評価 (3点/5点満点)
開成、東大、司法試験一発合格、TOEIC900超、簿記1級・・・そんな試験の神・鬼頭政人さんによる、「独学力」を身につけるための指南書です。
難関校や難関資格に合格するのは、地頭がいい人ではなく、勉強法を間違えなかった人。受験生のとって本来大事なのは、塾に通っていない時間にどれだけ密度の高い勉強を継続できるかであって、塾で授業を聞いている時間ではないと言います。
受験生のピラミッドの頂点にいる層は独学派。塾頼みの勉強法はきわめて非効率なのです。
この本では、著者ご自身の経験や難関試験に挑む受験者たちを大勢見てきた中で「受かる人」と「落ちる人」の特徴や共通点を明らかにしていきます。
本書の考え方のポイントは、自分の弱い意志を仕組みで押さえ込むために、自分が逃げられない環境を自分なりにつくって、その環境で全力を出し切れば必ず成果が出るということ。
言い訳をせずに結果の責任は自分にあると思えるまでには厳しさもありますが、やはり行き着くところは自分がやるかやらないかだけなのでしょう。
【my pick-up】
◎受かる人はナルシスト、落ちる人は謙虚
試験勉強において自己肯定感はきわめて重要な要素です。「受かればいいな」で受かるわけがありません。自己肯定感の強い受験生なら「自分が解けない問題なら他の奴らも解けないだろう」と思えます。試験勉強を突破したいなら少し自信過剰なくらいがベスト。開成や東大も、ある意味ナルシスト集団でした。教師が授業で言うことよりも、自分で考え、導き出した選択に絶対の自信を持っている同級生が多かったのです。
◎受かる人は1年後の合格を目指す、落ちる人は3年後の合格を目指す
私は司法試験を含め世の中に存在するすべての資格試験は、1年間猛烈に勉強すれば必ず受かると信じています。受からなかったらそれは物理的に時間が割けなかったか、勉強効率が悪かったか、集中が足りなかっただけ。言っても資格試験はただのペーパーテスト。答えがあります。正解のないビジネスの世界で会社を上場させるほうがはるかに難しいのです。
◎受かる人は友達が少ない、落ちる人はリア充
社会人受験生でいままで通りの交流の仕方をしていると、まず結果が出ないと思っていいでしょう。上司や同僚であれば、試験勉強をしている旨をきちんと説明して、日中に十分なコミュニケーションをとっていれば、わざわざ飲みニケーションを図る必要はありません。私は「俺、開成に行きたいからもうみんなと遊ばない。誘わないでね」と宣言した記憶があります。「あの人は大事だ」「あ、この人ともつながっておきたい」そうやって八方美人になったところで、その人たちが試験問題を解いてくれるわけではありません。資格試験への挑戦は平時の延長でできるものではありません。自分のなかで非常事態宣言が発令されていないといけないのです。その試験に受かることが最優先事項であれば、友人がひとりふたりいなくなったとしてもいいではないですか。資格を取って専門職の世界に飛び込めば、もっと刺激になる人脈はいくらでも築くことができるのですから。
◎受かる人は参考書を変えない、落ちる人は参考書を変える
勉強期間中に参考書を変える行為はいままでの努力を台無しにする愚かな行為です。仮に参考書を変えるとするなら相当早い段階でするべきです。「この本では絶対に受からない」という致命的な欠陥を抱えたテキストなどそもそもないのです。試験勉強をはじめるときは実際に本屋にいって、自分の目で参考書を見比べてみること。そして一番印象の良かった本を選ぶこと。あとはその参考書を信じて、どれだけ没頭できるかです。