鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

残酷なテレビ

2006-01-23 | Weblog
 ホリエモンは21日の野口英昭さんの通夜に参列しなかったが、翌22日の告別式にも当然顔を出さなかった。行けばマスコミに追いまくられ、会場が混乱しかねない、ということからだ、というが、これまでマスコミを混乱させることなどお構いなしにマスコミに登場していたくせにそれはないだろう。23日の朝刊も各紙ともライブドアの粉飾決算からみの記事を一面トップで扱い、相変わらずマスコミの注目を集めている。
 昨日のテレビも報道番組は耐震データ偽造事件と並んでライブドア・ショックを取り上げていた。テレビ朝日のサンデープロジェクトではライブドアショックの一連の騒動を報道した後に司会の田原総一朗がカメラに向かって「ホリエモンさん、何か言いたいことがあったら、いまからでもいいから連絡してくれ」と呼びかけていた。日本テレビの「バンキシャ」でも司会の福沢アナウンサーが「電話してきて」と呼びかけた。もちろん、ホリエモンは何の音沙汰もなかった。そんなタマではないだろう。
 「バンキシャ」では日本テレビのプロデューサーがこの一週間、携帯電話でホリエモンと連絡を取り合っていて、その一部始終を克明に流していた。野口さんが亡くなったことを伝えると、泣きそうな声で「俺、どうしたらいいんだ」とホリエモンにしては珍しいうろたえる姿を伝えていた。日本テレビとしてはなんとか、テレビ出演うをしてほしい、ということで追っかけたわけだが、当然こんな状況で出られるわけがない。単なる出演交渉の舞台裏なのだが、テレビ側にすれば格好の素材になってしまうところが怖い。生の姿が浮き彫りにされてしまうことになる。ホリエモンとしても、まさかこんな形でテレビ報道される、とは思っていなかったことだろう。最後は「何も悪いことをしていな」といつものホリエモンに戻っていたが、野口さんが死んだ時の電話でのやり取りは明らかになにかあるに違いない、と思わせるものだった。ホリエモンも並みの人間であることも見せてくれた。実際、テレビは正直に写し出してくれる。
 「バンキシャ」は番組の一時間をほとんどこのホリエモンとのやり取りで済ませてしまった。テレビ番組制作としてはこんな楽なことはないだろう。素材としてホリエモンはまだ視聴率をかせげる、とでも踏んだのだろう。テレビ人の「視聴率さえとれれば……」といういやなところでもある。視聴率の前には品性、正義などといった観点はみんな二の次になる。それこそ、「金さえ儲かれば……」というホリエモンと全く同じ理屈である。ホリエモンとテレビは同じ穴の狢で、時代の申し子でもある。まだ、犯罪人と決まったわけではないので、ホリエモンはテレビに取り上げられることだろう。同類として。
 「バンキシャ」のなかでもいま現在、ホリエモンはどうしているか、話題になっていたが、実際ホリエモンの心はどんなものなのだろう。本当はどうでもいいことなのだが、ちょっと気になる。まともな人なら悪あがきをせずに真摯に法の裁きを受けるだろう。漫画家の倉田真由子が「反省して、立ち直ってほしい」と言っていたが、どう見てもそんなタマではない。最後まで口では潔癖を主張し続けることだろう。野口さんのように自殺するような心境にはならないだろう。だからこそ、ショックを受けたのだ、と思う。どっちの番組か忘れたが、ホリエモンが数日前の映画試写会で「何かに追っかけられている夢を見た」と言っていた。正夢だったわけで、その程度の霊感をもっているようだ。
 冷静に考えれば、ホリエモンにとって最適の解は自殺で、少なくともホリエモンに対する追求すべてが不問にふされ、ベンチャーの雄として歴史に残る存在となる。名(歴史)をとるか、実をとるか。まあ、いままでのホリエモンの行動パターンからいけば、実をとるだろう。
 23日午後に検察のホリエモンへの事情聴取が始まるようで、展開は意外と早いようで、テレビからホリエモンの顔が消える日は近い。
コメント
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