プロ野球で使う公式球が飛ぶボールに代わっていた、という話題が持ちきり。
「なぜ情報を公開しなかったのか」という点で、日本野球機構の事務局長やコミッショナーの責任問題を問う声が日増しに大きくなっています。
実は以前はプロ野球の公式球は4つのメーカーがあって、チームによってどのボールを使うかもバラバラだったのだそう。
その中には、反発係数が高いものがあって、特にミズノ社製が「飛ぶボール」と言われていたもの。
それを、ワールド・ベースボール・クラシックなどの世界大会で採用されるボールに近づけるために、12球団すべてが以前よりも低反発になった、いわゆる「飛ばないボール」が統一球として採用されたのでした。
ところがその結果、日本のプロ野球では目に見えて打線が低調になり、ホームランの数が激減し、野球をつまらなくしたという批判が起こりました。
今回の騒動は、それを意識したのかどうかわかりませんが、いつの間にか「飛ばないボール」を「飛ぶボール」に替えていた、と言う点で世間に公開しなかったそのことが強く非難されています。
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それにしても、こっそりと替えた後ははっきりとそれ以前よりもホームランの数が増え、選手たちへのインタビューでも、7割の選手が「今年のボールは飛ぶ」と答えていたというですから、いかにプロ選手たちの感覚が研ぎ澄まされているかが分かります。
私が注目しているのは、こっそりやったことへの批判よりも、大勢の選手が日々プレーしている中で、ちょっとした違いがはっきりと分かるということでした。
それは一人や二人ではなく、大勢による何千ものプレー機会によって感覚的にも数字的にも確率は大きな数になって明らかになるという点で、まさに統計とはそういうことだよな、という真理なのです。
そうした数学的真理が分かったということを非常に興味深く思った次第。
コミッショナーの去就については、「危機管理」の分野なので、事を正直に話して素早く対応するのが一番なのだと思いますが、さてどうやりますやら。
これで隠していた何かがさらにばれるようなことでもあると、全てが吹っ飛んでしまいそうです。
マスコミの生贄にならないようにお祈りします。