北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

川湯温泉での出会い

2006-10-02 23:09:11 | Weblog
 今日から2泊3日で弟子屈~知床~帰札という観光関連調査の出張です。道東の天気は曇りという予報ですが果たして…。

【川湯温泉のお宿にて】
 朝一番の汽車で釧路へ向かい、釧路駅からは地元にお願いした車で弟子屈町へ移動です。

 弟子屈町は屈斜路湖や摩周湖などがある道東観光の主要な町です。今日は摩周湖を見てから、運輸局が主催する地元の会議を傍聴してから川湯温泉で一泊です。

 川湯温泉では地元の老舗ホテルであるMホテルに宿泊。こちらのご主人のNさんとは以前研修会でご一緒をしたことがあって、約一年ぶりの再会です。

 Mホテルのご自慢はなんといっても源泉かけ流しの温泉です。そもそも川湯温泉の自慢は三つあって、
 ①旅館がそれぞれ自家源泉を所有していること
 ②温泉、浴槽すべてがかけ流しであること
 ③強力な殺菌力がある温泉であること

 ③の強力な殺菌力はその泉質が特徴です。なんといっても酸性度を示すph値が、1.6~1.9という非常に強い酸性のお湯なので傷を受けたりしたときにつかると、ものすごく痛いものの皮膚のばい菌を殺してくれるために治りが早いのだとか。

 ちなみに温泉に釘をひたしておくと、5日くらいで溶けて無くなってしまうそうですよ。ひえー。

    *   *   *   * 

 夜はご主人のNさんご自慢のホテル別館の木賃宿で懇親を深めました。

 ここでは奥様も優しくもてなしてくださって、ホテルの社長の奥さんという大変なお役目を面白おかしく聞かせてくださいました。まるで石ノ森章太郎さんの漫画「ホテル」の脚本を聞かせてもらっているかのようでした。

 なかでも印象的だったのは、あるときから数年連続で真冬の二月に釧路から網走間を走る釧網線に乗ってお泊まりに来てくださっていた八十歳くらいのお婆さんのお話でした。

 奥様は2回目に来てくださったときに「あら、昨年もこの時期に来てくださった方だわ」ということに気付いたのだそうですが、特に話しかけもせずにまたお帰りになったそうです。

 それが2~3年後に介護をしてくださる付き添いの女性と共にお泊まりに来られたのだそうです。

 この方はいつも数泊されるのだそうですが、いつも何をするでもなく散歩をしたり読書をしたりして過ごされていたそうです。

 そしてそのときばかりは付き添いの女性が散歩に出てお一人の時に思わず話しかけていたそうです。

「いつも当ホテルをご利用いただいてありがとうございます」
「ええ、でも私も今年が最後かも知れません。それで今回は付き添ってもらってまでしてなんとかやってきました」

「なぜ今頃こちらへお越しになるのでしょう?」
 そう訊ねるとそのお婆さんは、実は今のお住まいが東京の新宿で窓から見える風景は建物ばかり、空は見上げなければ見えないところに住んでいるという身の上話を聞かせてくれたそうです。

「この時期の道東で釧網線に乗りますとね、目線の高さでずっと遠くまでの風景が見えるんです。それが好きでずっとこの季節になるとこちらでお世話になっていました。本当にここはよいところですね」

 そして翌年からその方が訪ねてくることはもう無くなってしまったのだとか。

「釧網線は一両編成の汽車が走っているだけなんですけど、そこからはいろいろな風景が楽しめるんです。夕日が沈む秋の湿原が金色に光っていたときは地元のおじさんまで乗客全員が、片側の窓に手をかざして見入っていましたよ。ときどきは外人さんも乗っていて、優しい出会いもたくさんあるんですよ。どうぞこの次はそんな時間が過ぎてゆく旅を楽しまれてはいかがでしょうか」

 Nさんの奥さんにこうして優しく誘われるとそんな時間に浸ってみたくなりますね。

 釧路川のカヌーもいつかはやってみたいことの一つです。

 今度はうちの奥さんを連れてくるとしますか。ではまたいつかお会い出来る日を楽しみにしています。

コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする