ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

トッドの移民論と日本71

2011-09-03 08:56:22 | 国際関係
●増える中国人の入国方法(続き)

 入国方法の第3は、研修生としての入国である。坂東氏の著書のデータをそのまま引くと、平成20年(2008)末までに研修生として登録された中国人は、6万5716人だった。これは、外国人研修生全体の75%を占める。
 研修生制度について、坂東氏は、次のように言う。この制度は「日本の企業が諸外国から受け入れた研修生に、「一定期間、専門技術を教え込み、技能習得後は帰国して母国の発展に役立ててもらう」ものである。だが、「中国人研修生にとっては、研修資格は来日の手段であり、研修生を送り出す中国企業にとってはいいビジネス」であり、「日本人経営者にとっては安価な労働力の確保」というのが実情である。就学・留学のように、ビザを発給する中国の日本領事館から高卒以上の学歴を問われないし、ビザ自体本人が取るのではなくてこの研修生派遣会社が一括申請し、ビザを取得するので、「密航同様、お金さえ払えば誰でも日本にいける」のである。
 第4は、就学生である。就学生は、高卒以上の学歴を要する。留学生は日本の大学に通うか、大学に通いながら日本語学校に通うが、就学生は日本語学校に通う。この点が違う。諸外国からの就学生総数は4万1,313人であり、その大半を占める中国人就学生は総数2万5,043人であり、外国人就学生全体の60%を占める。平成20年の1年間に新規来日した中国人就学生は1万2,566人に上る。
 第5は、留学生である。やはり高卒以上の学歴を要するが、就学生と違って、大学に通う。中国人は外国人留学生の64%を占める。平成20年(2008)7月20日に文部科学省が策定した計画によって、政府は2020年を目途に、来日留学生の受け入れ枠をこれまでの10万人から30万人に増やし始めている。現在の状況が続けば、その大半は中国人となるだろう。

 坂東氏は、以上の5つの入国方法を挙げる。研修生、就学生、留学生は、なりすましや残留孤児の偽装と異なり、犯罪性は認められない。問題はその実態である。

●驚くべき外国人留学生への援助金

 特に驚愕するのは、留学生について、坂東氏が明らかにしたことである。それは、外国人留学生には、日本が金を払って、留学してもらっている者がいるということである。
 外国人留学生は、一般留学生と国費留学生・私費留学生に分けられる。一般が80%、国費・私費が20%という割合である。日本国政府は、このうちの国費留学生・私費留学生に援助している。その金額が半端ではない。
 坂東氏によると、国費留学生に分類される研究留学生と教員研修留学生には、月額15万2千円~15万8千円が支給され、学部留学生・大学に在学中の日本語学校学生・高等専門学校留学生・研修学校留学生には、月額12万5千円~12万8千円が支給されている。さらに授業料については、国立大学法人及び高等専門学校機構は不徴収、公立私立は文科省負担である。渡航費用も往復で支給され、医療費補助は予算の範囲内で支給されている。この国費留学生だけで、日本からの支給総額は223億円に及ぶと言う。また、私費留学生には、大学院レベルは月額6万5千円、学部レベルは4万8千円が支給されている。国費留学生・私費留学生を合わせると、日本からの支給総額は毎年300億円以上になる。これほどの金が、「貸与ではなく無償」で支給されているのである。
 坂東氏は言う。「多くの国では、外国人留学生に対する学費は平均して3倍くらい高いのだそうです。自国民の学生に関しては、すでにその親から税金を頂いているので当然安くするし、税金を払っていない外国人学生から多くもらうのは、国際的に見て当然なんです。しかし、わが国では、自国の学生はお金を払い、外国人留学生はお金をもらって勉強する。しかもこれは、私たちが納めている税金です。私たちの国は、他国とはまったく逆のことをやっていたのです」と。
 私はこの実態を坂東氏によって初めて知った。国会で実態を明らかにし、即座に過剰援助を止めるべきである。
 坂東氏は、今後も中国人来訪者が増えると予想する。そのうち、警戒すべき者として、人民解放軍の兵士の大量来日を想定している。
 著書「日本が中国の自治区になる」で、坂東氏は語る。「中国人民解放軍は、開始時期は不明ながら2~3年で陸軍兵士70万人を削減する計画を持っています」「これらの若いリストラ兵士は学生としてリサイクルされ、日本に就学生や留学生として大量に来日する可能性があります」「70万人の兵士をリストラするというのは、裏を返せば2~3年で70万人の工作員を育成して海外に送り出す計画の可能性が多分にあり」「少なくとも25万人くらいは留学生として来日すると私は見ています」と。
 こうした元人民解放軍兵士に対しても、わが国は留学生として、金を支払って、勉強させ、または工作活動をさせることになる。直近に人民解放軍兵士だったという経歴を持つ者は、国家安全保障上、留学生・就学生としての資格を与えないことにすべきである。

 次回に続く。