厳選!ビジネス書 今年の200冊

2008年ブログ開設から、紹介したビジネス書は3,000冊超。
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2012年72冊目『土井英司の「超」ビジネス書講義』

2012-06-01 13:52:35 | おすすめビジネス書
土井英司の「超」ビジネス書講義 (ディスカヴァー携書) 土井英司の「超」ビジネス書講義 (ディスカヴァー携書)
価格:¥ 1,050(税込)
発売日:2012-05-29

評価  (4点/5点満点)

出版マーケティングコンサルタントで、読者数約5.3万人の書評メルマガ「ビジネスブックマラソン」編集長・土井英司さんによる、携書(新書)ながら充実の1冊です。

この本では、毎年およそ5000冊出されているビジネス書の約2割、1000冊を読んでいる土井さんが、ビジネス書を使って「時代の潮目を読む」技術を紹介しています。しかるべきビジネス書を、しかるべき読み方で読むことで、ビジネスチャンスはいくらでも見えてくると述べています。

すべてのビジネス書は陳腐化します。時間の経過とともに、あっさりと劣化します。ビジネス書のほとんどが陳腐化するのは、役割からすれば、ごく当然のことです。最たる理由は、ビジネス書は時代を映すものだから。旬がある。鮮度が命。いいものであればあるほど、「腐って当然」です。

またビジネス書は圧倒的に具象の割合が高い。ビジネス書は本来〝読むことを目的とするもの〟ではなく、〝時代の変化に合わせて仕事をするためのもの〟です。

個々のビジネス書は陳腐化していこうと、それを消費したビジネスパーソンは進化していきます。本書では、陳腐化するからこそ時代を映し出すビジネス書のトレンド変遷を通じて、時代の潮目を読み解いていきます。

古典的な定番から2012年の最新ビジネス書まで、レベルも含めて幅広いラインナップですが、紹介されている良書にどんどんチャレンジすれば、ビジネスパーソンとして、さらに人間として一皮むけること間違いなしです。

【my pick-up】

◎2010年代、時代の振り子はどう動くか

未来予測は意味がない。これが僕の結論です。状況という〝予測の原材料〟は変りつづけるのに、絶対の予測などできるはずもないのです。予測するのではなく潮目を読むためには、すべての物事を「対義語」で考えることをお薦めします。

今が「豊か」なら、次は「清貧」に振り子は振れる。今が「個人主義」なら、次は「全体主義」に振り子は振れる。「今を表す言葉と、その対義語」が何かを考えれば、時代のうねりは読みとれます。実を言うと、これは僕のマーケティング手法でもあり、投資法でもあります。

収入が減ると人は費用を減らします。供給が需要を上回れば余ります。いくら儲かる産業でも、参入者が増えすぎれば儲からなくなります。ビジネス書からこうした動きを読みとることもできます。

たとえば、本当に儲かる投資の本があるとして、発売時に注目している人はあまりいません。専門的すぎて難しかったり、地味な本だったりするためです。しかし、「儲かりそうだ」と気づいたごく少数の人がいれば、ある程度のレベルの投資家向けの本が何冊か出ます。勝ち馬に乗りたければ、遅くともこの時点で気づかなければなりません。

それがやがて一般化し、ブームになります。そのうち「大学生の僕が五億も儲けた!」「主婦の私でもできる○○投資法」みたいな本が出てきたら末期症状。実際にその分野に投資していたとしたら、降りる準備を速やかにしないといけません。

◎復習すべきビジネスパーソンの教科-数字センスを磨いて、経済を読み解く

これからのビジネスパーソンに、絶対必要な基礎科目は数字の読み方です。

これまでのビジネスパーソンにも、もちろん数字は必要でした。しかし「そういうのは専門の人に任せる」あるいは「よくわからないからそっとしておく」と手つかずにしていた人が多かったのも事実です。

経済であれ実務的な数字であれ、圧倒的に「数字の勉強」が足りていないビジネスパーソンが多いというのが僕の見解。ビジネスにおいて数字は非常に重要です。景気動向も儲かるビジネスモデルも、数字の読み方がわかれば見えてきます。

「会社員だから決算書の読み方がわからなくても大丈夫」とたかをくくっている人は、業種を問わず、本気で勉強し直したほうがいいでしょう。それと、一冊でいいので、自分の職務に求められる数字の勉強をすること。すでにマスターしている人は読み飛ばしていただいて結構ですが、ちょっとさぼっていたという人は復習をお薦めします。

◎時間「術」から時間「戦略」へ

「時間管理の本が有用なのは、年収800万円まで」

僕はそう思っています。なぜなら時間管理とは、本来「与えられた仕事を最大効率でこなす」ポジションの人のためのものだからです。これが意思決定権のあるマネジャー、経営者のポジションになると、「何をやめるか」が問題となってくる。時間の戦略とは、まず何をしないかを決め、成果を生むものにたくさん時間をかけること。だから〝どの本を読むべきか、読まないべきか〟も決めてしまいましょう。

コメント
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