ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
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教科書採択で大きな前進

2011-09-05 08:54:22 | 教育
 来春から使用する中学教科書の採択が、8月31日に終了した。今回の採択では、子供たちに誇りある歴史を伝える歴史教科書、また日本人としての公徳心を育てる公民教科書として製作された育鵬社、及び自由社の教科書が健闘した。とりわけ育鵬社版は、躍進した。
 育鵬社は、扶桑社の中学校歴史・公民教科書を継承するフジサンケイグループの教科書会社。同社版の教科書は、「日本教育再生機構」(八木秀次理事長)のメンバーらが執筆した。
 9月1日現在の情報によると、育鵬社版は、11都府県の公立409校で歴史・公民の教科書に使用されるという。育鵬社版は、採択地区の数、採択部数をともに大きく伸ばした。使用される教科書は、歴史が約4万4500冊、公民が約4万8600冊。歴史はシェアの3・79%、公民は4・16%を占める。2年前の平成21年の採択と比べると、歴史は約6倍、公民は約11倍となった。
 育鵬社版の採択地区は次の通り(9月1日現在)。

 東京都大田区(歴史・公民)、東京都武蔵村山市(歴史・公民)、横浜市(歴史・公民)、神奈川県藤沢市(歴史・公民)、栃木県大田原市(歴史・公民)、大阪府東大阪市(公民)、広島県呉市(歴史・公民)、山口県岩国市(歴史)、島根県益田市・津和野町(歴史・公民)、愛媛県今治市(歴史・公民)、四国中央市(歴史・公民)、沖縄県石垣市・与那国町(公民)
 
 公立の中高一貫校での採択は、東京都立、埼玉県立、愛媛県立、香川県立(以上、歴史・公民)、神奈川県立(藤沢校・歴史)。
 私立は、育鵬社版の使用が判明しているのが、9府県13校。結果を非公表としている学校があり、さらに増える可能性があるとのことである。
 なかでも、今回の採択では、全国最大の採択区である横浜市で、育鵬社版が歴史・公民とも採択されたことが大きい。ここだけで、全国シェアの約2%に当たる。神奈川県での採択率は、約43%。各社の教科書のうち、県内ではトップとなった。愛媛県でも、育鵬社版が約20%となった。
 また特筆すべきは、沖縄県の八重山採択地区協議会で、育鵬社版公民が採択されたことである。八重山採択地区は、尖閣諸島が所在する石垣市、竹富町、与那国町で構成される。うち竹富町では、協議会の決定に教育委員会が反対を表明しており、最終的にどうなるか注目される。だがいずれにしても、領土問題が先鋭になっている地域で、領土について最も明確な記述をしている育鵬社版が採択された意義は大きい。
 今回の採択においても、日教組・左翼系市民団体等が、いわゆる「つくる会」系の教科書の採択に対する批判や反対運動を行った。それにもかかわらず、育鵬社版教科書が大躍進したのは、教科書の改善を求める国民運動の成果であり、また教育委員会の委員が各地で、反対運動の圧力・妨害に屈せず、良識ある判断をした結果だろう。
 だが、先に書いた採択地区の一覧を見ると、多くの道府県では、依然として旧来の教科書が圧倒的な占有率を堅持している。全国のシェアは4%程度にすぎない。約96%は、旧来の教科書が採択されている。全国的に教科書の改善が進むには、時間を要する。今回の採択が、歴史的な転換のきっかけになることを望むとともに、さらなる前進を期待したい。

参考記事
・産経新聞 平成23年9月2日 「育鵬社採択、公立409校 来春教科書 公民は前回の11倍」
http://sankei.jp.msn.com/life/news/110902/edc11090207390000-n1.htm

関連掲示
・拙稿「教科書を改善し、誇りある歴史を伝えようーー戦後教科書の歴史と教科書改善運動の歩み」
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion06c.htm