評価 (3点/5点満点)
この本は仕事のミスを以下の4つに分け、それぞれのミスが起こるメカニズムと、ミスを防ぐ基本対策を解説していきます。
1.メモリーミス(忘れた!)
2.アテンションミス(見落とした!)
3.コミュニケーションミス(伝わっていない!聞いていない!)
4.ジャッジメントミス(判断を間違えた!)
さらに、単にミスをなくす基本対策だけでなく、上司や同僚、取引先から「すごい!」と言われるための応用編として、マスターへの道も用意されています。
本書でフォーカスされているのは、ミスは脳の「記憶」にほとんどの原因があり、脳自体がミスを起こしやすいメカニズムになっていること。その前提で、対策を立てる必要があるのです。
つまり「ミスは絶対なくさなくてはならない」という気持ちから、「ミスはなくせないんだ」という気持ちに変えないといけない。「ミスはなくせない」という事実を受け入れることが、仕事のミスをなくすための雄一の道と言えるでしょう。
また、「間違った!」と落ち込まず、「違った!」と驚いてみることで、未来につながる気づきがあるかもしれません。
これまで様々なビジネス書で紹介されてきた王道テクニックや、上司や先輩から耳にタコができるほど指摘されてきたアドバイス。それらがいかに脳のメカニズム上、有意義なことであるかを「理解」し、これまで以上に納得して「実践」できるのではないかと思います。
【my pick-up】
◎ゾーンに入る方法-やることを具体的に明確にする
チャンクダウン(仕事を細かく分解すること)を上司に指示されなくても自分で行えるかどうかが重要で、それができないうちは「言われないと動けない受動的な社員」というレッテルを貼られてしまいます。仕事の速い人や自主的に動ける社員は、似た作業を何度も経験するなかで自分なりのチャンクダウンの流儀がわかってきます。新人から見ればとてつもなく面倒な仕事であっても、こうした社員は飄々と成し遂げてしまうのです。
◎経験・知識がなくても冷静でいるには?
上司の心無い言葉にムカッときて感情的になったときに、うつむいて怒りを増幅するのではなく、あえて上司の顔を眺めてみるのです。そこから徐々に意識の矢印を相手に向けて、「なぜこの上司はこんな発言をしたんだろう」と考えてみる。大事なのは感情的な反応が起きたときに「あ、いま意識の矢印が自分にだけ向いているな。ワーキングメモリが一杯だな」と、感情的になった自分を眺めることができるかです。