秋晴れ。
爽やかな朝です。
風が強めなのは、台風の影響でしょうか。「15号」と同じくらいかそれ以上の力でやって来そうです。ビルというのではなく、屋根瓦の家が軒を連ねていると、落ち着く…というイメージも、猛烈な台風の襲撃を前に、変化を迫られているのかもしれません。
でも、きっと、強風が吹いても瓦が飛ばないような、そういう仕組みか接着剤か、そんなものが新たに作り出される…ことでしょう、かな?
この学校にいる人たちは「台風」を経験したことのない人たちが多く、先だっての「台風15号」には、肝を冷やされたようで、「あれよりも大きいの?」
「まだ海上だけれども、少なくとも同じくらいか、悪くするともっと大きいかもしれないね」などと言うと、ひそひそひそ…。
「雨風が激しかったら、多分、交通ダイヤも乱れるだろうし、不通になることもあるだろうから、行く前に(帰りに事も考えてね、アルバイト先に)電話をしてから、どうするかを決めること」と、午後のクラスの学生達には言っておいたのですが(朝のクラスには今日言います)。
「15号」が来たときには、学生達の対応は二つに分かれていました。「どちらでもいい」と(アルバイト先に)言われたので、「行かなかった」人と、「(困ってしまって)行った」人と。
行かなかった者は、部屋で、雨風の音の激しさに一人怯えていたと言いますし、行った者は、朝、帰れなくて(深夜の工場の仕事です)、結局、寝ずにそのまま学校へ来た(午後のクラスの女子です)と言います。
一方、その日バイトがあった男子は、行ったはいいけれど、帰り(朝です)に、(電車は動いていなかったし、駅は、人で一杯で入れなかったから…)二時間ほどもかけて歩いて帰ってきた。
凄いところは、部屋に戻って教科書を取ると、そのまま、学校に来たこと。こちらは、彼等が来てから、話を聞いて驚いてしまって、「疲れたでしょう、もういいから、帰って寝なさい」と言ったのですが、「大丈夫。ネパールではいつも歩いていたから」と、授業が終わるまで残って勉強していました。そんな人が二人いました。
現在、週に許可されているアルバイト時間は28時間ですので、いきおい、学生達は、時給の高いところへと流れていきます。近場のレストランなどは、それなりに便利ですし、日本人と話すチャンスも多いと思われるのですが、時給が400円、または500円と違ってきますと、やはり少々離れていても、慣れているし…ということで、そのまま最初のアルバイト先に残るということになってしまうのでしょう。
もちろん、日本語が話せるようになると、どんどんアルバイトを換わっていく人もいます。遠くから近くへ、また工場から、レストランなどへ。しかしながら、やはりアルバイト代ですね。最後に決め手となるのは。
遠いところでは、ボーナスまで出ると言いますし…。そうなりますと、国からそれほど送ってもらわなくても、どうにか進学に要するお金は準備できます。
一応、彼等は高校を出て来ていますし、「自分でお金を稼いでいるよ」というのを、親や友達(恋人かな)に見せたいというのもあるでしょう。
こんなアルバイト経験から、彼等(インド圏の学生)が一番驚いたのは、日本では、職業に貴賎がないということ(もちろん、あるにはあるのですが、彼等の国でのことに比べれば、「無」に近しいのです)。以前、バングラデシュの学生がこう言っていました。
「国だったら、レストランで働いていると言うと、見下げられるのが普通だ。でも、日本ではそうじゃない。日本人に、レストランでアルバイトしていると言って、馬鹿にされたことはない。レストランのお客さんからは、「頑張っているね」と言われるさえある。それに一番びっくりした」
私達が気づかないところで、彼等なりに変化しているのです。若い頃はみんなお金がない。お金がないのは普通のこと。だから、頑張る。随分前の日本人を見るようで、時々、ハッとさせられることがあります。
日々是好日