北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

最終便のご案内を申し上げます

2006-10-12 23:41:05 | Weblog
 今日の東京は随分暑くて歩いていると汗が出てきました。東京は暖かい秋で、北海道は寒い秋。紅葉の見頃はどこかな。

【最終便のご案内をいたします】
 東京での会議を終えた後は、少しばかり友人、知人を訪ねて旧交を温めあいます。飛び込みなので、相手がいる場合もあるしない場合もありますが、それもまた縁。会える人には会えるし、会えない人には会えないものです。

 夜八時過ぎに羽田空港に到着。羽田のエア・ドゥは55番ゲートという、一番遠い搭乗口なので荷物が重いと大変です。

 さて登場待合いでは一団の集団が出来ていて、テレビに見入っています。なるほど、日ハム対ソフトバンクの試合の真っ最中なのですから当然です。

 私が着いたときがちょうど7回の攻防で得点は0-0とのこと。日ハム八木とソフトバンク斉藤の息詰まる投手戦が展開されているところでした。

 最終便の飛行機は21時発で、「お客様を機内へご案内するのは8時45分頃を予定しております…」という館内放送が流れます。

 待合いコーナーは、全く野球に興味なく遠くの椅子に座っている人たちと、なんとなく野球の結果が気になって立ったまま遠くからテレビを眺めている人、テレビの前の席にどっかと座り込んで手に汗を握っている人という3種類に分類されるようです。

 試合は8回の攻防も無得点で、次第に出発の時間が近づいてきます。

 ついに「ただいまより機内へのご案内をいたします。なお、機内混雑が予想されますので、まず先に後方の御座席番号20番以降のお客様より…」という放送が流れました。

 野球に興味ない人たちはすっと立って搭乗口へ向かいます。立ち見で遠目にテレビを眺めていた人たちはまだ未練がましくテレビと搭乗口の様子をちらちら見ています。

 「手に汗」組は微動だにせず。もちろんまだまだ出発時間にはほど遠いのですから。

 それがやがて「大変お待たせいたしました。ただいまより前方御座席の皆様もご搭乗を申し上げます。機内混雑緩和にご協力いただき、ありがとうございました」という放送に変わり、これで立ち見組の何割かは搭乗口へ移動。しかしまだ「手に汗」組は動きません。なにしろ9回の日ハムの守りの最中です。

「よしっ!」9回を守りきってテレビの前からは拍手。見知らぬ隣人とも「まだ(飛行機は)大丈夫ですよね」「これだけ乗ってないんだから大丈夫でしょう」という会話で状況を確認。妙な連帯感が生まれつつあります。

 いよいよ9回の日ハムの攻撃。先頭バッターが出塁してまた拍手。次第に拍手の量が増えてきました。

 そこへ「ご搭乗の最終案内をいたします。21時発新千歳空港行きは皆様のご搭乗を待って…」
 しかしそれでも「手に汗」組は動きません。時刻は20時50分。まだまだ大丈夫。

 次打者は送りバントで一死二塁。三番は小笠原の登場でヒートアップするところですが、予想通りソフトバンクは敬遠策。「ぐぞー」周辺からは残念そうな声。そろそろ搭乗口が気になりだしてます。

 一死一、二塁で四番セギノール。「早く打てー」と誰もが思っています。

 打った!…ファール…。う~~~…。 

「当機は皆様を最終のご案内中です。お乗り遅れのございませんようご注意ください」

 (うるせー)(普段はそっちの都合で遅れるくせに、今日だけ定刻通り出発するなー)(あとほんのちょっとなんだからいいだろ)という周辺の声なき声が聞こえてくるようです。

 やがて係員が苦笑いしながらテレビの前にきて無言のプレッシャーをかけ始めます。野球見たさと申し訳なさの狭間で苦しむ乗客達。そして…

 セギノール、フォークで三振! 

「あーーーー!」この瞬間、テレビの前の多くが席を立ちました。まだ二死なのですから次の稲葉へのチャンスなのですが、ついに出発プレッシャーに耐えかねた一瞬でした。

 ボーディングデッキをとぼとぼと囚人のように歩く一団。結果が気になってきもそぞろなのでした。

 そして機内でやれやれと席に着いた瞬間に誰かが「勝った!」と叫びました。一体機内でどうやってその情報を知り得たのかは分からないのですが、情報の真偽はどうでもよくって、機内のあちらこちらから拍手が湧き上がりました。

 やった!しかしなんとその日ハム優勝という北海道にとっては歴史的瞬間一瞬をわずか一分の差で見逃した小心者達には、「あと一分粘っていれば…」というなんともいえない口惜しさが残ったのでした。

 日ハム優勝おめでとう!私も9回2死までは応援していました…とほほ。

コメント
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