるかどうかです。ちなみにミーティングを、タイパや生産性を意識して「15分区切りで実施しましょう!」なんていう方針をもっともらしく打ち立てている組織にもしばしば出くわしますが、ちょっとそれは厳しいと思います。巻いてはいけない時間と巻くべき時間と、世の中にはあるのではないでしょうか。関係性が職場のすべてと言っても、過言ではありません。
◎評価より謝意
「いてくれてありがとね」なのです。ひとりのできる範囲は絶対的に限りがあるのですから。誰かの下支えがあってのことなのです。その点が蔑ろにされているときに起こるのが、「傷つき」とも言えるわけです。「職場の心理的安全性」も「いてくれてありがとね」で始めるのです。職場にいるメンバーの持ち味を持ち寄りあって、なんとか回っているね!ということをお祝いしていいのです。「ありがとね」から始める組織開発。とてもシンプルで、抜群の組織風土変革可能性を秘めています。職場も家庭も学校も、ありとあらゆる組織に対する自分の不満は、たった一言、「ありがとね」と言ってもらえないことで、案外起きていないか?あの人にはあれが足りない、この人にはこれが足りない、上司のあれがいまいちだ、あの人の仕事ぶりが残念などと、他者をジャッジする前に、謝意。