弁護士湯原伸一(大阪弁護士会)の右往左往日記

弁護士になって感じたことを綴っていきます(注意!!本ブログは弁護士湯原の個人的見解に過ぎません)

結局、オウムの裁判って何だったんだろう…

2006年09月16日 | 経験談・感じたこと
予想通りの結果と言うべきか、最高裁が特別抗告を却下したことで、松本被告の死刑判決が確定してしまいました。

刑事裁判で全ての真実が明らかにされることを期待するのは法制度上は難しいことは百も承知です。
しかし、ここまで被告人の口からは何も語られることなく、裁判が終結、しかも第1審の公判だけで終わってしまうというのは、やはり異常でしょう(後世に語り継がれる刑事裁判になることは間違いないでしょうね)。
結果論にすぎませんが、この長期間の裁判は無駄だったなぁ…と思わざるを得ません。

ところで、報道によると、弁護側は再審請求など法律制度上認められている様々な手段講じてくるとされています。
でも、本当にそうなのでしょうか?
私も制度的なことがわからないのですが、国選弁護が終了した以上、再審請求等を行うとすれば、松本被告人(松本被告の親族等もあり得るか?)が弁護士を選任し、弁護士費用を負担する必要があります。
果たして、松本被告側はそこまで動くのでしょうか?(費用については、一部刑事弁護に熱心な弁護士が手弁当で弁護活動を行う可能性は考えられますが…)
ちょっと不透明な所があると思います。


一方、被害者からすれば一つの通過点にすぎないのかもしれませんが、何となく後味の悪い刑事裁判になったように思います。


なお、今回の刑事弁護の手法に問題はなかったか?、あるいは松本被告側から弁護過誤として将来訴えられる可能性はないのか?、考え過ぎなのかもしれませんが、少々引っかかります。

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「デブ」「ウザイ」の暴言で裁判になる!?

2006年09月15日 | 法律情報
以前このブログでも取り上げました、某県議が女性に対し「デブ」等と繰り返し発言したことが侮辱罪に該当するとして刑事裁判になっていた件につき、結局、県議は最高裁まで争って末、実刑判決(拘留刑)が確定したと報じられていました。

また今日のニュースでは、女子高生が郵送した手紙の中に「ウザイ」と記載してあったことから、慰謝料請求を行っていた民事裁判につき、慰謝料10万円を支払う判決があったようです(ただ、この言葉だけで慰謝料となったかどうかは微妙なところかもしれません。背景事情としては、友人であったところある日から仲が悪くなり、被害者は結局登校拒否にまでなったという事情があるからです。)

一昔前までであれば、上記のような発言で、いちいち裁判にまでならなかったような気がするのですが、今の時代では、発言内容いかんでは、「冗談でいったんだよ…」という言い訳は通用しないかもしれません。

それにしても、この様な言葉の暴力による裁判って、今後も増えていくのでしょうか?
細心の注意を払い、裁判にならないよう気にしながら発言しなければならないとなると、ストレスが貯まるでしょうね。


関連するニュースへのリンク
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060915-00000402-yom-soci

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検察の面目丸潰れ!?-飲酒運転につき裁判所が求刑より重い判決を行う!

2006年09月14日 | 法律情報
報道によると、無免許かつ飲酒運転で逮捕・起訴された刑事事件につき、検察側は懲役8月&罰金9000円の求刑を行ったところ、大阪地方裁判所は甘すぎるとして、懲役1年(但し執行猶予5年)の判決を行ったとのことです。

刑事裁判における暗黙の了解事項として、検察官は求刑を高めに設定し、裁判所は求刑より若干低めの判決を行うということがあります(私の拙い経験では、だいたい「求刑×7~8割」くらいという感じです)。

従って、上記暗黙の了解事項からすれば、今回の大阪地方裁判所の判断は、「思い切った」判断となるのですが、やはり近時の飲酒運転に対する社会評価が反映されたのかもしれません。
ただ、本件に限って言えば、執行猶予付きの判決を行うよりは、求刑通り懲役刑は執行猶予付き、罰金刑は実刑とした方が、現実的な痛みがあって良いのでは?という議論もあるかもしれません(ちなみに罰金刑で執行猶予がつくことはまずあり得ません)。

それにしても検察官としては、求刑より重い判決が出てしまったので、何のために求刑を行ったのか意味がなくなるような状態になってしまい、非常にバツが悪い状態でしょうね。
今回は求刑より重い判決が出ましたが、今後、裁判員制度が導入されると、法律家の間では当然とされていた常識がひっくり返されることも多々出てくるかもしれません。

刑事弁護を行う我々弁護士も、従来の慣習から判決を予想するのが難しくなりそうです。


関連するニュースへのリンク
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060913-00000131-jij-soci

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パソコンが使えない!!

2006年09月13日 | その他
私が執務用に使っているパソコンは、約5年前に購入したものです。
ハードの空き容量も50%を下回り、動きも遅くなってきたので、そろそろ危ないなぁ…と思っていたら、今朝、パソコンを立ち上げても、全く反応しない!!

とうとう寿命が来たんだなぁ…なんて一瞬思いましたが、すべての仕事がストップする!!
メールの送受信もできないので、どんな法律相談が来ているか全く不明ですし、そもそもハードに保存していた書類データ等はどうなるんだ!?と思うと、ちょっと怖くなり、現実逃避したくなりました。

午前中は会議だったので、その間に事務局の担当者に応急処置を行うようお願いしましたが、会議終了後に結果を聞いたところ、原因不明でどうしようもないとのこと。

仕事にならないし、そのまま帰ろうかな…と一瞬脳裏によぎったのですが、幸運なことに(不幸なことに!?)、来月から事務所に入所予定の新人用のPCが余っているとのことで、それを使って仕事をするように上司から命令があったとのこと。

というわけで、昼からはPCの立ち上げとハードディスクの内容を移行する作業を行う等で、結局仕事ができず、夕方頃になってようやく作業が終了しました。

現代ではパソコンは必須のアイテムになっていますが、パソコンに何でも依存してしまうと、とんでもない目にあうということが、肌身でわかった1日でした。。。

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グレー金利問題-結局、金融庁案がベースになるようです。。。

2006年09月11日 | 法律情報
出資法と利息制限法との上限金利の間で行われている貸金業の規制について、利息制限法の上限金利に一律統一するか否か議論が紛糾していましたが、報道によると、結局、金融庁が示した案を大筋で認める方向で決着するとのことです。

この金融庁が示した案とは、「原則的には、上限金利は利息制限法に合わせるが、短期&少額の貸し付けについては例外的に利息制限法を越える金利も認める」というものです。
なお、利息制限法上の上限金利に統一させる経過期間は、当初5年案が提示されていましたが、3年経過後に統一するという政治的決着を図るようです。

議論が紛糾して何も進まないよりかは、一歩前進と言ったところでしょうか!?
今後は、例外である「短期&少額」というのが、具体的にどの様な要件となるのか、注意する必要がありそうです。


関連するニュースへのリンク
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20060910i202.htm

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みずほ証券の誤発注事件、東京証券取引所は損害賠償の支払いを拒否!

2006年09月09日 | その他
みずほ証券が東京証券取引所に行った誤発注事件ですが、8月17日付のみずほ証券による損害賠償請求に対し、東京証券取引所は拒絶する旨の回答を行ったようです。

今頃になって動き出したのは、ちょっと遅いのではという感もありますが、まぁ、みずほ証券も「はい、そうですか」という訳には行かないでしょうから、これで裁判になるのは確実でしょうね。
根本的にはみずほ証券により誤発注に起因したものですので、みずほ証券が被った損害は全額認められる可能性は少ないのではないでしょうかね(いわゆる過失相殺というのが大きな争点になるように思います)。
ただ、東京証券取引所も損害賠償義務を負担した場合には、今度はシステム構築を請け負った富士通に求償を行うことになるでしょう。
そのため、この問題の最終決着はしばらく着きそうもありませんね。

ちなみに、誤発注を行ったみずほ証券担当者に対しても、やはり何らかの損害賠償請求が行われるのでしょうか。
ちょっと気になります。


関連するニュースへのリンク
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060908-00000651-reu-bus_all

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企業から人気の高い弁護士ランキング!-日経ビジネスが公表

2006年09月08日 | その他
毎年公表されていると思うのですが、日経ビジネスが、2006年度の企業側から見て人気のある弁護士のランキングをまとめた記事を公表しています。

内容的には、あまり大きな変動もなく、小職の知る限りの知識では、「まぁ、そうだよね」という感じがします。

小職の能力からして、こんな所に名前が上がることは将来的にもあり得ないことなので、情けないことですが、同じ弁護士業でありながら「全く異質な世界の記事」という感じです。

でも、日経ビジネスが指摘している、「会社法の施行など企業法制のめまぐるしい変化を背景に、法改正の影響や意義を的確に解説してくれる弁護士に支持が集まる傾向がより鮮明」という点は、しっかり受け止めて、自分に吸収したいと思います。

まぁ、弁護士業界も色々言われていますが、もう一度サービス業であるという原点に立ち返って、自分の仕事をこなしていきたいと思います。


関連するニュースへのリンク
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20060905/109230/

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皇室に男児誕生で、予想通り(!?)皇室典範改正案の提出は延期へ

2006年09月06日 | 法律情報
今朝は、紀子さまの出産ニュースで持ちきりでしたが(駅前では号外も配られていました)、天皇家に男の子が産まれたことで、女系天皇を容認するか否か大激論となった皇室典範改正法案は通常国会にも提出されないということとなりました。

まぁ、これでしばらくの間は、男系で継ぐことができますので、あえて今、国を二分けしてまで議論しないと言うことでしょうか?
ただ、将来的には、この様な問題が起こる可能性は否定できませんので、先送りにせず、今後も議論して、きちんとした結論を出す必要はあると思います。

ちなみに、次期内閣総理大臣と言われている安部氏は、憲法改正を進めると公約していますので(といっても内容的には9条関係のようですが)、もしかしたら、憲法改正論議の中で、一緒に天皇制についても議論になるかもしれません。


関連するニュースへのリンク
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060906-00000107-yom-pol

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夫の死後、凍結保存の精子で出産した子につき、父子関係を認めず!-最高裁が判断

2006年09月05日 | 法律情報
このブログでも何度か取り上げましたが、夫の精子を凍結保存し、夫の死後、当該精子を使って妊娠・出産した子供と夫との親子関係につき、法律上親子関係が認められるかという問題について、最高裁判所は、「No」という判断を行いました。

下級審判決では判断が分かれていた問題だけに、かなり注目されていたのですが、報道を見る限りでは、「民法は、死後生殖を想定していない」として、形式的に判断したようです。
批判等もあるとは思いますが、医学上の進歩に民法が追いついておらず、民法解釈で救うのは難しい事例のように思います。
最高裁判所の裁判官が補足意見で述べている通り、立法政策として、どの様に対処すべきか検討が必要になるでしょうね。


関連するニュースへのリンク
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060904-00000007-yom-soci

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弁護士会の副会長をやっていても…

2006年09月04日 | その他
報道によると、証券取引法上の証券業の登録を行っていなかった未公開株を販売していた投資会社につき、当該会社の代理人弁護士として弁護活動を行っていた弁護士に対して、東京弁護士会は調査に乗り出すとのことです。

未公開株問題が社会問題化しているにも関わらず、当該会社の代理人として業務を行ったという観点から調査するのか、それとも証券業登録が無いという点で違法業者であるにもかかわらず、代理人業務を行ったという観点から調査するのか等々、なぜ調査対象になっているのか、今一つはっきりしないところがあります。
ただ、東京弁護士会という大組織の副会長(どうやら現役?)を務めるくらいの人ですから、弁護士の中では、それなりのクラスの弁護士ではないかと想像が付きます。

それにしても、弁護士会の副会長を務めていると言えば、一般の方々は、「きとんとした人で、きっちり対応をしてくれる」と期待して然るべきでしょう。
この様な報道は、上記のような期待を裏切る形となってしまいそうです。


ちなみに、私が所属する弁護士会では、副会長は各々の派閥から選出されるように事前に取り決め!?がなされているようであり、派閥内ので根回しが必要と聞いたことがあります。
一般の方々が、この様な実態を知ってしまうと、どの様に思うのでしょうか。

調査の結果が出てないので、何とも言えないところがありますが、仮に何らかの処分が下される場合、弁護士を選ぶ材料として「役職経験者かどうか」というのは消えてしまうかも知れませんね。



関連するニュースへのリンク
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060904-00000104-yom-soci

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