リベルテールの社会学

生きている人間の自由とは、私の自由と、あなたの自由のことだ。そして社会科学とは、この人間の自由を実現する道具だ。

風がしゃべる日本

2016-01-16 10:39:49 | その他
 こんにちは、もうすぐ大寒ですね。寒さ暑さがきらいな私、個人的にここまで早かったのでうれしい。北緯42度以北のイメージはつきませんが、本州以南の方々には3月にもなれば春の兆しがでてくるのでは? それももうすぐ。
 
 今日のニュースは「大阪市が全国初ヘイトスピーチ抑止条例 懸案3議案可決」だそうで。よしよし、私は公明党と違って是々非々なので褒めてあげよう。もっとも大阪市大と府大の合併も込みだそうで、ほんと合理化しか脳のない奴でしたね。女子大をなくしたのは俺じゃない? さよか。太田推薦とかの社民党もくずだね。天にツバすりゃ。
 もっとも条例と法律の違いは発展力でね。条例というのは作ったっきり。どうせろくな罰則もないのが当たり前。相手がまっとうな市民やまっとうな市民を相手にする会社なら効果はあるのだけどね、相手がヤクザじゃ。
 
 さて本日は、昨日ネット見てて、あれと思った堀辰雄。なんでも堀越の映画の時、「風立ちぬ」誤訳説が飛び交ったそうな。
 この小説の題、ポール・ ヴァレリーの詩『海辺の墓地』の一節「Le vent se leve, il faut tenter de vivre.」を堀が訳した、というわけで、詩の何たるかも知らぬ大野晋と丸谷才一がケチをつけたのをわざわざネットに上げたやつがいて、彼ら曰く、
 『語り手がその文句を呟く。そこが「風立ちぬ、いざ生きめやも」となっている。「生きめやも」というのは、「生きようか、いや、斷じて生きない、死のう」ということになるわけですね』
 とかいって、堀は古典語を知らない、とかぬかしている話。
 これに人の悪口ならまかせておけとネットの追従者たち(や某准教授)などが乗って、今サーフィンしてもかしましいたらありゃしない。ったく何を言っているのか。(以下、不愉快で乱文ですが)
 何が古典語だよ、おめえらだけだよ、神代の時代の話をするのは。詩を読めない人間に教えてあげよう。
 あれはバレリーへの誤解であって、バレリーの詩の誤訳ではないのだ。
 大野や丸谷のような貪欲な精力家には堀の文学など一生かかっても分かるまいが、日本近代詩とは、自然が詩人に言葉がけをしてくれるものなのだ。そら常識以前の話。ここでは、風が”il faut tenter de vivre.”と語りかけてくる、というのが日本近代詩なのだ。
 分からない人に、ただの中世古文の現代語訳を書いてあげよう。堀の文には
 「風が立った。お前は「さあ生きろ」というのか。ああ、、、」
と書いてあるのだ。なんの疑問や誤訳があるというのか。「や」は疑問。「も」は詠嘆。ばかばかしい。

 さらに興をそぐが、解説を加えようか。堀の心はずうっと疑問のままなのはいくらなんでもあらすじを読むだけでわかるだろう。以下、Wikipedia【風立ちぬ (小説)】の『あらすじ』に沿って当該語句の意味を追えば、

1 不安に; 「このまま過ごしていて私たちの生はだいじょうぶなのだろうか。風は生きなければいけないといっている。なぜそんなことをいうのだ。私たちに幸せな生をくれるというのか」

2 愉しさに; 「風よお前が言ったのはこのことだったのか、これでよかったんだろう?」

3 死に; 「やはりだめだった。私たちの生はだめだった、、、
   しかし、お前が言うようにこの行き止まりのような生を生きてよかった、向こうでは誰のためにかまた風が立つ。しかしお前の言うことが私にはわかった。ありがとう、、、」

 皆様には「青空文庫」(というネットの無料図書館)にありますのでお読みください。

 もっともバレリーの元詩は肉食人種らしく威勢が良いわけで、軟弱な中性小説家とはわけが違います。その意味でのみ誤訳というのが本来ですが、他人である詩人をどう解釈しようが、それは訳詩者の権利です。いまどきの遵法精神でできた若人の方には分からないかもしれないですから、「平成未満の訳詩者の権利でした」にしときますか。
 もっとも、ごくもしかすると、バレリーも華奢な日本人的精神を持ち合わせていて、吹く風に、蹴飛ばされそうなフランス人的ファーザーコンプレクスではなく、母のような親身な励ましでも感じたかもしれない。(ありえねえ、、、)
 そういやあ、『風の歌を聴け』 とか、日本の伝統は最近までは残ってたね。
 こいつも元は "think of wind”。英語教師丸谷にいわせりゃ誤訳だね。


 こんな話、ずいぶんひまだなあ、って。
 そういうわけで、また来週からしばらくアルバイトを始めます。皆様にはどうでもいいでしょうが、ここんとこ続いていた土曜日更新がずれるかも。
 それにしても、あと10年、別の人生をやって死にたいところですが、いくら探しても満足のいく別職等が見当たらなくて、そろそろ自分で作らなきゃダメかな、と思ってきました。わたしゃ怠け者なんでそう思うだけでも進歩。
 ま、アルバイト中はともかく金は稼げて悩まずに済むのでよいのです。

コメント
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