鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

番狂わせ

2006-01-10 | Weblog
 年明けのスポーツ界にちょっとした異変は生じている。恒例の箱根駅伝は本命の駒沢大学でなく亜細亜大学が優勝したし、昨日は高校サッカーの決勝で、大穴中の大穴の滋賀県の野洲高校が優勝してしまった。もちろん、大学ラグビー日本一には大方の予想通り、早稲田大学が圧勝したし、高校ラグビーでは京都の伏見工が優勝したように予想の範囲内に収まったスポーツもあるにはある。人間の行うことなので、何があっても不思議ではないし、どのチームも上をめざして練習してきているのだから、番狂わせというのはいつでも起こりうることともいえる。
 亜細亜大学は8区までトップを独走していた順天堂大学のキャプテンが突如、脱水症状を起こし、順位を下げたのが大きいが、さらに先を行っていた本命で五連覇をねらっていた駒沢大学を追い抜いての優勝だけに価値がある。岡田正裕監督はかつてニコニコドーでマラソンの松野あけみを育てた人で、選手の精神面を鍛えたのが効を奏したようだ。苦節が実った、とその指導ぶりがもてはやされ、各社の新年の年頭挨拶でも引き合いに出されていた。
 一方の野洲高校のサッカー部の山本佳司監督はレスリング出身の異色の存在で、留学先のドイツ・ケルン体育大でサッカー界の首脳と会っているうちにサッカーにのめり込んでいった経歴を持つ。サッカー界では珍しい個人技中心のスタイルを確立し、誰も予想しなかった名門鹿児島実業を破って優勝した。主催の読売新聞だけでなく、翌10日には朝日、毎日両新聞が人物コラムで取り上げたほど。朝毎読の三紙がこぞって人物コラムで同じ人を取り上げることなんてこれまであまりない。
それだけ専門家もびっくりした、ということだろう。朝刊でサッカー界のだれかが「全国優勝できるようなチームは全国に150から200ある」と語っていたが、全国で4000を超える高校が出場するなかで、全国制覇を成し遂げるのは至難の技だろう。
 そういえば、昨夏の高校野球でも駒大苫小牧高校が二連覇を成し遂げたようにかつての名門校が名門校でなくなりつつある。どの学校もスポーツに力を入れ、有名高に無理して入らなくとも全国への道を開くことができることが判ってきたからだろう。特定のスポーツがいつまでも特定の高校、大学のものではなく、どこの高校、大学も頑張れば全国制覇への道が開けるのだ、ということを亜細亜大学、野洲高校は示してくれたわけで、あまたの無名校に夢をもたらした両校の功績は大きい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする