北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

知床調査~ネイチャーガイドの浸透

2006-10-04 23:15:19 | Weblog
 道東の旅の最終日。今日はウトロ地区で観光に携わる皆さんとの意見交換を行います。
 昨日までのぐずついた天気から今日は一転して快晴。最後は美しい風景が楽しめました。

【知床観光】
 今日は朝から、地元の観光協会やバス会社、船会社、おみやげ屋さんからまちづくりに参加している方など、約10人に集まって頂いて、開発局ならびに運輸局の担当者との意見交換を行いました。

 話題は昨年の世界自然遺産フィーバーを経て、いま知床観光はどのようになっているか、ということです。

 多くの関係者からいろいろな意見が出されましたが、フィーバーの結果渋滞や宿が少ないなどの負の側面が強調されて報道された結果、今年はマイナスになっているのではないか、という意見もあったけれど、総じては遺産効果がまだ続いているということでした。

 知床では単なる通過型の観光地から、滞在してもらえる観光地への脱皮を図り、十年ほど前からエコツアーの普及に力を入れてきています。

 そこへの遺産効果で、自然との関わりを面白いと思う人が確実に増えてきたと言います。

 東京から移り住んで地元でガイドとして活躍している方は、「十年前は自然ガイドなんか一般的ではなかったのですが、今では大手の定番のツアー商品には必ずガイドがつくようになっています」と言います。

 また「しかし、ガイドがつくと例えば知床五湖などを案内していても滞在時間が延びて車が渋滞になるのでは、といったことも言われたりしています」と苦笑いです。

 遺産効果でガイドの需要は増していて、今ではツアー客の団体だけではなく、ごく普通のカップルがガイドを求める姿も見られるようになったとか。

 それはそれで進歩と言えるのでしょうが、一方でまた元に戻ってしまったという印象をもつこともあるとか。

「十年前はガイド1人で40人を相手にしていたのですが、ガイドの役割が認知されてガイド1人が10人を相手にする時代になっていました。それがまたここへきて、需要も増えて40人を相手にしなくてはならなくなり、おまけに『ガイドってお金を取るの?ボランティアじゃないの?』という人が増えてきたんですよ」
「へえ、そんなもんですかね」

「それに、ネイチャーガイドという名の下によく分からない人も増えてきています。ガイドのしっかりした育成が必要だと思いますよ」

    ※    ※    ※    ※

 またあるホテルの社長からは「これからはますます滞在型が増えてくると確信しています。しかし滞在してなにをするのか、何を見るのかというところの態勢がまだ整っていないのでそこはもっと地域として努力する必要があると思います」というお話しがありました。

「道東では今渡り鳥のための湿地保全のラムサール条約に5カ所が登録をしています。最近つとに感じるのは、アジア人の人気観光地というだけではなく、欧米人が増えてきていると言うことです。バードウォッチャーの人気地にもなりつつあるので、それらをまとめた情報提供などもしたいのですがまだそこまで至っていません。アジア人だけではなく、欧米人対応の必要性を感じています」とも。

 知床は今、観光地として突如スポットライトが当たって、あわてふためいた時期から一歩一歩脱皮を図っているようです。

 我々が応援できる要素もたくさんありそうです。大きな事を語るのではなく、小さな事を実践していこう、という声もありました。

 地元の人達が集まってこうした場ができるからには、我々も環境省や林野庁まで幅広く声を掛けて協力し合う態勢が必要にも感じられます。

 縦割りをいつまでも続けていても地元は良くなりませんからね。

    ※    ※    ※    ※

 今日は快晴で、羅臼岳から硫黄山、さらにはその先まで知床半島の連山の稜線がくっきりと見えました。

 山が少し黄色くなっているのはダケカンバの黄葉でしょうか。秋が近づいているのが感じられますよ。
コメント
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