技術士会の勉強会で、地方都市の都市経営について講演。
人口減少下の社会状況で、都市経営をするうえでの障害はなにか、近未来における障害は何か、対策はどう考えたら良いか、について意見交換をしました。
道路や公園などの公共インフラについては、延長、面積、人口などを基本根拠とした経費が試算されて、基準財政需要額に算入されます。
「それだけ施設があれば、これだけお金がかかるでしょう」というわけです。
しかしそこで配布された交付金は、色がついているわけではないので、市行政の中で必要と思われるところに優先的に配分されてしまいます。
必要な行政経費はあるものの、節約できればそれだけ使える予算の自由度は高まります。
でもついつい、インフラ管理は後回しにされがちです。
そのことは確かに問題なのですが、実はもっと大きな問題と思えるのが、管理費を受益者が賄っている施設で、その代表が上水道です。
上水道は、維持管理のための補助金や交付金がほとんどないので、利用料金によって運営費と施設の改良費などを賄うひつようがあります。
ところがいよいよこれから人口が減少して、利用料が伸びる余地はほとんどありません。
利用料が不足すれば、一般会計から補てんするか利用料金を値上げするしかないのですが、そこには市民と一体となった議論が必要です。
行政としてはそういう労を惜しむ者ではないと思いますが、市民の側の意識の方がついてくるかどうかが問題です。
全てを市民の前にさらしだして、真剣に議論をしてもらうという風土が必要ですし、それがないのならそこから機運を醸成する必要があるでしょう。
まちづくりは市民とともに行われなくてはならないのです。
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意見交換の中で、「駅前などの中心市街地を活性化するためにはどうしたらよいか」という質問がありました。
これは、駅の利用度にもよりますが、駅の利用度が少ない場合は、もう駅を人を引き付ける中心性があると思わないのが一つの手ではないか、と答えました。
人々の集まる理由が、駅利用という交通結節点から買い物の場としての郊外ショッピングセンターに写ったのだとしたら、そちらに重点を置いたまちづくりもあると思います。
問題は、駅前が中心的な魅力を持っているというノスタルジー感覚なのかもしれません。
成功例や失敗例などを数多く見ることで目が肥えてきます。
まちづくりにも目利きが必要ですね。
技術士会の皆さん、お世話になりました。