鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

明日はトヨタか、GMか

2006-01-12 | Weblog
 日本経済新聞が12日から国際面で「GM危機とアメリカ」と銘打って連載を始めた。04年の売上高1930億ドルと発展途上国のGDPより多い巨大帝国が負債総額4500億ドルを抱え、倒産寸前にまで追いつめられている。かつて米国経済隆盛の象徴的企業と言われただけに米国経済の凋落とだぶってみえてくるのは致し方ないところか。奇しくもいまそのGM本社のある自動車の街、デトロイトで世界最大といっていいモーターショーが開かれている。GM本体だけで30万人、関連のディーラーを含めると100万人といわれる社員を擁するだけにGMの再建はアメリカ経済に及ぼす影響も大きい、ということで連載となったようだ。
 確かにGMはアメリカだけでなく世界の経済にも大きな影響を及ばす。ライバルのトヨタ自動車などは必死にその動静を見守っていることだろう。鈍想愚感子が30年前に始めて米国を訪れた時にデトロイトの街にも寄った。丁度いまくらいの時期で、夜、空港からバスでホテルの近くまで来て、街中に降り立った時に道路の中央から白い煙がモウモウと立ち登っているのを見て、驚いた記憶がある。ビルの中で石炭か、コークスかの暖房の燃料を焚いた煙が外に排出されていたのだろうが、それが多くの箇所から立ちのぼっているのだから、見慣れない光景にびっくりしたのだ、と思う。翌朝、ホテルから外を見ると、雪景色で、すぐ前にGMの本社があった。当時としては大きな茶色のビルが3つ他を圧倒するようにそびえていた。外の温度計を見ると摂氏零下30度くらいで、構わずGM本社の方へ歩いて行ったら、もの30メートルも行かないうちに耳が痛くなってきて、ほうほうの丁で引き返した。別に寒さとGMとは関係ないのだが、GM本社ビルの偉容さと摂氏零下30度の気候とがセットになって頭の中に記憶されている。その日だったか、デトロイトに住んでいる現地駐在員に市内を案内してもらったが、中心部と思われるところに結構空き家らしきのが点在しており、GM、フォードという巨大企業のある街なのになぜと聞いたら、中心部は黒人が進出してきて、白人は郊外へ逃げているのだ、と解説してくれ、日本社会にはないアメリカの特殊性なのかと意外な感じを持ったことを覚えている。
 当時のGMとトヨタなんて比ぶべきものでは全然なかった。トヨタはGMのはるか下に位置していたと思う。30年経って、そのGMが経営危機に直面しているのだから世の移り変わりに愕然とする。
 日経の連載によると、GMの従業員に支払う一時間当たりのコストは60ドルに達する、という。医療費や年金など手厚い制度のせいだというが、これでは看板方式で知られるコストに厳しいトヨタに勝てないだろう。
 かつて同じような多国籍企業、IBM社内で氷河時代に滅亡した恐竜になぞらえて、「ダイナソアーズプロブレム」と囁かれたことがある。恐竜はあまりにも巨大になりすぎて、自らの生命を維持できなくなり、自滅していった。巨大企業も同じ運命を辿るというわけだ。幸い、IBMは外部から招いた経営者(ガースナー氏)が大ナタを振るって、なんとか再生を果たした。GMも同じ手法が必要な時あんおかも知れない。もはや、内部の人材ではやりきれないところまできているのだろう。
 このことはいずれトヨタ自動車にもやってくることだろう。いまは対岸の火事視していればいいが、明日は我が身にある時がきっとやってくる。トヨタよ、いまから、その備えをしているのかもしれないが、そうはいかなかった、と気づく時がくることだろう。
 
コメント
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