気付きの科学 新世界版

ここで言う 「気づく」という意味は、空(くう)の状態から、在る状態に引き出す意識的行為・・すなわち創造のことです。

あるヨギの自叙伝より(8)無数の縁(えにし)

2020-07-05 11:38:59 | あるヨギの自叙伝 抜粋解説

「あるヨギの自叙伝」 パラマハンサ・ヨガナンダ著より抜粋

---p436~

地上から解放された幽界人は、折にふれて、彼がかつて地上に何回も生まれ変わっていた間に縁を結んだ父や、母や、夫や、妻がそれぞれ何人も、無数の親戚、友人などとともに、幽界のあちこちに住んで居るのに出会う。すると彼は、自分にとってだれが特に親しい相手なのか戸惑いを感ずる。だが、こうして彼は、すべての人々を、同じ神の個別的表現である神の子として平等に愛することを学ぶのだ。(注釈1)

(注釈1)袖すりあうも他生の縁。単純な計算でしかないが、仮に1つの人生で100人とのなんらかの人間関係があったとして、100回の転生で出会うとすれば、10000人の存在と袖すり合うことになる。例えば、あなたが地球人類と深く意識的に関係しているならば、80億の人と、大なり小なりのご縁があるということにもなるだろう。すべての人をどこか愛おしく感じることが出来るならば、無数の良縁が取り巻くことになるのだ。すべてはひとつの・・根源意識の多次元的個別表現なのだから。

 

過去世において愛した者の外観が、その後幾生涯も重ねている間に変化しても、幽界人は、その正確な直覚を用いて相手を見分け、自分たちの新しい幽界の家に迎えられる(注釈2)のだ。宇宙のあらゆる原子には、消すことのできない個性が与えられているので、幽界の友人がどんな衣装を着けていても、すぐにそれと見分けることができる。それはちょうど、役者がどんな扮装をしていても、近くで見ればだれであるかわかるのと同じだ。

(注釈2)地上界、現生活であっても初対面の人に「あ、この人はどこかで知っている感じ・・」という経験があるはずだ。潜在意識では他生の縁が波動(情報)で伝わっているのである。テレパシーなどが普通の、意識の拡大された生活である高次元ではそれが顕著になるのは自然なことだ。

 

幽界人の寿命は、地上の人間の寿命よりもはるかに長い。普通の進化程度の幽界人の平均寿命は、地上の時間の標準でいえば5百年ないし1千年(注釈2)くらいだろう。ーーーまたヨギの中には数百年も生きる者が居るのと同じように、幽界人の中にも、普通の標準よりもはるかに長く生きる者が居る。

(注釈3)寿命が数百歳もあるという記述は、あの旧約聖書にもあるし、宇宙人とのコンタクトをした人の証言にもある。地上界(3・4次元)と違って、幽界(アストラル・五次元)では1千歳となっても、疲れきったり、飽きたりすることが無いということを意味する。地球世界は極めて小さく閉じられた世界であることは、あの宇宙・夜空を観てもわかるはずだ。

 

地上界から幽界への訪問者は、当人の物質的カルマの限度により、あるものは長期間、あるものは短期間、おのれの定められた期間だけ滞在すると、再び地上に帰ってゆく。

幽界人は、その光の幽体を脱ぎ捨てる際に、死と苦闘する必要はない。だがそれでも、多くの場合は、より霊妙な観念界へ行くために着慣れた幽体の衣を捨てなければならないと思うと、いくらか心残りを感ずる。

幽界では自分の意志に反して死んだり、病にかかったり、老衰したりすることはない。これらは地上の人間にとっては三大恐怖(注釈4)であり、不幸の源となっているが、それは地上の人間が、自分というものがたえず空気や、食物や、睡眠を補給しなければ片時も生きてゆくことが出来ないもろい肉体であると、深く意識に刻み込んでいるためだ。

(注釈4)釈迦は、地上界において、自己を肉体そのものであると信じ込んでいることによって生じる不幸・・、生・老・病・死を、人間の4大苦とされたが、地上では生きる事そのものが「苦労」「苦悩」であるということに所以するだろうか。

 

肉体の死には、呼吸の停止と、肉体細胞の崩壊がともなうが、幽体の死とは、幽体の生命を構成しているエネルギーの顕現形態であるライフトロンが消散することだ。

地上の人間が死ぬと、彼はその肉体意識を失い、生まれ変わった幽界の精妙な幽体を自分自身として意識するようになる(注釈5)

そしてやがて幽界の滞在期間が終わって、幽体の死を迎えると、彼は、幽体の生死を自分の生死と思う意識から、再び肉体の生死を自分の生死と思う意識に変わる。こうして肉体と幽体との間に生まれ変わりをくり返すいわゆる輪廻は、迷妄の中に生きるすべての人間にとって、避けることのできない運命なのだ。

人は、聖典の中の天国や地獄に関する説明を読むと、自分の潜在意識よりもなお深いところに眠っている、過去世経験した美しい幽界の思い出や、いとわしい地上界での記憶を呼び起こされることがある。

(注釈5)もともと多次元ボディであるため、死ぬこと、すなわち最も外側の肉体ボディが外れれば、当然ながら内在のボディに気付くことになる。
古来から肉体・エーテル体・アストラル体・コーザル体などの多次元層の概念が伝えられているが、「あるヨギの自叙伝」では、分かりやすく肉体・幽体・観念体という3つを示していると考えられる。物質体・想念体・根源意識体と言ってもいいだろうし、根源意識(宇宙意識)が個別化した折にその周囲に出現する多次元層の表現体と言ってもいいだろう。