シナ系評論家の石平氏は、本年4月3日の産経新聞の記事で、今後の展開を大意次のように予想した。今後広がる不動産開発企業の破産あるいは債務不履行は、そのまま信託投資の破綻を意味する。それはやがて、信託投資をコアとする「影の銀行」全体の破綻を招く。金融規模が中国の国内総生産の4割以上にも相当する「影の銀行」が破綻すれば、経済全体が破滅の道をたどる以外にない。「生きるか死ぬか、中国経済は今、文字通りの崖っぷちに立たされているのである」と。
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/2a4648f3f584dc37f86adc41d64b0785
続いて、9月4日の記事では、崖っぷちに立つ中国経済に、死期の前兆が現れていることを書いている。
石氏は、次のように言う。「実は今年4月あたりから、中国政府は一部銀行の預金準備率引き下げや鉄道・公共住宅建設プロジェクト、地方政府による不動産規制緩和など、あの手この手で破綻しかけている経済を何とか救おうとしていた。だが全体の趨勢(すうせい)から見れば、政府の必死の努力はほとんど無駄に終わってしまい、死に体の中国経済に妙薬なし、と分かったのである」と。
まず現在の中国経済は、既にマイナス成長になっているかもしれないという。そう推察される根拠として、「今年1月から7月までの全国の石炭生産量と販売量は前年同期比でそれぞれ1・45%と1・54%の減となった」というデータを挙げる。この物差しで見ると、今年上半期の中国経済の成長率は政府公表の「7・4%増」ではなく、実質上のマイナス成長となっている可能性がある、というのである。
これに加えて、次のような情報を伝える。「今年上半期の全国工業製品の在庫が12・6%も増えた」「今年上半期において全国百貨店の閉店件数が歴史の最高記録を残した」「7月の全国100都市の新築住宅販売価格は6月より0・81%下落し、4、5月以来連続3カ月の下落となった」「全国の中小都市では各開発業者による不動産価格引き下げの『悪性競争』が既に始まっている」。なりふり構わずの価格競争は「不動産価格総崩れの第一歩になる「一部の専門家の予測」では、不動産価格の「総崩れの開始時期はまさにこの9月になる」等々。
そして、次のように述べている。
「経済全体が既にマイナス成長となっているかもしれない、という深刻な状況の中で、不動産バブルの崩壊が目の前の現実となっていれば、それが成長率のさらなる下落に拍車をかけるに違いない。しかも、不動産バブルの崩壊で銀行が持つ不良債権の急増も予想されるが、それはまた、中国の金融システムが抱えているシャドーバンキングという『時限爆弾』を起爆させることになるかもしれない。そうなると、中国経済は確実に破綻という名の『死期』を迎えるのであろう」と。
最後に出てくる「シャドーバンキング」とは、冒頭に書いた「金融規模が中国の国内総生産の4割以上にも相当する『影の銀行』」のことである。「影の銀行」は信託会社やファンドなどのいわゆるノンバンクである。その総融資額は約24兆元(約383兆円)にものぼると見られる。銀行の預金金利が年利基準3%と定められる中で、年率10%前後の高利回りをうたった財テク商品「理財産品」などで資金を集め、金融当局の監視下にない簿外で運用。資金の行き先の多くは、採算性の低い地方政府による建設ありきのインフラ整備などへ向かう。そのため不良債権化の懸念がある。金利上昇によって中小の金融機関や企業の資金調達が難しくなっており、政府が「影の銀行」をつぶそうとすれば、中国経済全体が崩壊しかねない状況にあると見られる。いつ破裂してもおかしくないような巨大なガンの病巣が、内臓の奥深くに出来ている状態とでも言えようか。
中国「影の銀行」の破裂は、リーマン・ショックに匹敵するくらいの衝撃を世界経済に与えるかもしれない。わが国は、自国の経済指標だけを見て、次は消費税10%などと安易な判断をすべきではない。
以下は、石氏の記事。
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●産経新聞 平成26年9月4日
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140904/chn14090409340004-n1.htm
【石平のChina Watch】
「死期」の前兆ちらつく中国経済
2014.9.4 11:45
先月20日、中国煤炭工業協会は中国経済の真実をよく表した数字を公表した。今年1月から7月までの全国の石炭生産量と販売量は前年同期比でそれぞれ1・45%と1・54%の減となったという。つまり、両方ともがマイナス成長となったということである。
李克強首相が地方政府のトップを務めた時代、統計局が上げてきた成長率などの経済数字を信じず、もっぱらエネルギー消費量や物流量が伸びているかどうかを見て本当の成長率を判断していたというエピソードがある。
この物差しからすれば、今年上半期の中国経済の成長率は決して政府公表の「7・4%増」ではなく、実質上のマイナス成長となっている可能性がある。中国エネルギー産業の主力である火力発電を支えているのは石炭であり、その生産と販売がマイナスとなっていれば、この国の経済が依然、成長しているとはとても思えないからである。
「石炭」一つを取ってみても、中国経済は今や崖っぷちに立たされていることが分かるが、今年上半期の全国工業製品の在庫が12・6%も増えたという当局の発表からも、あるいは同じ今年上半期において全国百貨店の閉店件数が歴史の最高記録を残したという8月23日付の『中国経営報』の記事から見ても、中国経済の凋落(ちょうらく)ぶりが手に取るように分かるだろう。
実は今年4月あたりから、中国政府は一部銀行の預金準備率引き下げや鉄道・公共住宅建設プロジェクト、地方政府による不動産規制緩和など、あの手この手で破綻しかけている経済を何とか救おうとしていた。だが全体の趨勢(すうせい)から見れば、政府の必死の努力はほとんど無駄に終わってしまい、死に体の中国経済に妙薬なし、と分かったのである。
政府の救済措置が無効に終わったのは不動産市場でも同じだ。今年春先から不動産バブル崩壊への動きが本格化し、各地方政府は慌ててさまざまな不動産規制緩和策を打ち出して「市場の活性化」を図ったが、成果はほとんど見られない。
8月1日に中国指数研究院が発表した数字によれば、7月の全国100都市の新築住宅販売価格は6月より0・81%下落し、4、5月以来連続3カ月の下落となったという。
それを報じた『毎日経済新聞』は「各地方政府の不動産市場救済措置は何の効果もないのではないか」と嘆いたが、不動産市場崩壊の流れはもはや食い止められないことが明白だ。
現に、8月25日に新華通信社が配信した記事によると、全国の中小都市では各開発業者による不動産価格引き下げの「悪性競争」が既に始まっているという。
開発業者が競ってなりふり構わずの価格競争に走っていれば、それが不動産価格総崩れの第一歩になることは誰でも知っている。
同23日、山東省済南市にある「恒生望山」という分譲物件は半月内に約25%もの値下げを断行したことで、値下げ以前の購買者が抗議デモを起こした。それもまた、「総崩れ」の前兆と見てよいだろう。国内の一部の専門家の予測では、「総崩れ」の開始時期はまさにこの9月になるというのである。
経済全体が既にマイナス成長となっているかもしれない、という深刻な状況の中で、不動産バブルの崩壊が目の前の現実となっていれば、それが成長率のさらなる下落に拍車をかけるに違いない。
しかも、不動産バブルの崩壊で銀行が持つ不良債権の急増も予想されるが、それはまた、中国の金融システムが抱えているシャドーバンキングという「時限爆弾」を起爆させることになるかもしれない。そうなると、中国経済は確実に破綻という名の「死期」を迎えるのであろう。
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関連掲示
・拙稿「中国経済のドミノ倒しの始まりか~石平氏」
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/6166dba6bbe55d06455f9a898a19cd4a
・拙稿「今度こそ中国バブルの崩壊が始まった~石平氏」
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/df23966d7c58055c15c278029659bd3a
・拙稿「中国経済は破滅の道を進んでいる~石平氏」
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/2a4648f3f584dc37f86adc41d64b0785
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/2a4648f3f584dc37f86adc41d64b0785
続いて、9月4日の記事では、崖っぷちに立つ中国経済に、死期の前兆が現れていることを書いている。
石氏は、次のように言う。「実は今年4月あたりから、中国政府は一部銀行の預金準備率引き下げや鉄道・公共住宅建設プロジェクト、地方政府による不動産規制緩和など、あの手この手で破綻しかけている経済を何とか救おうとしていた。だが全体の趨勢(すうせい)から見れば、政府の必死の努力はほとんど無駄に終わってしまい、死に体の中国経済に妙薬なし、と分かったのである」と。
まず現在の中国経済は、既にマイナス成長になっているかもしれないという。そう推察される根拠として、「今年1月から7月までの全国の石炭生産量と販売量は前年同期比でそれぞれ1・45%と1・54%の減となった」というデータを挙げる。この物差しで見ると、今年上半期の中国経済の成長率は政府公表の「7・4%増」ではなく、実質上のマイナス成長となっている可能性がある、というのである。
これに加えて、次のような情報を伝える。「今年上半期の全国工業製品の在庫が12・6%も増えた」「今年上半期において全国百貨店の閉店件数が歴史の最高記録を残した」「7月の全国100都市の新築住宅販売価格は6月より0・81%下落し、4、5月以来連続3カ月の下落となった」「全国の中小都市では各開発業者による不動産価格引き下げの『悪性競争』が既に始まっている」。なりふり構わずの価格競争は「不動産価格総崩れの第一歩になる「一部の専門家の予測」では、不動産価格の「総崩れの開始時期はまさにこの9月になる」等々。
そして、次のように述べている。
「経済全体が既にマイナス成長となっているかもしれない、という深刻な状況の中で、不動産バブルの崩壊が目の前の現実となっていれば、それが成長率のさらなる下落に拍車をかけるに違いない。しかも、不動産バブルの崩壊で銀行が持つ不良債権の急増も予想されるが、それはまた、中国の金融システムが抱えているシャドーバンキングという『時限爆弾』を起爆させることになるかもしれない。そうなると、中国経済は確実に破綻という名の『死期』を迎えるのであろう」と。
最後に出てくる「シャドーバンキング」とは、冒頭に書いた「金融規模が中国の国内総生産の4割以上にも相当する『影の銀行』」のことである。「影の銀行」は信託会社やファンドなどのいわゆるノンバンクである。その総融資額は約24兆元(約383兆円)にものぼると見られる。銀行の預金金利が年利基準3%と定められる中で、年率10%前後の高利回りをうたった財テク商品「理財産品」などで資金を集め、金融当局の監視下にない簿外で運用。資金の行き先の多くは、採算性の低い地方政府による建設ありきのインフラ整備などへ向かう。そのため不良債権化の懸念がある。金利上昇によって中小の金融機関や企業の資金調達が難しくなっており、政府が「影の銀行」をつぶそうとすれば、中国経済全体が崩壊しかねない状況にあると見られる。いつ破裂してもおかしくないような巨大なガンの病巣が、内臓の奥深くに出来ている状態とでも言えようか。
中国「影の銀行」の破裂は、リーマン・ショックに匹敵するくらいの衝撃を世界経済に与えるかもしれない。わが国は、自国の経済指標だけを見て、次は消費税10%などと安易な判断をすべきではない。
以下は、石氏の記事。
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●産経新聞 平成26年9月4日
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140904/chn14090409340004-n1.htm
【石平のChina Watch】
「死期」の前兆ちらつく中国経済
2014.9.4 11:45
先月20日、中国煤炭工業協会は中国経済の真実をよく表した数字を公表した。今年1月から7月までの全国の石炭生産量と販売量は前年同期比でそれぞれ1・45%と1・54%の減となったという。つまり、両方ともがマイナス成長となったということである。
李克強首相が地方政府のトップを務めた時代、統計局が上げてきた成長率などの経済数字を信じず、もっぱらエネルギー消費量や物流量が伸びているかどうかを見て本当の成長率を判断していたというエピソードがある。
この物差しからすれば、今年上半期の中国経済の成長率は決して政府公表の「7・4%増」ではなく、実質上のマイナス成長となっている可能性がある。中国エネルギー産業の主力である火力発電を支えているのは石炭であり、その生産と販売がマイナスとなっていれば、この国の経済が依然、成長しているとはとても思えないからである。
「石炭」一つを取ってみても、中国経済は今や崖っぷちに立たされていることが分かるが、今年上半期の全国工業製品の在庫が12・6%も増えたという当局の発表からも、あるいは同じ今年上半期において全国百貨店の閉店件数が歴史の最高記録を残したという8月23日付の『中国経営報』の記事から見ても、中国経済の凋落(ちょうらく)ぶりが手に取るように分かるだろう。
実は今年4月あたりから、中国政府は一部銀行の預金準備率引き下げや鉄道・公共住宅建設プロジェクト、地方政府による不動産規制緩和など、あの手この手で破綻しかけている経済を何とか救おうとしていた。だが全体の趨勢(すうせい)から見れば、政府の必死の努力はほとんど無駄に終わってしまい、死に体の中国経済に妙薬なし、と分かったのである。
政府の救済措置が無効に終わったのは不動産市場でも同じだ。今年春先から不動産バブル崩壊への動きが本格化し、各地方政府は慌ててさまざまな不動産規制緩和策を打ち出して「市場の活性化」を図ったが、成果はほとんど見られない。
8月1日に中国指数研究院が発表した数字によれば、7月の全国100都市の新築住宅販売価格は6月より0・81%下落し、4、5月以来連続3カ月の下落となったという。
それを報じた『毎日経済新聞』は「各地方政府の不動産市場救済措置は何の効果もないのではないか」と嘆いたが、不動産市場崩壊の流れはもはや食い止められないことが明白だ。
現に、8月25日に新華通信社が配信した記事によると、全国の中小都市では各開発業者による不動産価格引き下げの「悪性競争」が既に始まっているという。
開発業者が競ってなりふり構わずの価格競争に走っていれば、それが不動産価格総崩れの第一歩になることは誰でも知っている。
同23日、山東省済南市にある「恒生望山」という分譲物件は半月内に約25%もの値下げを断行したことで、値下げ以前の購買者が抗議デモを起こした。それもまた、「総崩れ」の前兆と見てよいだろう。国内の一部の専門家の予測では、「総崩れ」の開始時期はまさにこの9月になるというのである。
経済全体が既にマイナス成長となっているかもしれない、という深刻な状況の中で、不動産バブルの崩壊が目の前の現実となっていれば、それが成長率のさらなる下落に拍車をかけるに違いない。
しかも、不動産バブルの崩壊で銀行が持つ不良債権の急増も予想されるが、それはまた、中国の金融システムが抱えているシャドーバンキングという「時限爆弾」を起爆させることになるかもしれない。そうなると、中国経済は確実に破綻という名の「死期」を迎えるのであろう。
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関連掲示
・拙稿「中国経済のドミノ倒しの始まりか~石平氏」
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/6166dba6bbe55d06455f9a898a19cd4a
・拙稿「今度こそ中国バブルの崩壊が始まった~石平氏」
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/df23966d7c58055c15c278029659bd3a
・拙稿「中国経済は破滅の道を進んでいる~石平氏」
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