評価 (3点/5点満点)
今、中学受験において、大学付属校への人気が高まっています。2020年度以降予定されている大学入試改革の影響だと考えられています。
この本では、大学付属校の中でも早慶MARCH関関同立(早稲田、慶應、明治、青山学院、立教、中央、法政、関西、関西学院、同志社、立命館)の11大学に焦点を当てています。それは、付属校の中でも圧倒的な人気を誇り、実際の内部進学率も格段に高いため。
現在日本で議論されている大学入試改革の目指す姿が、すでに海外の大学では標準的になっている。一発勝負の一点刻みの試験で合否を決めるようなことは少なく、小論文や面接が重視される。日本の大学付属校が、身内だけで実施している内部進学の仕組みが、海外ではどこの大学を受ける際にも通用するのである。要するに全部が内部進学のようなものだ。(P.25)
大学入試改革が成功するということは、内部進学制度と似たような手続きで、一般の高校生も大学に進学できるようになるということ。大学進学校の相対的な特異性は失われる。(P.263)
現状、付属校から大学へ内部進学ができる仕組みは、海外ではほとんど見られない制度です。大学へ続く内部進学ルートがある学校で中等教育(中学校・高等学校)を受けることの意義を考える1冊。
また、教える側が主体となるのではなく、学ぶ側が主体となる教育へのあり方への転換も、今後問われることになりそうです。
その意味では、第三章(MARCH付属高という選択)や第五章(一貫教育という「両刃の剣」と大学入試改革)を読んでも、付属高/内部進学のメリットが伝わって来ませんでした。高校入試と大学入試に振り回され、疲弊するデメリットをもっと強調しても良かったのでは?