評価 (3点/5点満点)
日刊書評メールマガジン『ビジネスブックマラソン』編集長で、世界的なベストセラー『人生がときめく片づけの魔法』など数多くの著者のプロデュースを手掛ける土井英司さんが、自分自身の1本の線を引けるようになるために、新旧の山のようなビジネス書の中から、どの本を見出し、何を吸収し、どのようなアクションにつなげていくかをまとめています。
本書のキーメッセージ、本(ビジネス書)を読むことの効用は、次の2個所に集約されると思います。
ビジネス書はエンターテインメント的に楽しむものではない。その読書には「目的」が大切だ。どんな本を読み、どんな内容を感じとって、どこに線を引くのか。それは結局、目的意識にたどり着く。何かをやりたいという意欲があるからこそ学べるのであって、ただなんとなく読んでも何も得られないだろう。それは「消費」ではなく「投資」だ。金のアクセサリーを買って満足するのではなく、金塊や金鉱そのものを探す行為なのだ。ビジネス書の魅力はそこにある。(P.11)
読書の大きな効用は、偉大な著者たちのものの見方、考え方、つまりフィルターをのぞけることにある。その作業は他者との「ちがい」を作るためにとても役立つし、自分自身の成長にもつながる。よいビジネス書には、「著者のフィルター」がかならず収められている。あなたの見方を変え、インプットの内容を変え、世界を変化させてしまうフィルターが手に入る。(P.19)
【my pick-up】
◎一流になるための「部分練習」-会計、ファイナンス
会計がわからない以上、いくらビジネス書を読んでも、正確な理解や評価は難しい。ビジネス書に身になる線を引きたければ、まず会計、ファイナンスの基礎知識を身につけてほしいのだ。「損益計算書」は上から、次のような6項目が並んでいる。
売上高/売上原価/販管費/営業外損益/税金/当期純利益
ポイントは、その順番だ。「上から順に大切な項目が並んでいる」と知っておくだけで、会計への苦手意識がかなり薄らぐだろう。
お客様→取引先→従業員→銀行→国→株主
企業の経営が悪化する要因はいくつかあるが、もっとも危機的なのは売上の減少だ。経営者感覚の最たるものは、この6項目とその順序を知っているかどうかだ。これを知らなければ、企業は滅びるのだ。会計がわかれば、会社や世の中の仕組みが見えてくる。