ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

21世紀型の日英同盟の構築を

2013-09-30 08:53:04 | 国際関係
 私は、平成25年6月13日に、「21世紀の『日英同盟』復活へ」と題した日記を書いた。
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/c3f5f722106b0c44a505281ba549588e?fm=entry_awp
 そこで私は、「日本とNATO(北大西洋条約機構)、特に英国との安全保障の連携強化の動きがあり、注目される」「安倍首相は昨年12月就任後すぐ、日米同盟に加えて欧州との安保関係を重視する姿勢を表明した」「なかでも英国との間では、わが国は、安保協力を拡大させつつある」「英国のヨーク公アンドルー王子が今秋訪日し、21世紀型の新たな「日英同盟」を模索する国際会議を東京で開催する計画があるという」「暴走する北朝鮮、軍拡を進める中国を念頭に、日英間の安全保障強化に向けた動きとして注目される」「英国との連携は、オーストラリア等、英連邦諸国との関係発展につながる可能性もあり、わが国政府は積極的に日英同盟復活に取り組んでもらいたいである」と書いた。
 産経新聞ロンドン支局長の内藤泰朗氏が、同紙9月2日号の記事で伝えるところによると、日英関係は再び動き出そうとしている。
 「日英両国は7月、機密情報の交換を可能にする情報保護と、装備品共同開発の枠組みに関する2つの協定に調印した。日本が安全保障上重要な2協定を締結したのは、米国に次いで2カ国目で、双方の協力の急速な進展ぶりを物語る。武器の共同開発の話などはすでに浮上しているという」「軍拡と領土拡張の野心を見せる中国の脅威への対処が喫緊の課題である日本は再び、英国の有力なパートナーになり得るというわけだ」「日本も、米国に加えて米国最大の同盟国、英国からの武器調達という選択肢は外交に幅を与え、米英両国の機密情報にも接する機会を得ることになる」と内藤氏は書いている。そして、「日本の安全保障の要、日米同盟を補完し、日本独自の安保政策を推進するためにも、21世紀型の新しい日英同盟の構築が求められているのではないだろうか」と問いかけている。
 本日9月30日から10月1日にかけて、わが国で日英安全保障協力会議が、「21世紀の新たなるパートナーシップ形成に向けて」をテーマに開催される。わが国は、安倍首相が出席し、イギリス側はヨーク公爵アンドルー王子が出席される予定である。
 6月13日に書いたことの繰り返しになるが、英国との連携は、オーストラリア等、英連邦諸国との関係発展にもつながる可能性がある。わが国政府は積極的に日英同盟復活に取り組み、21世紀型の日英同盟の構築を進めるべきである。
 以下は、内藤氏の記事。

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●産経新聞 平成25年9月2日号

http://sankei.jp.msn.com/world/news/130902/erp13090213510002-n1.htm
【視線】
21世紀型の日英同盟構築を ロンドン支局長・内藤泰朗
2013.9.2 13:39

 英国がジョージ王子誕生のニュースで沸き返っていた7月末。海上自衛隊の練習艦「かしま」など3隻の練習艦隊が、実習と英海軍との交流を目的に英海軍基地ポーツマスを親善訪問した。日本の艦隊訪英は5年ぶりだという。艦上レセプションに招待されたので出かけてみた。
 ロンドンから南西に列車で約2時間。陽光まばゆいポーツマスはかつて、「日が沈むときはない」といわれた大英帝国の繁栄を支えた海軍の本拠地だった。今も英国海軍の司令部は置かれるが、軍港としての役割は退き、貿易や観光などで栄える。「かしま」は、そんな英国の盛衰の歴史を見てきた港の埠頭(ふとう)に係留されていた。
 後部甲板につくられた会場では、白い制服で正装した若き実習生たちが招待客たちをもてなしていた。この春、海上自衛隊幹部候補生学校を卒業し、日本からの遠洋航海で日夜訓練を重ねてたくましく成長した若き海上自衛官たちが英海軍やポーツマス市の幹部らにも礼儀正しく対応する姿は、若き外交官のようだった。
 実習生の一人は「訓練は寝る間がないほど忙しく、厳しいものです。英海軍から多くのことを学びたいです」と語っていた。日本を取り巻く国際環境は島根県・竹島や北方四島の不法占拠に次いで、沖縄県・尖閣諸島をめぐっても緊張が高まっている。そんな危険な海で日本防衛のため、自衛官に志願した彼らにエールを送りたい。
 招待客には、帝国海軍の軍艦「比叡」を建造したウェールズ地方にあるペンブロークの英国人研究者たちもいた。日本海海戦でロシアのバルチック艦隊を破った東郷平八郎元帥が若い頃、英国留学から帰国する際、同艦を日本に回航した。研究者たちは、来年創立200年を迎えるペンブロークの造船所の祝賀行事に自衛隊関係者を招待したいと夢を語っていた。
 近代化を急ぐアジアの小国、日本がロシア帝国という北方の脅威に勝利できた遠因には、日露開戦の2年前に日英同盟が締結され、当時最新の軍艦調達や露軍情報の提供など英国からの支援があった。英国は当時、中国での権益確保で脅威だったロシアを牽制(けんせい)するため日本と手を組んだ。
 そこまでは歴史の話だが、日英関係が再び動き出そうとしている。
 日英両国は7月、機密情報の交換を可能にする情報保護と、装備品共同開発の枠組みに関する2つの協定に調印した。日本が安全保障上重要な2協定を締結したのは、米国に次いで2カ国目で、双方の協力の急速な進展ぶりを物語る。武器の共同開発の話などはすでに浮上しているという。
 英政府筋によると、英国は日本、東南アジア、南アジアの英連邦諸国を加えた多国間で災害救援や平和維持活動(PKO)などの合同演習実施を検討。情報共有や外交・戦略面での協調、侵略行為への共同対処など「新しい形の防衛協力条約締結」を次なる関係深化と位置づけているという。
 その最大の狙いは英国製兵器の売り込みだ。国防予算を縮小する欧米諸国への武器輸出は当面、期待できない。軍拡と領土拡張の野心を見せる中国の脅威への対処が喫緊の課題である日本は再び、英国の有力なパートナーになり得るというわけだ。
 日本も、米国に加えて米国最大の同盟国、英国からの武器調達という選択肢は外交に幅を与え、米英両国の機密情報にも接する機会を得ることになる。今秋、「かしま」訪英の返礼として英海軍が計画する最新鋭駆逐艦の訪日も日本シフトの表れといえる。日本の安全保障の要、日米同盟を補完し、日本独自の安保政策を推進するためにも、21世紀型の新しい日英同盟の構築が求められているのではないだろうか。(ないとう やすお)
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