評価 (3点/5点満点)
ストーリーで話すことを一般には「ストーリーテリング」と呼びますが、ストーリーテリングにはこんな特徴があります。
・たとえ話、エピソード、映像、キャラクターなどを駆使して話に具体性と物語性を持たせる
・主張や意見、数字やデータも「こうなる」「こうなった」という頭に絵が浮かぶイメージや情景にして伝える
・その人らしい「世界観」を強く感じさせる
この本では、最近よく話題となる“ストーリーで話す”ということをどう具体的に実践すればいいのか、さまざまな実例を用いてわかりやすく解説します。
ストーリーテリングはもともとは、プレゼンテーション、講演、スピーチの技術ですが、実際はそこにとどまりません。相手軸での思考、ロジック思考、ナラティブ思考、説得以上に納得、伝えるではなく伝わる、といった考え方が凝縮されているのです。
仕事ではファクトとロジックが重要ですが、その2つだけでは人は動かないことがよくありますよね。人を動かして仕事を前に進めるためには、ファクトとロジックを包含したストーリーが必要です。
【my pick-up】
◎ストーリーテリングはリーダーにこそ不可欠
経営トップの方々が、プレゼンテーションやスピーチにストーリーテリングを活用することが多くなった。孫正義さんがそうだし、最近ではトヨタ自動車の社長・豊田章男さんのうまさも目立つようになった。従来型の経営トップは、経営企画室や社長室のスタッフが描いた原稿を演台で棒読みすることが多かった。しかし、原稿の棒読みでは人を動かせない。発奮させることもできない。企業にイノベーションを起こすことも無理だ。旧態依然とした原稿の棒読みでは、人は動かないのである。新しい商品や事業、ビジョンの発表会、あるいは年頭や創業記念日など、節目となる時には、トップが自らの想いを社員や顧客、取引先の人たちに伝えなくてはならない。そんな時にスタッフがつくった原稿を読み上げるだけでは、もはや経営者とはいえないだろう。孫さんや豊田さんのプレゼンテーション、スピーチにも原稿はあるだろう。しかし、自ら参画してつくっていると推測される。また、原稿の棒読みにならないような仕組みを構築している。