鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

栗原小巻

2006-01-13 | Weblog
 昨晩たまたまテレビを見ていたら、テレビ朝日の探偵ドラマに街のレストランのおかみさん役に栗原小巻が出演していた。最初はよく似た別人か、と思っていたがよくよく見るとやはり栗原小巻。新聞のテレビ欄で名前を確認しても本当かな、と改めて画面に魅入った。かつての栗原小巻を知る人には信じられないようなことだろう。テレビの探偵ものの半ば主人公とはいいながら、うら寂れたレスタランのママ役で、最後は善人らしく終わるとはいえ、途中まではいわば犯人役。テレビだったらヒロイン役でしか出なかった栗原小巻がなぜこんな出演の仕方をしたのだろうか。
 件のドラマは10チャンネル、テレビ朝日が木曜日の夜8時から放送している「京都迷宮案内」という橋爪功演じる初老の新聞記者が主人公の探偵もの。過去何回か放送され、昨日は再登場の初回で、京都の学生相手のレストランを切り盛りするママさん役を栗原小巻が演じていた。かつてはマドンナとして中高年の新聞記者が学生の頃には憧れの的だったが、いまや旦那が倒れて入院していて、レストランも消滅寸前。ただ、プライドから正直にそれを言うこともできず、やれ改装するとか、移転するとか、あげくの果てには無銭飲食に遭ったとか、ひったくりにあったとか狂言を繰り返す”狼おばさん”になってしまう。最後はかつてのファンが集まってお別れパーティらしきものを催してくれ、旦那も亡くなり、レストランも閉店するが、まるで今の栗原小巻を象徴しているような筋書きに後味もよくないストーリーであった。
 かつて栗原小巻は吉永小百合と並び称される青春のトップスターであった。双方のファンをサユリストか、コマキストか、と対立軸で言われることもあったほどだ。そういえば、ドラマのなかでレストランの名前が「よしなが」であったのは皮肉以外の何物でもない。かたやいまでもトップスターとして君臨しているのに、こちらはしがないテレビドラマの準主人公役。あまりにも差がありすぎる。かつてのコマキストにとっては淋しい限りだろう。
 考えてみれば栗原小巻ももう60歳代半ば、いつまでもヒロイン役ばかりやっているわけにはいかない年代に入ってきた。ただ、吉永小百合をみていると、「長崎ぶらぶら節」や「北の零年」などタイムリーに年に応じたヒロイン役を務めてきており、テレビCMも安定的にこなしてきている。それにひきかえ、栗原小巻はこの10年くらいテレビも映画も記憶に残る出演はないし、もちろん出身の舞台、演劇でもない。ましてテレビCMでも見かけない。女優も人気商売なので忘れられない程度に、適度に顔を出していることが必要なのだろう。如何せん、栗原小巻は身体を壊していたとかそれなりの理由はあるのだろうが、いかのもここ10年くらいの露出度が少な過ぎた。これでは若い人に名前を覚えてもらえないだろう。それこそ、中高年のかつてのアイドルでは声もかからなくなってしまう。
 確か栗原小巻は劇団出身であるが、劇団のマネージャーがマーケティング戦略を誤ったのだろう。いまから修正するのは至難の技だろう。
コメント
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