ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
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カント23~現代の科学者による仮説

2013-09-15 08:39:17 | 人間観
●現代の科学者による様々な仮説

 ユング、パウリの仮説は、相対性理論の解釈に関わるものである。アルバート・アインシュタインは、特殊相対性理論で、E = m c2という関係式を明らかにした。この関係式は、エネルギー(E)と質量(m)が等価であることを示すものである。Cは光速度定数である。だが、この関係式だけでは、精神という要素が出てこない。アインシュタインは、一般相対性理論の論文の発表後、自然界のすべての力を統一する統一場理論をめざし、重力と電磁気力の統一を試みたが、自ら完成させることはできなかった。その一方、アインシュタインは、アプトン・シンクレアの著書『精神ラジオ』に序文を書き、ヴィルヘルム・ライヒのオルゴン・エネルギー探知機に強い興味を示すなど、精神・生命の領域にも関心を向けていた。
 現代の科学者から、精神・生命の領域を含む科学的な仮説は、いろいろ出されている。物理学者フィルソフは、光速より速いニュートリノのような性格を持つ精神子マインドンを提案した。電子工学者の関英男は、電磁力-重力系とは別に幽子による情報系を想定し、これをサイ情報系と呼びんだ。物理学者アーサー・エディントン卿は5次元理論を発表したが、その後、4以上の空間次元や2以上の時間次元の存在を仮定する理論が数多く研究されている。数学者エイドリアン・ドッブスは、時間に2次元性を与えた5次元波動場において、虚の質量を持つプシトロンという精神情報の担い手を仮説した。これを受けて、神経生理学者ジョン・エクレス卿は、プシトロンは特異な状態のニューロンに作用し、大脳ネットワークに超時空的な影響場が形成されるという仮説を出した。大脳にホログラフィー理論を応用した大脳生理学者カール・プリグラムは、宇宙全体が一種のホログラフィーになっており、脳は宇宙の変化した一部だという説を唱えている。
 理論物理学者デヴィッド・ボームは、物質も精神もエネルギーとして暗在系に、数学でいう直交変換によってたたみ込まれており、暗在系にはおそらく意味の場が存在し、それが反映したものが物質であり、身体であり、明在系そのものだという仮説を出している。物理者ブライアン・ジョセフソンは、物質の存在はその背後にある潜在的な知性を反映しているという考えを提案し、またすべての自然現象の根底に生命のプロセスが存在するという説に賛同して、量子力学における波/粒子の二重性に似た量子/生物の二重性が存在することを指摘している。ボームやジョセフソンの考え方は、哲学的に見ると、プラトンやカントに通じる。また東洋におけるインドのヴェーダーンダ哲学や仏教、道教にも通じるものである。
 ここに挙げた科学者のうち、パウリ、アインシュタイン、ジョセフソンはノーベル物理学賞、エクレスは同生理学・医学賞を受賞している。他もみな世界的に著名な一流の科学者である。
 ところで、私が生涯の師とし、また神とも仰ぐ大塚寛一先生は、戦前電熱器の事業をされ、多くの特許を取った発明家でもあった。大塚先生は、昭和20年代から東京在住の各国有力外国人に対して、超心理学を発展させるように指導された。昭和33年(1958)には、米国デューク大学にJ・B・ラインを訪れ、超能力の実験を視察し、講演をされた。昭和47年(1972)には、TBSテレビに出演し、ご自身が起こされる奇蹟現象に関して、深遠な見解を述べられた。その番組を見た全国の視聴者から、視聴中に奇蹟を体験したと大きな反響があった。同年、現世を去った後も生前の予言の通り、今日も奇蹟を起こし続けておられる。
 大塚先生から拝聴しているところによると、宇宙には現象界の他にいろいろな霊界が存在する。ちょうどテレビのチャンネルを回すと、1チャンネル、2チャンネル、3チャンネル等と異なる波長の世界が映るように、この宇宙には様々な波長が錯綜している。これからこの方面の科学が発達すると、そういう霊界の様子が分かるようになっていく。そうなると、人類は未来にまで感応するようになる、とのことである。
 僭越ながら私見を述べると、数学には虚数という数がある。二乗するとマイナスの実数になる数である。理論上の数だが、量子力学は虚数を使う。虚数の実在を否定すれば、量子力学は認められず、量子力学をもとにするエレクトロニクスも存在できなくなる。このことは、世界は見えるものだけでなく、見えないものによっても成り立っていることを示唆するものだろう。見えないものの代表が、私たちの精神である。人類は物質的な世界については、多くの知識を得つつあるが、精神の領域については、まだほとんど理解ができていない。私の思うに、物質あるところ精神があり、精神があるところ物質がある。物質と精神は陰陽という相補的な関係にある。ここで相補性の根源または統一として重要なのが、0(ゼロ)である。数字の0は、インドの空(シューニャ)の観念から生まれた。空はただの無ではない。無限大の潜勢力を秘める。概念的に言えば、0にして∞、∞にして0である。量子力学では、素粒子の存在は確率論的にしか確定できず、空間と粒子の区別があいまいになり、空間そのものがエネルギーを持つと考えられている。空間が小さいほど高いエネルギーを保有する可能性が高く、これをゼロ点エネルギーという。最小の定数をプランク定数 h というが、ボームは、プランク・スケールを最小の波長として、1立方センチの中の空間エネルギーを計算すると、それは現在知られている宇宙の全物質が持つエネルギーより、はるかに大きくなると述べている。今後、物質と精神の相補性を解き明かすことができれば、人間とは何かという答えに近づくとともに、宇宙の実在の原理に迫ることができるようになるだろう。

 次回が最終回。

■追記

 上記の拙稿を含む「カントの哲学と心霊論的人間観」は、下記に掲載しています。
http://khosokawa.sakura.ne.jp/opinion11c.htm