北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

戦略的医療防衛構想

2006-10-23 23:24:52 | Weblog
手稲山の山頂に初雪が降ったとか。どおりで寒いわけです。北風小僧の寒太郎もすぐそこまで来ているのかな。

【戦略的医療防衛構想】
 某医科大学で、ITを使った広域遠隔医療に取り組んでいるお医者さんのA先生を紹介されました。A先生は長身でスマート。関西弁のプレゼンテーションがとっても面白い先生です。

 広域遠隔医療というと、私などはインターネットで遠くの画像を見ながら治療をするということを思い出しますが、そうではなくて、「戦略的医療防衛構想をしたいんですわ」とおっしゃいます。

「戦略的医療防衛構想…ですか?」
「そう、ミサイル防衛でもあるじゃないですか。ミサイルが自分の国に落ちる前に空中で補足して、空中でねらい打ちして落としてしまう、あれですよ。ミサイルを病気に例えると、こちらに落ちてしまうと病気になると言うことです。病気になる前に病気の兆候を捉えて、病気になる前に病気をやっつけてしまうというわけです」

「それをITでやられるんですか」
「そうなんです。的確なタイミングで飲む薬ではなく、脳に効く情報薬を与えるんです」

「情報薬ですか?」
「そう、胃腸でなく脳に効くんですわ」

 A先生によると、薬は「草かんむりに楽」と書くので、植物を使って楽になるというのが語源なのだそう。しかしこれからの時代の情報薬とは「It」のtの横棒を左に伸ばした草かんむりの用に考えて、「Itかんむり」で楽になる薬なのだそう。なるほどねー。

    *   *   *   * 

 A先生は数年前に北海道開発局と組んで開発局の光ファイバーを活用した遠隔医療の実験を行い、そのあたりからITで情報を収集して的確に与えることで自分の医師で生活に気をつけるよう行動を促すという取り組みを始めたのだとか。

 ITで各人の情報を収集するには、体重計、万歩計、尿糖度、血圧計などの健康チェック機器があって、これらを無線でパソコンにつないだり、データをパソコンに取り込むことで、遠くからでもその変化を知ることができるのです。

 そしてその情報を分析して、適切なタイミングで「体重が増えてますよ」といった脅かしや褒め言葉などを電話やメールで送り、どきっとさせて行動を起こさせようと言うのです。

 体重計ならばバネ式ではなく、デジタルで100g単位で計れるものを用意して、とにかく同じ時間に毎日計ることが大事だとか。すると細かいデータが日々波打ちながら、長期的に見ると一定の傾向がつかめるのだそうです。

「人間って弱いものですから、ちょっと我慢して体重が減り気味になっても、ついつい油断したり、『こんなに我慢したから今日くらい良いか』というような気になるんですよ。一日だけなら波の上下もあるでしょうけれど、日々の暮らし方がまた楽な方に向かうと、データは嘘をつきませんから数字の傾向として出てくるんです。そこでそのときに情報薬をびしっと打つんですわ」
「なるほど」

「油断していると『最近油断してますね』と言うとどきーっ!としてまた頑張ろうという気になる。そしてそういうことを遊びながら競い合いながら楽しみながらやれると、しらずしらずに健康になる。老人の医療費も少なくなる、というわけなんですよ」
「実に面白いですね。ビジネスになりませんか」

「実は大手の電機メーカーも機械まではできているんです。しかしそれを使って地域としてあるいは行政として健康管理や医療費削減に使おうというところまで行う社会システムがまだできていないんです。ビジネス化が面白いといっている自治体が少しずつ出てきていますが、国から実験費用が出る間は一生懸命やるけれど、お金が無くなると止めてしまう、ということも多くてむずかしいもんですな」

 そこでのご相談は、開発局の有する辺地での光ファイバーをこうした健康管理事業に安く、または無料で使わせてもらえないものか、ということなのでした。

 光ファイバーを通信事業者に貸し出すには一定の料金設定が全国標準でできあがっていて、それを崩すのは難しいのです。

 しかし北海道のように、辺地の人口が極端に少ないところでは通信事業者が自前の線も引かず、また我々の線を借り上げても高上がりと言うことで、情報通信の面からも過疎にさらされているということは残念なことです。

 北海道の新しい標準が必要だとは思いますが、なんともできないのはもどかしいものです。

 遠隔からの健康管理がITを使えば出来るような時代になりました。これに自分でお金を払ってでも参加するという人が増えるとビジネスかも夢ではありません。

 これも健康に関する生涯学習ですね。  
コメント
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