久しぶりの東京出張、本省を来年度概算要求のヒアリングを受けてきました。
「ヒアリング」というのは聞き慣れないかもしれませんが、上部機関が下位の機関からの説明を聞く(=hear:ヒアする)というところからきている単語です。
行政マンには独特なカタカナの言い回しがありますが、なかなか一般の人には馴染みがないかもしれませんね。
ヒアリングが「説明を聞く」という意味なのに対して、逆に下位の機関が上部機関に「説明をする」ときはレク(=lecture:レクチャー)する、と言います。
似たような単語にプレゼンテーション(=presentation:提案する)から来ている「プレゼン」という単語もあるのですが、行政上での説明としては使われません。
ただなぜか、行政側が民間企業の方からの提案を聞かせてもらうときには、「プレゼンをお願いします」と言う言い方をするので、この使い方の違いは実に微妙です。
いずれにしても、ヒアリングやレクなどは、使っている言葉は違いますが、自分たちの考えを上手に表現して伝えるということが行政事務だけではなく、民間のビジネスでも社会を生きていく上では基本的な仕事なのです。
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さて、伝えたいことを絵と文字の紙一枚で説明する紙芝居のような資料を、昔は「ポンチ絵」と言いましたが、今は「パワポ」と言うようになりました。
もちろん、マイクロソフト社製のプレゼンテーションソフト「パワーポイント」から来た略語です。
このソフトのおかげでカラフルなグラフやイラストの挿入、写真の添付など説明資料が実に手軽にできるようになりました。
イラストなども、昔は絵を描いてもらうのに業者さんに外注をしたりもしましたが、今ではこのソフトのおかげで職員が自分たちで作れるようになりました。
説明するのにいかに的確で、相手の心をつかむ分かりやすい資料を作れるか、というのは、今日大変重要な行政マンとしてのスキルとなりました。
写真一枚を貼るのでも、より分かりやすい写真が必要だったり、背景にまで気を遣ったりもします。
困難な状況を説明する写真の後ろにいるおじさんが笑っているようでは駄目なのです(笑)。
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さて、仕事柄ときどきNPOの人たちが作る資料や、町内会のチラシなどを見ることがありますが、実はそういうものの出来上がりが結構レベルの低いものを見かけます。
(なるほど、分かりやすい資料を作るということにも慣れと訓練されたスキルが必要なんだな)と思うこともしばしば。
行政で仕事をしてきた人たちは、説明するという能力を引っ提げて、仕事を引退した後は地域活動などに十分貢献するのが良いのじゃないでしょうか。
上手に説明すること、上手に説明する資料作りって、案外大切なスキルなのだと思います。