鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

恐るべし中国

2006-01-16 | Weblog
 中国の外貨準備高が昨年末に8000億ドルを超え、日本に迫ってきて、今年中に世界一になることが確実視されている。安い人件費で欧米や日本に輸出攻勢をかけてきた中国であり、これまでは所詮成り上がりの中流国とみられていたが、外貨準備高世界一となると、黙って見過ごせなくなってくる。貯まった外貨でアジアアフリカ諸国を援助することもできるだろうし、米国の経営の傾いた多国籍企業を手に入れ、世界経済を左右するようなことも容易にできるようになってくる。小泉首相も真剣に対中外交を見直さないといまにとんでもないことになりかねない。
 中国の外貨準備高が昨年末に8189億ドルで日本の8486億ドルに次いで世界第二位となった。脅威なのは前年末に対してなんと34.3%、金額にして2089億ドルも増えたことだ。この伸びが続けば、今年半ばには間違いなく日本を抜き去り、世界第一位に踊り出る。これまでは低い人件費で生産した繊維、家電製品を先進国に輸出して、外貨を稼ぐかつての日本と同じ経済発展パターンをとっている、と見なされてきたが、外貨準備高が世界一になるとなると話は違ってくる。中国の場合、人口13億人でまだまだ稼働すべき労働力は豊富にあるうえ、なんといっても基本は社会主義国家で国家の意向で外貨準備の運用をいかようにも決められる。
 中国経済の躍進の原動力は民営化されている私企業の企業家精神の賜であるのはもちろんだが、その底流にはアニマル・スピリットを支える強固な国の経済政策がある。官民一体で経済の興隆を図るようなことが活発な経済活動の根底にある。だから、中国の通貨、元の切り下げについても簡単には中国政府は首を縦に振らない。
 年明けに開幕した米デトロイトのモーターショーに中国から格安の自動車が出品され、話題をさらったが、こんなことはこれからざらに起きてくることだろう。中国にはインドと並ぶ世界古代文明の発祥地という歴史がある。そのうえに世界の富みが加われば、少なくともアジアアフリカ諸国は日本でなくこれからは中国を仰ぎみるようになるだろう。
 いままでは「おじいさんの犯した罪を孫に償え」と孫に言ってくる不愉快な国と思ってきたが、いつもでもそれで済まされなくなってきたようだ。世界のエコノミック・アニマルと半ば尊敬、かつ半ば蔑まれてきた日本の地位が尊敬の部分では中国に取って代わられることになってきた。外貨準備高世界一という肩書きはそれだけ重いものがある。
 靖国問題で、中国との外交ルートを閉ざしている小泉首相の罪は大きい。少なくとも次期首相は靖国神社に参拝しない政治家を選ぶべきだろう。
コメント
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